2018年3月25日日曜日

Go言語

Go言語も面白そうです。

下記のURLからインストーラをダウンロードすることが可能です。

https://golang.org/dl/


ダウンロードしたファイルをインストール。

以下の最初のコードをテキストエディタで作成。「hello.go」というファイル名で保存。その際、マルチバイト文字エンコーディングをUTF-8にするよう注意。

package main

import "fmt"

func main() {
  fmt.Println("Go言語はじめました!")
}

 コマンドプロンプトから実行。
go buildでビルドすることも可能です。



2018年3月12日月曜日

金融政策の「誤解」 第3章「リフレ派」の錯誤 早川英男

早川英男の『金融政策の「誤解」』の第3章でリフレ派の問題点について整理されていたので、忘備にメモ。

「リフレ派」の定義

内閣官房参与の浜田宏一はしばしば欧米の主要なマクロ経済学者のほとんどは自分と同意見だとの趣旨の発言をされるが、その場合のリフレの定義は「デフレは経済にとって望ましくない状態だから、中央銀行はデフレに陥ることのないように、またデフレに陥ってしまった場合は、そこから早く脱出できるように金融政策を行うべきである」という広いものだろう。しかしこれでは早川氏を含めてほとんどの(元)日銀関係者はリフレ派に含まれてしまう。リフレ派が口を極めて非難してきた日銀も「ずっとリフレ派だった」という大変奇妙なことになってしまう。

早川氏は以下の命題のすべてを基本的に受け入れる人たちを狭義の「リフレ派」と定義

【命題1】過去20年あまりにわたる日本経済の長期低迷は、基本的に需要不足によるものであり、需要不足をもたらした主因はデフレにある。

【命題2】ゼロ金利の下でも中央銀行が使える有効な金融政策手段は十分にあり、ゼロ金利制約はあまり深刻な問題ではない。

【命題3】財政政策に関しては、次のようなポジションを採る。
①財政政策、とくに財政支出の増加はマクロ経済に対して一般に有効ではない。
②にもかかわらず、なぜか消費税増税は景気に極めて大きなマイナスのインパクトを与える。
③財政赤字の問題は、デフレ脱却の結果としての経済成長によって大部分解決できる。

これらの認識を共有する人たちのグループが実体として存在し、「デフレこそ諸悪の根源」とすることで、財政健全化や潜在成長力の強化といった、より重要で困難な課題から政治家や一般国民の眼を背けさせてしまう点に問題がある。

「リフレ派」の主張は整合的か

命題1については、過去15年間の物価下落率は年率わずか0.3%だった。その程度のデフレが本当に「失われた20年」と呼ばれる日本の長期低迷の主な原因とは思われない。
また、2000年以降の日本の人口一人当たり成長率は他の主要国に劣るものではなかったので、日本の低成長の少なくとも一部は人口減少(生産年齢人口の減少)に起因する。

命題2に関して、「ゼロ金利の下での金融政策」というテーマは世界の金融マクロ経済学の大きなテーマであり続けた。命題2のように言い切ってしまうのはデフレからの脱却の困難を過小評価している。

日本経済の長期低迷の原因として需要不足以外の構造的問題を重視していない、あるいはゼロ金利制約を重視していないことはリフレ派特有の楽観論の表れである。

命題3は奇妙な命題の組合せである。①はマンデル=フレミングの参照だろうが、②と①はあっきりと矛盾する。また、1990年代後半以降日本の長短金利はほぼ常に低水準に張り付いていたので、①はずっと成立しなかったはずである。

リフレ派の困った議論①: 後出しじゃんけん
リフレ派が次々といろいろな金融緩和手段を提案し、日銀がその提案を実行に移すと、彼らは最初には歓迎を示すが、時間が経って思ったような効果が出ないとみるや、必ず「やり方が足りない」と言い出す。最初は誰をも驚かせた黒田日銀のQQEに対してさえ、一部のリフレ派はやがて「これでは足りない」と言い出したのである。

リフレ派の困った議論②: 精神論
もう一つは、「信念が足りない」という精神論である。白川日銀に対するリフレ派の「みずからが政策効果への信念を持たないから、効果が出ないのだ」という批判は、「必勝の信念さえあれば、おのずと途は拓ける」という旧帝国陸軍の主観主義・決断主義を彷彿とさせるものだった。

