2013年10月27日日曜日

久保文明氏の米国政治の混乱(上)共和党保守派に世論反発。「茶会」の現実離れ進む。予備選が「過激化」を加速。

金曜日の日経経済教室、久保文明氏の米国政治の混乱(上)共和党保守派に世論反発。「茶会」の現実離れ進む。予備選が「過激化」を加速。米国連邦予算の成立は圧倒的に議会の責任。民主・共和両党、イデオロギー的分極化進む。オバマケアを下院のみで廃棄するのは無理。

「アメリカの大統領制では、予算案の作成・提案から成立まで圧倒的に議会の権限であり責任である。大統領は拒否権を持つにすぎない。不成立の場合、世論の怒りはおのずと議会に向かう」

「このような対立の激化は民主党・共和党のイデオロギー的分極化によってもたらされている。95年~96年の政府閉鎖も40年ぶりに下院で多数党になった共和党新人議員を中心に引き起こされた。この頃、既に二大政党のイデオロギー的純化は高度に進行していたが、それは今世紀に入ってさらに進んだ」

こんにち、イデオロギー的にもっとも保守的な民主党議員より左に位置する共和党員は皆無ないし僅か数人である。70年代にはその数は下院議員総数435人のうち80人台に上っていた」

「2010年中間選挙からは草の根保守の茶会勢力の強い影響力を指摘する必要がある。従来の保守派共和党議員に対してすら、あまりに妥協的で穏健すぎると攻撃する茶会議員は、議員連盟単位では下院で47人を擁するが、影響力は少なくともその3倍程度の議員に及んでいる」

「彼らは10年に成立した国民皆保険を目指す医療改革法(オバマケア)撤廃を公約して当選してきた。」

小選挙区制で戦われるアメリカの下院選挙では接戦の選挙区は全体の一割程度となる。「しばしば共和党保守派現職議員にとって、本選挙で対決する民主党候補よりも、共和党予備選挙に登場する党内右派候補のほうが脅威である」

「彼らは、いわば閉鎖的な観念の世界での集団的催眠状態の中で決定を下してきた。今回の政府閉鎖問題のように、妥協せず玉砕するまで戦った者のみが、予備選挙での生き残りを確実に出来る。ちなみに茶会の急進派はFRBの量的緩和への反対のみならず、FRBの廃止まで要求している」

オバマが今回オバマケアと借り入れ限度額引き上げについて一切交渉しないと明言してきたのは11年に妥協したことが教訓になったらしい。結局、下院共和党はほとんど何も獲ることがなく、逆にオバマはシリアとFRB人事の失態から浮揚させることになった。

バフェットは「債務不履行は政治における大量破壊兵器であり、絶対使用されてはならない」と言ったそうだが、来年初めには同じ戦いが控えているんですね。共和党の動向は他人事ではなくなってきている。

2013年10月26日土曜日

日経、金融ニッポン。「長期投資が運用力鍛える プロを増やせ」

「国内の投資家の存在感が低下している」

カナダのオンタリオ州公務員年金基金は6兆円を300人で運用しているそうだ。運用担当者の報酬は成績次第。一方、GPIFは120兆円を70人程度で運用。深刻な問題はプロが足りない事だ、と。まあ、人数じゃないと思いますけど。アロケーション決めるだけならそんなに人数いらない。

JPMの菅野氏の「多様な資産に投資するには、長期的に1000人くらいの専門家が必要だ」という意見もどうかなと思いますね。バフェットみたいにほとんど1人でやっているひともいるし、クオンタム・ファンドも昔はソロスとロジャーズの二人でやってたし。人数が多けりゃいいもんじゃないです。

「企業年金や投資信託でも本当の専門家が豊富だとは言い難い。大手の運用会社はほとんどが証券会社や銀行の系列だ。定期の人事異動を優先するサラリーマン組織では個性的なプロが育ちにくい」。これはおっしゃるとおり。

野村アセットは「若い人材をじっくり育てたい」ということで運用担当者の定期異動をやめたそうだ。「ファンドマネジャー候補の人材に、内部の試験ファンドで運用を経験させ適正をみるなど長期的にプロを育てる仕組みもここ数年で整えた」

「個人一人ひとりの金融知識の向上も課題だ。証券会社や銀行などによる営業攻勢もあり、個人は利益が出ているファンドほど短期で手放し、新商品に買い替える傾向がある。個人が長期の運用成績をみて投信を選ぶ意識を持たないと、運用力による競争がおきずプロも育ちにくい」
悲しい現実よねえ...

