2011年4月30日土曜日

国家は破綻する(2)

過去に起きた国家的な債務危機、金融危機を、1800年以降を中心に(古いところでは1400年代も含めて)長期的な視点でデータを蒐集して研究した大変な労作である。今後は、この本に出ていることは経済・金融関係者にとって当然の共有知識として持っておきたい。ロゴフは"Foundations of international macroeconomics"という優れた国際マクロ経済学の本も書いている。しかしこの本では経済モデルは出てこなくて、データに全てを語らせるというスタイルが貫かれている。588ページの本であるが、本文は414ページまでで、残りは参考資料である。
この本を読めば、金融危機は以前から何度も繰り返し起きていることが分かる。リーマン・ショックもそのうちの1つであって百年に一度などと呼ばれるようなものではない。

以下、いくつかおもしろい文章を抜粋。
  • そもそも複数年におよぶリセッションは、大々的な再建を必要とするような経済にしか発生しないものである。たとえば1970年代のイギリス、1990年代のスイス、そして1992年の日本などである(なお日本の場合は、単に金融の崩壊だけではなく、中国の台頭を考慮して経済を方向転換する必要があったことも原因である)。
  • 政府債務の衝撃的な急増は、深刻な金融危機に伴うリセッションによって税収が急激に落ち込むことが主因である、ということを改めて強調しておきたい。銀行の救済コストが原因だというようなことがさかんに言われるが、そうではない。多くの場合、危機後の債務負担の増加分に占める救済コストの占める割合は、ごく小さい。
  • (ディアツ・アルジャンドロが論文の中で)「金融抑圧をやめると金融危機がやって来る」と述べたように、金融自由化と同時に銀行は国外の信用市場にアクセスできるようになるため、国内でリスクの高い融資をしがちになる。やがて、貸し出しの増大と資産価格の上昇のブームが去ると、銀行のバランスシート悪化が表面化し、銀行部門で問題が起きるという経過をたどる。
  • 「最近五回のリセッションのうち、株式市場は九回を予想した」(Samuelson 1966)と、サミュエルソンが茶化したのは有名である。
  • 日本を始めとするアジア各国では、銀行危機前に発生した資産価格バブルにおいて商業用不動産が重要な要因となった。
  • 【危機の進行過程】 金融の規制緩和→銀行危機の発生→通貨暴落→インフレ率上昇→銀行危機のピーク→対外債務・国内債務のデフォルト→インフレ危機の悪化と銀行危機のピーク
  • 銀行危機の先行指標<ベスト>:実質為替レート、実質住宅価格、短期資本流入/GDP、経常収支/投資、実質株価。 <ワースト>:インスティテューショナル・インベスター誌およびムーディーズのソブリン格付け、交易条件。
  • 通貨危機の先行指標<ベスト>:実質為替レート、銀行危機、経常収支/GDP、実質株価、輸出、M2/外貨準備。 <ワースト>:インスティテューショナル・インベスター誌およびムーディーズのソブリン格付け、内外金利差(貸出金利)。
しかし"This time is different"を「国家は破綻する」としたタイトルはいただけない。

国木田独歩「運命論者」

「運命の力より脱(のが)るゝことは出来ないでせう…」 今日の日経夕刊【文学周遊】は国木田独歩「運命論者」。国木田独歩は読んだ事がなかった。読みたいなと思ったら、ネット上の青空文庫でフリーで読めるようだ。


【tips】 青空文庫を読むときは、「smoopy」というフリーのソフトを使ってXHTMLファイルを読み込むと、まるど文庫本を読んでいる感覚で読める。


2011年4月29日金曜日

The New Market Wizards


久しぶりに"The New Market Wizards"を読み返していたらJoe RitchieとRichard Dennisの以下のようなやりとりがあった。
Joe Ritchie asked Richard Dennis what percentage of his trading was technical and what percentage was fundamental.
Dennis answered with scorn in his voice, "I use zero percent fundamental information." Dennis said "I don't know how you escape the argument that all fundamental information is already in the market."
Joe Ritchie asked, "How do you escape the argument that all the technical information is already in the market?"
Dennis said, " I never thought of that." Ritchie admired him for that. He had a humility about him that explains a lot of his successes.
Joe Ritchieの兄弟のMark Ritchieはこんなことを言っている。
The successful trader must be able to recognize and control his greed.
If you get a buzz from profits and depressed by losses, you belong in Las Vegas, not the markets.
You have to be able to think clearly and act decisively in a panic market. The markets that go wild are the ones with the best opportunity