期待一本槍の政策論:主観主義の錯誤
リフレ派の政策論は期待一本槍の主観主義となっている。リフレ派のもともとの主張はマネタリズムだった。しかし1980年代以降、各国で金融自由化が進むと、マネーと実体経済の関係が不安定化して多くの中央銀行はマネタリズムを捨てて金利ベースの政策に戻っていった。岩田規久男らのマネタリズムは時代遅れだった。
実際に日銀が量的緩和を行ってもマネーストックはほとんど増えなかった。理論だけでなく現実にも貨幣乗数のメカニズムは働かないことが明らかになった。「マネタリーベースの増加がマネーストックを増やして物価上昇につながる」と言えなくなったリフレ派は、「インフレ期待に影響を及ぼす」という以外に道がなくなった。

成長余力の過大評価:楽観主義の錯誤
リフレ派は雇用が増えたことをアベノミクスの最大の成果として誇示するのだが、GDPが増えずに雇用が増えたのは生産性が低下したためであり、人口減少の下ではそれは極めて低い潜在成長率を含意するという、シンプルな論理的帰結には気づいていないようだ。

「出口」なき大胆な金融緩和: 決断主義の錯誤
日本の場合、QQEからの出口において米国以上の困難が待ち受けている。
第一に、金融機関が大量の長期国債を保有しているため、長期金利が急騰すると金融機関のバランスシート毀損につながり、極端な場合には金融システムの不安定化を招くリスクがある。
第二に、日銀のバランスシートも、当然ながら大きく毀損する。これは国民負担を意味する。
第三は、政府の財政への負担である。日本の公的債務残高は名目GDPの2倍以上で、長期金利が急騰すれば、政府財政にとって大きな負担増となる。

2018年3月11日日曜日

千野帽子『人はなぜ物語を求めるのか』(2017)

非常に学ぶことの多い本でした。お勧めです。

「ストーリーにおいて、因果関係を言語で表現するときに、原因と結果とを結ぶ接続語句には「(だ)から」「ので」「ため(に)」などがあります」

A: 道内の東側で高気圧が停滞(原因)
B: 「高気圧が停滞すると前線の動きが鈍くなるはず」(一般論)
C: 長期間にわたって強い雨が降った(結果)

このような記述が成立し、理解されるためには、蓋然性のmust(「はずである」)が「一般論」として受け入れられていなければならない。

人為が介在しない物理的な因果関係であれば話はシンプルで必然的。

結果に人間の行動が介在している場合の因果関係では、人間が外界からの刺激に対して反応するとき、往々にしてそこに感情が介在する。極端な例では暴力事件において衝動に駆られた容疑者が〈かっとなって〉反応してしまうケースがある。

米国の臨床心理学者アルバート・エリスは、人間の感情は次のようにして生まれるという。

A: activating event きっかけ
B: belief 信念
C: consequence 結果

できごとが人にある感情を抱かせるのは、そもそもその人があらかじめある種の信念を持っているからだという(beliefは、自分が自覚せずに持っている考えのようなものまで広くさす)。

同じできごとを前にして、人によってリアクションが違う理由が、ここにある。人によって抱いている信念が違うからだ。

Bの一般論は、じつのところ、「人は私が欲するとおりに行動するべきである」というふうに抽象化することができる。

歌手を刺してしまった人も、体罰をしてしまった教師も、駅で列に割り込みされて〈かっと〉なった人も、「人は私が欲するとおりに行動するべきである」という一般論を抱いているから〈かっとなって〉しまったのだとわかる。

「人は私が欲するとおりに行動するべきである」は信念としては不適切であり、現実世界には妥当しない。人間はしばしばこのような不適切な一般論を、知らず知らず抱いてしまっている。そしてそのことの自覚がない。

人間は、「「自分は自分の意志に従って環境を変えることができるし、そうするべきである」(must)という一般論に、しばしばとらわれてしまいます。いわば「コントロール幻想」です」

「じっさいには、他者や環境や状況は、いつでも操作できるとは限らない。その当たり前のことが明らかになっただけで、人はネガティブな反応を示してしまいます。人間には操作できる対象とできない対象があります。同じ対象でも、操作できるときとできないときがあります。たとえ対象が自分が望んだとおりの行動をしたとしても、それはただの偶然か、その対象自体の自発的行動の結果であって、こちらの働きかけの結果ではない、ということだってよくあります」

「「させる」という使役表現や、命令形という動詞の使い方は、こういった人間の「コントロール幻想」という不適切な信念と関係があります。あいつの発言は不愉快なので、黙らせたい。夫婦(恋人)なのだから、自分の気持ちを、説明しないでもわかってくれるべきだ。自分の子どもなのだから、こうなってほしい、いや、なるべきだ。こういった思考は、コントロール幻想そのものです」

〈人々を不安にするものは事柄ではなくして、事柄に関する考えである〉(エピクテトス『提容』)