ちなみに、三菱アセットで「凄腕」を運用していた糸島さんは今はコモンズ投信なんですね。

2013年10月21日月曜日

『構造方程式モデルと計量経済学』国友直人



「ここで一見すると統計学の応用としてごく自然な統計分析が経済学におけるごく標準的な説明と整合的でないことが、計量経済学の重要な出発点である」
後の計量分析に影響を与えた論文として次の二つを中心にいくつか上げてあります。
この論文はHayashiの「Econometrics」でも取り上げられています。
Bound、他(1995)は古典的な構造方程式モデルを用いて仮に標本数が非常に大きい場合であっても「説明変数・操作変数の説明力が弱いとき」、あるいは利用する「説明変数・操作変数の数が大きいとき」には、OLS、2SLSはともに大きなバイアスをもたらしうることを実験的に示した。





2013年10月20日日曜日

今年のノーベル経済学賞はファーマ、ハンセン、シラーという私の好きな学者ばかり

今年のノーベル経済学賞はファーマ、ハンセン、シラーという私の好きな学者ばかりでうれしいかぎりです。
ノーベル財団公式のScientific background "Understanding Asset Prices"(PDF)から。

ファーマ、ハンセン、シラーの業績を一冊である程度概観できる本のひとつとしてはキャンベル、ロー、マッキンレイの『ファイナンスのための計量分析』があげられるかと思います。キャンベル、ロー、マッキンレイは5章から読み始めるのがいいと思います。
ハンセンのGMMについては、Fumio Hayashiの『Econometrics』がベストだと思います。
Famaの重要な論文は、Fama and MacBeth(1973)とFama and French(1993)です。前者はクロスセクションの回帰分析、後者は企業の特性をファクターとしたマルチファクターモデル。

シラーの業績については渡部敏明先生の解説がまとまっています。
「合理性」「市場の効率性」に疑問投げ続けたシラー教授

渡部先生がシムズの弟子というのは知ってたけど、シラーの弟子でもあったのか。ノーベル経済学賞受賞者2人の弟子ってすごいね。

ハンセンの業績については、直接の弟子だけあって、大垣昌夫教授によるバンセンの解説がよくまとまってますね。一読をお勧め。
ノーベル経済学賞、「弟子」が明かすハンセン教授の知られざる横顔


私に顔が似ているハンセンのホームページ


ハンセンの重要な論文

"Generalized Instrumental Variables Estimation of Nonlinear Rational Expectations Models" Hansen and Singleton(1982)

"Large Sample Properties of Generalized Method of Moments Estimators" Lars Peter Hansen (1982) (PDF) 

ファーマに関しては竹原均氏が書かれています。
「実証ファイナンス」の偉大なイノベーター、ファーマ教授

Fama, E. F. (1970), “Efficient capital markets: A review of theory and empirical work,” Journal of Finance, 25 (2), 383-417.

Fama, E. F. and J. MacBeth (1973), “Risk, return and equilibrium: Empirical tests,” Journal of Political Economy, 81, 607–636.

Fama, E. F. and K. R. French (1993), “Common risk factors in the returns on stock and bonds,” Journal of Financial Economics, 33, 3-56.