"Market Wizards"と"The New Market Wizards"は投資関連の本でお奨めできる数少ない本のうちの1つだと思う。翻訳も出ているようだが、そちらは私は読んでいない。

2011年4月25日月曜日

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

「勝つためには手段を選ばず」的な志の低い企業行為の数々。時代感覚をなくして世の中のメガトレンドに疎く、プライドやビジョンや技術を軽視した保守的な言動。幾多の実績を挙げた功労者や自らリスクを取る挑戦者たちを極端に粗末に扱い、しかもそれをなんとも思わない無神経な人々の横行。新しい企業価値を生み出すことに賭ける腹の据わった度胸と忍耐力の欠如。見苦しい嫉妬と足の引っ張り合いやモラルハザードが日常化した結果、内向きに消費される無駄なマイナスエネルギーの極大化。
うちの会社のことではなくて、辻野さんが辞めたときのソニー社内の、目を覆うばかりの惨憺たるソニー社内の実態だそうだ。ソニーでさえ、こうなってしまうんですね。辻野さんが偉いのは、次の就職など考えないでスパッとソニーを辞めていること。まだ中学生の子供がいるのに。
この本、まだ読み始めたばかりだが、一気に読んでしまいそう。

2011年4月24日日曜日

ジェイゴルフ霞ヶ浦

茨城県の潮来(いたこ)にあります。フラットで木と水の造形が美しい大人のゴルフ場です。コースの芝の管理も行き届いています。これで天気がよければ・・・。途中から激しい横殴りの雨となり、寒くて思わず傘をさしてしまいました。そのせいかイン65、アウト66の131と苦戦しました。最後は手が凍えました。終わった後の風呂で生き返りました。うちからだと少し遠いですが、とてもきれいなゴルフ場で気に入りました。今度はいい天気の日にプレーしたいです。

2011年4月19日火曜日

デグーが成仏しました

我が家のデグーが昨日、成仏した。寿命だと思う。長い間、ありがとう。
To say goodbye is to die a little.
さよならを言わなくても、われわれは少しずつ死んでいるわけだけど。
人生は短く、時間はない。
自分が死ぬときに、後悔のないようにしたい。

2011年4月17日日曜日

国家は破綻する

今日の【日経読書】
「国家は破綻する」は今読んでいるところ。この本に出ていることは経済・金融関係者にとって当然の共有知識として持っておきたい。ロゴフは優れた国際マクロ経済学の本も書いている。しかしThis time is differentを国家は破綻するとしたタイトルはいただけない。
「なぜ経済予測は間違えるのか?」 読む前から中身が予想できそう。カナダ出身で英国在住の数学者による新古典派経済学批判の書。新古典派に問題が多いのはみんな知っているし既にさんざん批判されているのだから、新しい経済思想の具体的な中身や理論を提示しないと何も変わらないよ。
「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」、21世紀を描く「オタク」的修辞。おもしろそう。主人公はサブカルチャーを通してのみ現実を捉える非モテ系の肥満作家。アメコミの「ファンタスティック・フォー」や大友の「AKIRA」、小松「復活の日」などの世界が混交。