事柄は自分の管轄外だけれど、事柄に関する考えは自分の管轄内だから、後者のほうは制御可能であり、そこさえ制御してしまえば〈不安〉のない状態で〈事柄〉に対処することができる。

「自分の過去のストーリーメイキングを捨てないと、つぎが開けない」

・感情につき動かされて行動することは選択肢をみずから手放すことであり、「自由」からもっとも遠い
・世界でひとつだけ選択可能なものは、できごとにたいする自分の態度である
・人はストーリーを理解しようとするとき、登場人物の信念や目的を推測・解釈している
・人はストーリーや世界のなかで多くのことを決めつけて生きている
・自分の生きる指針(ライフストーリーメイキング)のせいで苦しむこともある
・従来の生きる指針を捨てるのは先の保証がなく、崖から落ちるくらい怖いが、そうする自由はつねにある

「僕たち人間は日常、世界をストーリー形式で認知しています。そのとき、僕たちはストーリーの語り手であると同時に読者であり、登場人物でもあるのです。物語る動物としては、自分や他人のストーリーに押しつぶされたり、自分のストーリーで人を押しつぶしたりせずに、生きていきたいものです」

読書案内
『消えたい 虐待された人の生き方から知る心の幸せ』 高橋和巳
『生ける屍の結末 「黒子のバスケ」強迫事件の全真相』 渡邊博史
『女子をこじらせて』 雨宮まみ
『大きらいなやつがいる君のためのリベンジマニュアル』 豊島ミホ
『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』 頭木弘樹
『可能世界・人工知能・物語理論』 マリー=ロール・ライアン
『フィクションとディクション』『物語のディスクール』『物語の詩学』 ジュネット 
『物語における読者』 ウンベルト・エーコ
『批評の解剖』 ノースロップ・フライ
『ナラトロジー入門』 橋本陽介
『物語の森へ』 マルティネス+シェッフェル
『関連性理論』 スペルベル+ウィルソン
『メンタル・スペース』 フォコニエ
『フィクションの修辞学』 ブース
『ミメーシス』 アウエルバッハ
『言語のざわめき』 バルト
『小説における時間と時空間の諸形式』ミハイル・バフチン
『フィクションとは何か』 ウォルトン
『虚構世界の存在論』 三浦俊彦
『サイバネティックス』 ウィーナー
『メタマジック・ゲーム』 ホフスタッター
『知るということ』 渡辺慧
『行為としての読書』 イーザー
『偶然の本質』 ケストラー
『偶然性の問題』 九鬼周造
『生きるよすがとしての神話』キャンベル
『エゴ・トンネル』 メッツィンガー
『他者のような自己自身』リクール
『デカルトの誤り』 ダマシオ
『知恵の樹』 マトゥラーナ+バレーラ
『ユーザーイリュージョン』 ノーレットランダーシュ
『一般システム理論』 ベルタランフィ
『ゲシュタルトクライス』 ヴァイツゼッカー
『生物から見た世界』 ユクスキュル
『我と汝 対話』 ブーバー
『善の研究』 西田幾多郎
『無心ということ』 鈴木大拙
『暗黙知の次元』 ポランニー
『内臓とこころ』 三木成夫
『表現学の基礎理論』 クラーゲス
『仏教思想のゼロポイント』 魚川祐司
『望郷と海』 石原吉郎
『生きる勇気』 ティリッヒ
『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』 二村ヒトシ


2018年3月3日土曜日

『経済数学入門の入門』 田中久稔


経済学に興味があるけれどどこから手をつければいいか分からない人が、最初に読むのに最適な一冊ですね。「微分、偏微分、最適化問題、差分方程式、動的計画法など、経済学に登場する様々な数学に出会います。特に、経済数学では最も重要なテーマである最適化問題が中心的なトピックになります」

この本だけでは足りないので、この次の本は、経済学の本ではなくてもう少し本格的な「経済数学」の本を読むのがいいと思います。結果的にその方が近道だと思います。

第7章はマクロ経済学と差分方程式

「ポントリャーギンの最大値原理は、最短時間でロケットを目標地点まで運ぶための数学理論として開発されたものでした。それが現在は経済学に応用されていると知ったら、ご本人もさぞや驚くことでしょうね」

そうだったのか!