2013年10月19日土曜日

ゼロ金利下の金融政策に関する16本の英語論文、および邦文論文


第2章でゼロ金利下の金融政策に関する16本の英語論文が紹介されています。

Krugman (1998),"It's Baaack: Japan's Slump and Return of the Liquidity Trap"

  復活だぁっ! 日本の不況と流動性トラップの逆襲

Orphanides and Wieland (1998),"Price Stability and Monetary Policy Effectiveness When Nominal Interest Rates are Bounded at Zero"

Bernanke (2000),"Japanese Monetary Policy: A Case of Self-Induced Paralysis"

Reifschneider and Williams (2000),"Three Lessons for Monetary Policy in a Low-Inflation Era"

Goodfriend (2000),"Overcoming the Zero Bound on Interest Rate Policy"

McCallum (2000),"Theoretical Analysis Regarding a Zero Lower Bound on Nominal Interest Rates"

Svensson (2001),"The Zero Bound in an Open Economy: A Foolproof Way of Escaping from a Liquidity Trap"

Ahearn, Gagnon, Haltmaier, and Kamin (2002),"Preventing Deflation: Lesson from Japan's  Experience in the 1990's"

Eggertsson and Woodford (2003),"The Zero Bound on Interest Rates and Optimal Monetary Policy"

Clouse, Henderson, Orphanides, Small, and Tinsley (2003),"Monetary Policy When the Nominal Short-Term Interest Rate is Zero"

Bernanke and Reinhart (2004),"Conducting Monetary Policy at Very Low Short-Term Interest Rates"

Bernanke, Reinhart, and Sack (2004),"Monetary Policy Alternatives at the Zero Bound: An Empirical Assessment"

Jung, Teranishi, and Watanabe(2005),"Optimal Monetary Policy at the Zero-Interest-Rate Bound"

Oda and Ueda(2005),"The Effects of the Bank of Japan's Zero Interest Rate Commitment and Quantitative Monetary Easing on the Yield Curve: A Macro-Finance Approach"

Auerbach and Obstfeld(2005),"The Case for Open-Market Purchases in a Liquidity Trap"

Curdia and Woodford(2010),"The Central Bank Balance Sheet as an Instrument of Monetary Policy"

追加で

Lam(2011), "Bank of Japan's Monetary Easing Measures: Are They powerful and comprehensive?"


《日本銀行のゼロ金利・量的緩和政策に関する邦文論考一覧》

翁邦雄(1999)「ゼロ金利下の金融政策について―金融政策への疑問・批判にどう答えるべきか」

岩田規久男(2000)「長期国債買切りオペを増額すべき」及び『ゼロ金利の経済学』

翁邦雄・白塚重典・藤木裕(2000)「ゼロ金利下の金融政策 現状と将来展望」

渡辺努(2000)「流動性の罠と金融政策」

  高村・渡辺(2006)「流動性の罠と最適金融政策:展望」

翁邦雄・小田信之(2000)「金利非負制約下における追加的金融緩和策―日本の経験を踏まえた論点整理」

白塚重典・藤木裕(2001)「ゼロ金利政策下における時間軸効果―1999-2000年の短期金融市場データによる検証」

白川方明(2002)「「量的緩和」採用後一年間の経験」及び小宮編(2002)『金融政策論議の争点』

小田信之(2002)「量的緩和下での短期金融市場と金融政策」

翁邦雄・白塚重典(2003)「コミットメントが期待形成に与える効果―時間軸効果の実証的研究」

植田和男(2005)『ゼロ金利との闘い―日銀の金融政策を総括する』

鵜飼博史(2006)「量的緩和政策の効果―実証研究のサーベイ」

田中隆之(2008)『「失われた15年」と金融政策―日銀は何を行い、何を行わなかったか』

白塚重典(2009)「わが国の量的緩和政策の経験―中央銀行バランスシートの規模と構成をめぐる再検証」

福田慎一(2010)「非伝統的金融政策―ゼロ金利政策と量的緩和政策」

本多佑三・黒木祥弘・立花実(2010)「量的緩和政策―2001年から2006年にかけての日本の経験に基づく実証分析

渡辺努・藪友良(2010)「量的緩和期の外為介入」

加藤出(2010)「短期金融市場の現場で何が起きたか?―量的緩和策と現在の非伝統的政策との比較を踏まえて」

白塚重典・寺西勇生・中島上智(2010)「金融政策コミットメントの効果―わが国の経験」

岩田一政(2010)『デフレとの闘い―日銀副総裁の1800日』

翁邦雄(2011)『ポスト・マネタリズムの金融政策』



2013年10月14日月曜日

岩井克人さんの「資本主義を考え抜く」

岩井克人さんの「資本主義を考え抜く」を今さら読んでる。東大経済学部の後、MIT大学院でサムエルソンの研究助手に。MITは新古典派経済学の中心地だった。博論の第1アドバイザーがロバート・ソロー、第2がサムエルソン。新古典派に違和感を感じカリフォルニア大、エール大へ。