2011年4月16日土曜日

ユニクロ帝国の光と影

「ユニクロ帝国の光と影」を読んだ。山口の田舎から出てきて、ファーストリテイリングを世界的企業に成長させた柳井社長には前から興味があった。私は、合理的経営を愚直に実践し続けることで会社を成長させた経営者として、ウォルマートのサム・ウォルトン、ヤマト運輸の小倉昌男さんとユニクロの柳井正さんを尊敬している。
柳井社長とファーストリティリング側からの情報提供量が少ない中で、苦労してまとめた本という印象。柳井社長の父・等に関する情報と中国工場への取材に基づく情報が、これまでの「ユニクロ本」にない新しい付加価値だと思う。
第八章が柳井社長へのインタビューになっているがそれだけでは分量が少なく本として成り立たないので、「一勝九敗」や「成功は一日で捨て去れ」からの引用とか、元社員へのインタビュー、柳井の父・等についてや、中国工場への取材なども加えてある。
柳井社長は影響を受けた企業としてデルをあげているが、オリジナリティよりも「業界の先例を研究してそれに改善を加えるのがユニクロ流」なのはマイクロソフト的だし、大きく成功しているにもかかわらず病的なまでに強烈な危機感を持ち続けているところはビル・ゲイツに似ている。
SPAとはGAPの造語でSpecialty store retailer of Private label Apparelから3文字をとったものだが、この本は、ユニクロが日本で最初の本格的なSPAになれたことが成功の要因と結論づけているようだ。また、小郡商事からのユニクロ商法の原点として(1)返品なしの買取仕入れ、(2)安売りが武器、(3)単品ごとの管理をあげている。
あとは当たり前のことを当たり前にこなしていって成長した感じ。あたりまえのことをあたりまえにするのも難しいのだが。著者は柳井のことを「非情の人」として書きたいようだが、この程度のことはどこの経営者でもやっている当たり前のことだと思う。後継者が育っていないことも、どこの企業も悩んでいる問題であってユニクロだけの問題ではないだろう。
この本では玉塚元社長の更迭を重要な出来事として追っているが、柳井社長の玉塚氏に対する評価は非情に手厳しい。だからこそ更迭したのだろうが。玉塚氏は更迭後に、澤田氏とリヴァンプを設立し、いまはローソンの副社長に就任している。
ブラトップの開発責任者で2008年に「日経WOMAN」の<ウーマン・オブ・ザ・イヤー>に選ばれた、執行役員の白井恵美氏にいたっては、<周りの人と協力できないし、自分のことをすごく才能があると勘違いしているが、仕事が全くできない人>とばっさり切り捨てている。
ユニクロの柳井社長が尊敬する経営者はウォルマートのサム・ウォルトン、ダイエーの中内功、日本マクドナルドの藤田田。
柳井流の厳しい経営を表す言葉としてよく引用される「泳げないものは溺れればいい」と言う言葉は、実はビル・ゲイツのことを書いた本からの引用らしい。
ファーストリテイリングにおける2010年での株主構成比は柳井夫妻と二人の息子の一家4人で45.8%。

Joni Mitchellは宇宙一好き

コモディティETFを調べていたら、ウランのETFを見つけた(ウラン価格に連動するのではなく、ウラン関連株のETF)。福島第一原発の事故発生直後に価格が急落した後、急回復している。
Uraniumといえば、天才 Joni Mitchellの名曲 Chinese Cafeを思い出す。YouTubeのChinese Cafe 、Chinese Cafeの歌詞 。途中にライチャス・ブラザーズの名曲Unchained Melodyをはさんでいますね。
どうすれば、あんなすごい歌詞とメロディーが書けるのかな?
♪ We were wild in the old days /Birth of rock 'n roll days / Now your kids are coming up straight / And my child's a stranger / I bore her / But, I could not raise her / Nothing lasts for long-
Uranium money / ~ / Short sighted business men / Ah, nothing lasts for long / ~ / I need your love / God speed your love to me.
最後のところはライチャスですね。
Joni Mitchellは宇宙一好きです。 Joni Mitchell公式ホームページ
ちなみにGod speed ~とは、~に神のご加護があるように、という意味です。
Godspeedで「道中ご無事で」という使い方があるみたいです。
映画「アポロ13」の中でも、打ち上げの直前で宇宙飛行士に対してNASAの職員が「Godspeed」と声をかけていました。

2011年4月11日月曜日

猫好きのための写真集

shironekoさんの写真一覧


カタログハウスの広告に使われている猫ですね。もしかしたら下のバナー広告に出ているかも。とにかくかわいいので、猫好きの方は是非一度、ご覧ください。

測度についてのメモ

集合Xの全ての部分集合の集合P(X)をXのべき集合(power set)という。P(X)の部分集合Sがσ-加法族のであるとき、XとSの順序対(X,S)のことを可測空間(measurable space)と呼ぶ。Sについて誤解の余地がないときは、単にXを可測空間と呼ぶこともある。
可測空間(X、S)から可測空間(Y、U)への関数 f が「可測」であるとは、任意のu∈Uに対してf ^{-1}(u)∈Sであることを指す