「最適成長理論に用いられるのは、最適制御理論という応用数学の一分野です。この分野の基礎にあるのはポントリャーギンの最大値原理と呼ばれる大定理です。ポントリャーギンはロシアの天才数学者で、一人の人間の仕事とは思えないくらい広範囲の分野で巨大な業績を残しています」

「ポントリャーギンの最大値原理を用いて導き出された条件を整理してみると、最適な消費と資本の成長経路が従う2つの差分方程式が得られます。そのうち一つは資本の成長経路を記述するものであり、本質的にはソロー・モデルと同じ内容の式です」

「もう一つの方程式は、「予想された来期の資本と消費に基づいて今期の消費を決定する」という、時間を逆転させた不思議な差分方程式であり、オイラー方程式とよばれています。これは人類最強の大数学者レオンハルト・オイラーが天文学の問題を解いている過程で見出したものと数学的に同値」

第8章は動的計画法

「ベルマン方程式を用いて最適化問題を解く方法は、動的計画法と呼ばれます。ベルマン方程式は、正式名称をハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式といいます。これは、19世紀の大数学者ハミルトンとヤコビの2人が古典力学の問題を解くために開発したハミルトン・ヤコビ方程式を、20世紀アメリカの応用数学者リチャード・ベルマンが拡張したものです」

「このように、現代的なマクロ経済学には物理学の分析手法が多く現れますが、これはどちらの学問領域も、目的関数を最適化しつつ時間とともに変動する変数の動きを追跡する学問であるから自然なことです」

「物理学とマクロ経済学の違いを挙げるなら、物理学の分析対象は過去から未来へ流れる時間のなかで活動しているのに対して、マクロ経済学の分析対象は未来を予想して現在の動きを決める、逆行した時間のなかで意思決定を行うことです。この点で、マクロ経済学のほうが物理学よりも「難しい」問題を解いていると言えます」

『経済数学入門の入門』の読書案内。入門レベルのテキストとしては次の三冊を紹介。

『改訂版 経済学で出る数学: 高校数学からきちんと攻める』尾山、安田[2013]

『経済数学入門 初歩から一歩ずつ』丹野[2017]

『現代経済学の数学基礎〈上・下〉』チャン、ウエインライト[2010]

本格的なテキストとして

『経済数学教室(全9巻)』小山[2010]

これ、私も欲しいんだよなぁ。

経済学の教科書で数学を学ぶ

『ミクロ経済学』西村[1990]

やさしい本として
『経済学部は理系である!?』井堀[2017]

グローバル・スタンダードとして
"Microeconomic Theory" Mas-Colell,  Whinston, Green [1995]

"Microeconomic Analysis" Varian[1992]
翻訳『ミクロ経済分析』は版が古い。

トピック別

『ラング線形代数学(上・下)』ラング[2010]

『新微分方程式対話 新版』笠原[1995]

位相集合論
『経済数学』丸山[2002]

"Recursive Methods in Economic Dynamics" Stokey, Lucas [1989]

経済学と数学の歴史

『入門経済思想史 世俗の思想家たち』ハイルブローナー[2001]

『近世数学史談』高木[1995]

『ヒルベルト 現代数学の巨峰』リード [2010]

2018年2月18日日曜日

PythonでGUIのエクスプローラーからファイルを開く

最近、あまり更新していなかったけれど、もう少しブログをちゃんとやろうと思う今日この頃。
図書館で「しんせつなPython」という初心者向けの本を借りてきたのだけれど、Python2.7らしく私のPython3だといくつかエラーになる。printが最たるものだけれど、GUIを使ってファイルを開くtkFileDialogもPython3だと動かない。代わりに

import tkinter
import tkinter.filedialog
my_file = tkinter.filedialog.askopenfilename()
print(type(my_file))
print(my_file)

とするとGUIのエクスプローラーが開く。上のコードをテキストエディタでmain.pyというファイル名で保存して、プロンプトから"python main.py"と入力。


 GUIのエクスプローラーが開く。そこで青空文庫からダウンロードした漱石の『吾輩は猫である』のテキストを選ぶとファイルタイプとファイル名がプロンプトに表示される。

《テキストを読み込む》
以下の.pyファイルを作成して実行。

import tkinter
import tkinter.filedialog
from codecs import open
my_file = tkinter.filedialog.askopenfilename()
data=open(my_file,"r","shift_jis")
for row in data:
    print(row)

するとエクスプローラーが立ち上がるので、『吾輩は猫である』のテキストを選ぶとプロンプトに『吾輩は猫である』が読み込まれる。

《文字数のカウント》
以下のプログラムをmain3.pyという名前で保存して実行

import tkinter
import tkinter.filedialog
from codecs import open
my_file = tkinter.filedialog.askopenfilename()
my_data=open(my_file,"r","shift_jis")
my_words=my_data.read()
print(len(my_words))