『不均衡動学』はアカロフ、トービンらは評価してくれたが、学会全体にはなんのインパクトも与えなかった。岩井氏本人は学者として成功したと思っていないそうだ。

「日本の大学内では、マルクス経済学が圧倒的に優勢でした。近代経済学が強かったのは一橋大、阪大と慶応大くらいでした。東大の近代経済学は館龍一郎先生と小宮隆太郎生成が牽引していました。より若い小宮先生のゼミの門をたたきました」

「小宮先生の明晰さは恐ろしいほどでした。複雑な現実問題を前に、論理的に思考するとはどういうことかを、幸運にも間近に体験できたのです。主流派の学説でも、疑問があれば遠慮なく議論を挑んでいく、その学問への態度に、尊敬の念を抱きました」

宇沢先生は「シカゴ大では、数理経済学の最先端の研究を手がけ、世界で最も光輝く学者の1人でしたが、心は別のところにあるのを、アルコールのにおいの立ちこめる飲み屋で知りました」

岩井氏の最初の論文の査読者がエール大のクープマンス教授で、彼の招きで1973年にエール代経済学部助教授に。

個々の企業の「結果をマクロに集計すると学界を支配している合理的予想理論と「矛盾」します。経済全体の総需要と総供給が乖離するとき、個々の企業の価格を平均した現実の物価水準は必然的にその予想と一致しなくなるからです」という説明は、これだけだとよく分からないなあ。

「それが、スウェーデンの経済学者ヴィクセルが展開した「不均衡累積過程」理論の出発点にほかならず、ケインズが『貨幣論』で提示した「基本方程式」と同等であることにも気がつきます」

新古典派をさらに極端にした学説が主流になっていて、それを否定した不均衡動学は受け入れられず、エール大でテニュアは取れなかったが、アカロフはケインズ『貨幣論』に匹敵すると評価。学部長のトービンが2年間人任期を延長してくれて、その間に東大から声がかかり帰国。

「サーチ理論という数理経済学の手法を使うと、貨幣の存在構造を「貨幣とは貨幣として使われるから貨幣である」という自己循環論法として証明できることに気づき、論文にします。手紙の誤記や編集長交代などによってある専門誌への掲載が駄目になりました」

「好きな研究だけをしてきたので、学界の評価が低いのは仕方ありません。社会的認知は有り難いのですが、後ろめたさもあります」

岩井氏は高2のときにプルーストの『失われた時を求めて』新潮文庫全13巻をすべて読んでる。すごいですねw。奥さんは小説家の水村美苗。

2013年10月13日日曜日

『金融依存の経済はどこへ向かうのか 米欧金融危機の教訓』 池尾和人+21世紀政策研究所 


『金融依存の経済はどこへ向かうのか』の執筆者は池尾和人、翁邦雄、高田創、後藤康雄、小黒一正。とりあえず池尾氏の1章を読みました。

「1980年代以降、金融へのシフトあるいは金融依存ともいうべき動きが起こって、金融の拡大が始まったのは、第二次大戦後の復興・高成長の投資ブームが終わって、実物面での投資機会が乏しくなったことが基本的背景になっている」

「わが国における金融シフトは、80年代中にバブル経済の生成と崩壊にまで行き着いてしまうことになり、その後はその後遺症を克服することに長時間を要するということになってしまった」