【測度と積分】
区間の外測度はその長さに等しい。
区間から出発して、集合の「長さ」を定義したいわけですね...
外測度は可算劣加法的である。
「長さ」が”可算加法性”を満たして欲しいわけですね。そして、これが測度の抽象的な概念の鍵になる性質でもあるわけですね。そして、この性質を確率の数学的基礎を与えるのにも用いることになる。この性質を持つ「良い」集合を定義する。
集合E⊂Rが(ルベーグ)可測であるとは、全ての集合A⊂Rについて、
m*(A)=m*(A∩E)+m*(A∩E^c)
となることである。
ある集合の族が全体集合を含み、補集合と可算和について閉じているとき、その族をσ-加法族であるという。σ-加法族上で定義された[0,∞]に値をとる関数が、非交叉的な集合について可算加法的であるとき、この関数を測度という。
ルベーグ測度は特別な集合の族に制限した外測度にほかならないから、外測度の性質のいくつかは自動的にルベーグ測度に引き継がれる。
σ-加法族の族の積もまた、σ-加法族である。
Bを全ての区間によって生成されたσ-加法族とよび、その要素をボレル集合とよぶ(Emile Borelによる)。

2011年4月10日日曜日

チボの狂宴 by マリオ・バルガス=リョサ

独裁者による悪夢の世界をリアリズムで描く
チボとは、実在したドミニカ共和国の独裁者であるラファエル・トゥルヒーリョ大統領のこと。独裁者に私物化されたドミニカの悪夢のような世界が、フローベールの流れを汲むヨーロッパ小説的リアリズムで描かれる。配下の議員の妻を寝取ったり、都合の悪い人間を抹殺したりと、やりたい放題である。大統領に不満を持つ、サルバドール、アントニオ、アマディートらによる大統領暗殺計画を縦糸に、尿失禁に悩む大統領の身近な出来事と、カブラル上院議員の娘のウラニアによる現在からの回想を絡ませて、複眼的に当時のドミニカの世界を浮かび上がらせる。
リョサと同様にノーベル文学賞を受賞しているガルシア=マルケスの「族長の秋」もトゥルヒーリョがモデルらしい。二人のノーベル文学賞受賞者に取り上げられるほど、トゥルヒーリョは文学者の想像力を刺激する存在らしい。マルケスのほうはシュール・レアリズムと実験的文体で描かれている。リョサの「チボの狂宴」を読んだあとは、「族長の秋」も読み返したくなる。

2011年4月3日日曜日

獅子のごとく、外資系投資銀行の虚像と実像

部下に借りて、「獅子のごとく」を読み始めている。いままでのところ、週刊新潮に掲載された菊池雅志さんの『外資系投資銀行の虚像と実像』に酷似している。

part5にGS時代の服部先生も登場。「M&A部門のヘッドだった服部暢達の退社は、GSの若手バンカーたちを動揺させた」「服部さんは、戦略的なM&Aの提案でディールを取ることを目指していた」
「獅子のごとく」の主役の逢坂はGS持田、八尋はGS(メリル)川島、米本はユニゾン江原、檜垣は西武鉄道後藤社長がモデルみたいです。エイブラハム・ブラザーズは当然ながらGS。桐生ゆかりは片山さつき。ラルフ・クレイトンはヘンリー・ポールソン元財務長官ぽいな。コーエンはコーザイン、マイヤーはルービン?
「セールスは販売部隊に力がないと無理だが、プライマリー(引受け)は寝技の世界で、人間関係でいくらでもマンデートが獲れる」って書いてあるけど、そういうもんなの?
高学歴の美人を揃えたGSの「美女軍団」は女好きの役員や企業幹部担当。客の接待も頻繁に行い、発覚すれば贈賄罪確実な情報を受け取り続けた、と書いてあるけど、まあそうなんでしょう。
小説の中でユダヤ人のパートナーが主人公に「金を儲けたいという貪欲さは結構だ。ただし、長期的な貪欲さ(ロングターム・グリード)でなくてはいけない。年度末のボーナスのことだけを考えるのは、エイブラハム・ブラザーズの社員のやりかたではない」と言います。いずれにしろGreed is goodなんですね。
映画「ウォール街」でのゴードン・ゲッコーの台詞を思い出しました。
"The point is, ladies and gentleman, that greed -- for lack of a better word -- is good.
Greed is right. Greed works. Greed clarifies, cuts through, and captures the essence of the evolutionary spirit.
Greed, in all of its forms -- greed for life, for money, for love, knowledge -- has marked the upward surge of mankind.
And greed -- you mark my words -- will not only save Teldar Paper, but that other malfunctioning corporation called the USA."
Greedがないと資本主義は成り立たないとは思いますね。バランスをとること、Greedをコントロールすることが大事なんでしょうね。
ちなみに「貪欲」はキリスト教7つの大罪の1つですね。Gekkoの台詞は強いインパクトがあると思います。他は、「傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、暴食、色欲」です。こう見ると、全て自分に当てはまるので、私も救われないですね。

