「「膨大な情報『ビッグデータ』を分析して、実社会で何かしら役立つことを抽出し、論理的な解を導き出す」のがデータサイエンスであり、「データのプロとしてデータの取得、蓄積、解析、検証の全段階に関与して責任を持つ存在」がデータサイエンティストです。
データサイエンスは、実は日本が発祥という歴史。1990年代に統計数理研究所の所長の林知己夫先生が数量化理論を中心とした「データの科学」を、そして同時期に慶應義塾大学教授の柴田里程先生が「データから新たな価値を創出する科学」として「データサイエンス」を提唱したのが始まりです。
現在は米国経由で再輸入され、企業の経営やマーケティング戦略立案のヒントが得られるともてはやされているデータサイエンスやデータサイエンティストですが、林先生や柴田先生が掲げた当初の姿とは少々違った形で広まっているのではないかと危惧しています。
データサイエンスは「データに語らせる」ための科学です。与えられたデータを自らの仮説を検証する目的で解析するだけなら、それは「データを黙らせる」ことであり、適当なソフトウェアを動かせば済むでしょう。
上司の指示に従ってプログラムを動かしレポートにまとめる大量の「兵隊=データサイエンティスト」さえ用意すれば、人海戦術でなんとかなるとの楽観論に基づいているように思えます。しかし、それがどれだけの価値の創造に結びつくのか。ひょっとすると見当違いな結果を生み出す危険なアプローチかもしれません。
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