「これに対して米国での同様の動きは、約30年間にわたって継続し、より大がかりなものとなった。そうした彼我の差は、米国では不況産業化した伝統的金融業に代わって、様々な金融イノベーションを伴うかたちで「新しい金融」業が台頭してくるというダイナミズムがみられたことに起因している」

米国の金融イノベーションは社会全体としてのリスク負担のキャパシティ拡大という意義をもっていたが、それが実物面での投資その他の活動を促進する方向で用いられることにはならず、結局は金融システム内部で過度のリスク負担が行われることになって、2007年からのグローバル金融危機に至ったと。

個人的な興味のひとつは、なぜ様々な金融イノベーションを伴うかたちで「新しい金融」業が台頭してくるダイナミズムが日本ではあまり見られないのか、という点ですね。

「不振化した伝統的な銀行業に代わって台頭した新しい金融業は、経済の中に存在している何らかの歪みを見出して、それを利用した裁定活動によって利益をあげるというビジネスモデルに従うものであった。こうしたビジネスモデルを典型的に実践しているのが、いわゆるヘッジファンドである」

「しかし、こうした裁定型のビジネスモデルには、基本的なジレンマがある。裁定が成功すれば、価格体系の歪みは解消されていく。裁定型のビジネスモデルは成功したがゆえに、世界的な金融資本市場の効率化をもたらすとともに、自らの収益機会を枯渇させることになっていった」

「同じバブルと言っても、株式equityにだけ関わったものである場合と信用creditに関わるものである場合とでは、その後遺症の大きさは非常に異なってくるといえる」

2003年6月に利下げするときにグリーンスパンはバブルが発生するリスクをとることもいとわないと考えたそうだ。実際に住宅バブルが発生し、金融危機に至ったことが、金融緩和をしなかったことよりましだったとは言い難いと池尾氏。

参照論文をいくつか

"The Impact of High and Growing Government Debt on Economic Growth" Checherita and Rother (2010) (PDF)

"Is U.S. Economic Growth Over? Faltering Innovation Confronts the Six Headwinds" Gordon(2012) (PDF)

2013年10月6日日曜日

マネーとDSGEモデル

加藤(2007)でRBCモデルの理論面での問題として次の5つを上げている。

①財市場、要素市場が完全競争である。
②調整コストや摩擦が存在しない。
③1財1部門1主体モデルである。
④マネーや一般物価など、名目変数が登場せず、景気循環に対する影響が全くない。
⑤情報が完全・対称である。

そこで、ここで紹介されているように、最近ではDSGEモデルにマネーを組み込む動きが見られると。


Monetary Transmission in the New Keynesian Framework: Is the Interest Rate Enough?
- Josh Hendrickson

エージェンシー・コストを導入、貨幣需要の拡張により、通常のニュー・ケインジアンよりも現実のデータをうまく再現できる。

Money’s Role in the Monetary Business Cycle
- Peter Ireland

小型のマネタリー・ビジネス・サイクル構造型モデルは正しく特定されたフォワード・ルッキングなフィリップス・カーブにリアル・マネー・バランスが入ったときのみ、正しく特定されたフォワード・ルッキングなISカーブにリアル・マネー・バランスが入ることを示唆。

The role of money and monetary policy in crisis periods: the Euro area case
- Jonathan Benchimol and Andre Fourcans

二つのモデルで1992、2001、2007年の欧州経済危機を分析。危機のときにマネーは生産の変動の説明力をより強く持つが、一方で金融政策の役割が非常に後退する。

Risk Aversion in the Euro area
- Jonathan Benchimol

ニューケインジアンDSGEモデルで欧州経済を分析。1971年から2006年よりも、2006年から2011年において、リスク回避は生産とリアル・マネー・バランスの動きにより重要な役割。

ここで、大東文化大学の郡司先生から「RBCにマネーを入れる動きはRBC登場当初からありました。Cooley and Hansen (1989, AER) が最も早い例のひとつかと思います。また、最近は金融政策を扱うDSGEでもマネーを入れたり入れなかったりします。」とご指摘いただきました。

"The Inflation Tax in a Real Business Cycle Model" Cooley and Hansen(1989) (PDF)