失敗事例 アポロ13号

昨日のブログで紹介した「失敗知識データベース」の「航空・宇宙」のなかにアポロ13号の事例も出ていました。これは「アポロ13」として映画化もされましたのでご存知の方も多いかと思います。
この事故の直接の原因は「元々アポロ10号用であったタンクを13号に流用するため、設計変更で据え替えした時に、技師が1本のネジを外し忘れたという、ささいなことが事故原因の出発点であった」そうです。
ネジ一本でも馬鹿にできないですね。私も仕事でコンピューターのプログラムを書くのですが、一箇所でもバグがあると動かなかったり、変な結果が出たりします。バグを探すのも大変です。
今回の地震で、東北地方の部品工場が止まり自動車の生産ラインがストップしたりしています。当たり前のことですが、部品が一つでもそろわないと、自動車も納豆も生産できません。
NASAはこの事故にどのように対処したか。「NASAで徹底的に原因を究明、シミュレーションなども行って上記原因の究明に至った。部品保守の完全な記録(ログ)等もあり、このような詳細な原因解明が可能となった」そうです。事故が起こったこと自体の把握が遅れたりはしていますが、部品保守の完全な記録(ログ)等を取っていて最終的に原因をつきとめるところはさすがですね。基本的には、面倒を厭わずにやるべきことをきちんとやることが大事ですね。

2011年4月2日土曜日

失敗知識データベース、いまどき福島原発に行った副島さん

工学院大学の畑村教授の畑村創造工学研究所のウェブサイトの中に「失敗知識データベース」というのがあって、大変参考になります。

失敗は必ず起こるのですが、過去の失敗から学んで二度と起きないように備えるのが人間の知恵というものですね。この中の原子力を見ると、いろいろ過去にも事故があったり、それを隠蔽しようとしていたりということも書かれています。1999年(発覚は2007年)には北陸電力滋賀原発で定期検査中にうっかり制御棒を抜いてしまって臨界状態にして、しかもそれを隠していたりといったことが書かれています。

話は変わって、メディアジャーナリストの津田大介さん(@tsuda)のツイートで副島隆彦さんがなんとこの時期に福島第一原発の入り口まで行っていたことを知り驚きました。
「副島隆彦さんの現地レポート。ただただ凄い、と思った。 / 副島隆彦(そえじまたかひこ)の学問道場 - 今日のぼやき(広報) http://htn.to/QRBkKp」

私は副島さんの主張を支持しているわけではありませんので、念のため。この時期に福島第一原発まで行く行動力がすごいといっているだけです。
3月28日に福島第一原発の周りで放射線量を測って回って、勝手に安全宣言している。原発にも入ろうとして止められている。さすが小室直樹の弟子。行動力がすごい。
副島さんは、GE社製の炉心冷却装置が動かなかったのは津波のせいではなくて、欠陥があったせいだという立場。東電は米グローバリスト、欧原発ビジネスの操り人形で日本の政治家を操って原発を開発してきたという立場。
副島さんは「1985年の日航機のジャンボ機が御巣鷹山に墜落した事件も、本当は、アメリカ空軍の練習機が、日航のジャンボ機を標的練習にして、誤って、誘導ミサイルを発射して、それが日航機の尾翼に当たって、それで錐(きり)もみ状態で、群馬県の山に墜落したのだ」と主張。
副島さんの主張が本当かどうか私は知りません。各自で判断してください。
津田さんのツィートはニュートラルで冷静なので好感が持てます。しかし世の中のジャーナリストには不勉強なまま、自分の意見を広めるためにメディアを利用するジャーナリストも少なくありません。他の人も同じように感じているようです。togetterにまとめられた京都大学ポスドクの五味馨さんの「(普通の)科学者と(三流)ジャーナリスト」という意見に対して京都女子大学の水野義之教授が賛同して次のようにつぶやかれています。
『「(普通の)科学者と(三流)ジャーナリスト」この背景には、論理思考の問題がある。科学者の頼りは自然の冷厳な論理の読解力。論理思考がないと簡単に間違う。もう一つ、人は騙せても自然は騙せないという現実。科学者はそこを教育され体験的に理解する。』