日経ヴェリタス6.15「GPIF 国内株編重への疑問」において、臼杵政治 名古屋市立大学教授が正論を展開して伊藤隆敏座長らの年金改革案を全否定しているので、誰かこれを印刷して伊藤氏に手渡してほしい。
「海外の年金にならうというのなら、日本株への配分増には大きな疑問がある。まず、人口構成の違いなどを無視して、外国の資産配分の数値をまねる国はない。ポートフォリオのリターンだけでなくリスクも含め、保険料や給付にどう影響するか、年金の資産負債分析をもとに配分を決めるのが常識だ
年金のバランスシートの資産側の大半は将来の賃金から支払われる保険料である。国内経済の成長率が低ければこの部分が減少し年金財政が悪化する。それにもかかわらず、同じく国内経済の影響を受ける国内株式への配分を増やすのはリスク分散に反する。
大きな国内市場を持つ米国を除き、主要な公的年金で株式の半分を国内株が占める例はない。21世紀の株式市場は急速にグローバル化しており、内外の別にこだわる理由はなくなっているのだ。金利上昇に備えて国内債券の配分を減らすとしても、それに対応して増やすべきはグローバル株式であろう。
経済政策のために公的年金が自国株式への投資を拡大した例も耳にしたことがない。株価対策のために公的年金が株式投資をする国だという評判が立てば、価格形成の透明性を損ない、長期的には海外投資家を遠ざけることになろう。
経済活性化を目的とした日本株投資の増額は、厚生年金保険法にも定められ、欧米の年金基金の常識でもある「加入者の利益のための運用」に合致するのか疑問である。政府やGPIFの冷徹な議論を期待したい。」
2014年6月28日土曜日
2014年6月21日土曜日
『ベッカー教授、ポズナー判事の常識破りの経済学』
『ベッカー教授、ポズナー判事の常識破りの経済学』の元ネタになったブログ。
ブログがそのまま本になるなんて、クオリティが高いですね。ベッカー教授は日本語版への序文で日本についても触れています。
「日本がかつての経済的強さを取り戻すための最善策は、高い経済成長を達成することである。しかしこの高い成長を妨げる、根本的で是正の難しい問題が人口の状況だ」
2014年6月1日日曜日
『超金融緩和のジレンマ』梅田雅信
日米英欧4中銀の総資産対GDP比率の推移
2013年3月発行の本なので、データは2012年9月までですかね。
マネタリーベース対GDP比率。日銀を嫌いな人達がリーマンショック前を100にそろえて意図的にいかにも日銀の金融緩和が中途半端という印象を与えようとしていたものですが、あれは悪質でしたね。
マネーストック対GDP比率
ソロスチャートが依拠しているマネタリーアプローチは理論の前提が崩れているうえ実証的な説明力も失っている。為替ディーラーが使うツールの一つにも位置付けられないし、金融政策と為替の長期的な関係を論ずるツールとして使うのには慎重であるべき。
リーマンショック後の日米中銀の金融政策動向
〈参照されている主な論文〉
"Ultra Easy Monetary Policy and the Law of Unintended Consequences" White(2012)
September 15, 2012
Richmond Fed President Lacker Comments on FOMC Dissent
Speeches by Richard W. Fisher
Remarks before the Harvard Club of New York City
September 19, 2012
"Economic Outlook and Monetary Policy"
Charles I. Plosser, President and CEO, FRB of Philadelphia
September 25, 2012
Evans "Perspectives on Current Economic Issues" - Federal Reserve Bank of Chicago
"What Does the Change in the FOMC’s Statement of Objectives Mean?"
Thornton (2011) (PDF)
白川総裁記者会見要旨 2008年10月31日 (PDF)
「流動性の罠と金融政策」 植田(2001.9.29)
「日本の消費者物価指数の諸特性と金融政策運営」 梅田雅信(2009)(PDF)
"Fairness as a Constraint on Profit Seeking: Entitlements in the Market" Kahneman, Knetsch, Thaler(1986)(PDF)
"Why Has Wage Growth Stayed Strong?" Mary Daly, Bart Hobijn, and Brian Lucking(2012)
「米国は日本のようなデフレにはならない」 根津利三郎(2010)
"Japan as “Role Model” Krugman(2012.5.30)
"Sticky Wages and the Macro Story" Krugman(2013.7.22)
"Japan as a Role Model?" Richard G. Anderson(2013)
平成24年度版「通商白書」第1章第2節「債務危機により混迷を深めた欧州経済」(PDF)
"The Zero Bound on Interest Rates and Optimal Monetary Policy"
Eggertsson and Woodford (2003)これはよく引用されるね。
"Conventional and Unconventional Monetary Policy" Curdia and Woodford (2010)(PDF)
Curdia and Woodford(2010)は、
1)リザーブの増加が中銀の国債保有増によって賄われる、2)将来の金利政策に関する人々の期待が不変である、といった2つの制約下で、量的緩和政策は総需要を刺激することができないという「量的緩和の無効性命題」を主張している。
"Monetary Transmission at Low Inflatiion: Some Clues from Japan in the 1990s" Meltzer(2001)(PDF)
"The effect of the increase in the monetary base on Japan’s economy at zero interest rates:
an empirical analysis"
"Evaluating Monetary Policy When Nominal Interest Rates are Almost Zero" Fujiwara(2004)(PDF)
"Monetary Policy, Money, and Inflation"
John C. Williams(2012)
「量的緩和政策」 本多、黒木、立花(2010)(PDF)
"The Estimated Macroeconomic Effects of the Fed's Large-Scale Treasury Purchase Program"
Fuhrer, Olivei(2011)(PDF)
"Methods of Policy Accommodation at the Interest-Rate Lower Bound"
Michael Woodford(2012)(PDF)
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