すると『吾輩は猫である』の文字数がカウントされる。結果は377,326文字。




2018年2月10日土曜日

Webブラウザでプログラミングが学習できるサイト「CodingGround」

Webブラウザでプログラミングが学習できるサイト



PythonをPCにインストールしないまま、Webブラウザでプログラミングが学習できる「CodingGround」、プログラミングに慣れていない人にとっては、Web上で気軽にプログラミングを試せるのは便利かもしれない。

あと、PCがなくてもスマホやタブレットで気軽にPythonすることができる。

「Online Terminals」のPython3のアイコンをクリックすると深緑色のターミナルの画面になるので「python」と入力するとWeb上でPythonが起動する。



2017年12月16日土曜日

植野剛「機械学習とは何か?」

証券アナリストジャーナル2017/8月号の植野剛「機械学習とは何か?」。AIとは現段階では機械学習のことであり、それはイコール統計学だと明快に述べている。「機械が学習するとは(中略)データから予測や意思決定モデルのパラメータを統計的に推定することである」
「言い換えれば、機械学習と統計学は学習と推定という異なる言葉を使っているが数理的には全く同じ問題を扱っている」
植野氏は、機械学習は数理的には統計学であるが、科学的アプローチではなく工学的アプローチであり、これが真実を知るツールとして適当か否か熟考するように強く問うている。
「機械学習と統計学の違いはその目的にある。統計学はデータ解析を通して「対象とする現象を理解すること」に重きを置いている。よって、可読性の高い単純なモデルー線形モデルを用いて、予測・意思決定の性能だけでなく、その背後のメカニズムを科学的に分析する。
機械学習は高精度な予測・意思決定を実現することに重きを置いている。性能向上につながるならば、線形モデルに固執することなくブラックボックス性の高い複雑なモデルを利用する。このときモデルの可読性は完全に失われどのようにして予測、意思決定がなされているかを解釈することは不可能となる」

ヴァプニック「アインシュタインは「答えが単純であるとき、神が答えている」と言った。これは法則が単純であれば、見つけることができることを意味している。また、「考慮する要因が多いとき、科学的手法は失敗する」とも言っている」

「さて、実世界とは単純なのか?それとも複雑なのか? 複雑な世界を扱うときはこれまでと全く異なるアプローチをとるべきである。例えば、複雑な世界ではよりよい予測を実現するためには、説明可能性を諦めるべきである。」

「確率最適制御は、モデルを介してシステムの確率過程を同定し、その同定したモデルから効用関数を最大にする意思決定則を導出する。一方、強化学習はシステムの確率過程の同定を行わず、適当な意思決定則を用いてデータを収集し、そのデータを基に効用関数が大きくなるように意志決定則を学習する。
このデータ収集ーサンプリングと学習を繰り返すことで最適な意思決定則を導出する。つまり、強化学習は確率最適制御と異なり、システムの確率過程について知らなくても(同定しなくても)最適な意思決定則を見つけることができる。この研究を発展させたのがディープマインド社によって開発された囲碁AI「アルファ碁」である。
強化学習は強力な手法であるが、大きな欠点も併せ持つ。それは学習をするために多くのサンプリングを必要とする点である。ゲームAIは計算機上でシミュレーションができるため、大量のサンプリングを実現することができる。しかし、精巧なシミュレーションが存在せず、データの入手が困難な問題、例えば資産運用に適用しても学習は機能しない。強化学習をこのような問題に適用するためには、なんらかのデータの不足を補うアイディアが必要となる」

「市場のダイナミクスを効率よく予測できたと仮定して、その予測のメカニズムは果たして人間に理解できるようなものなのか?別の言い方をすれば「人間に理解できる程度の論理で市場のダイナミクスを説明できるのだろうか?」」

「今後、金融において機械学習と付き合っていくならば、この透明性の議論は避けては通れない。市場のような複雑な世界と対峙していくのに当たって、透明性を求めていくには限界がある。従来の方法のようにシンプルなモデルによる完全な透明性を求めるのではなく、ホワイトボックスの部分とブラックボックスの部分が混在するハイブリッドなモデルを介して部分的な解釈性を求めるアプローチなどが有力なのではないかと筆者は考えている。」

"Statistical Modeling: The Two Cultures" Leo Breiman(2001)

"“Learning Has Just Started” – an interview with Prof. Vladimir Vapnik"

"Reducing the Dimensionality of Data with Neural Networks"
G. E. Hinton* and R. R. Salakhutdinov(2006)

"Deep learning" Yann LeCun, Yoshua Bengio & Geoffrey Hinton(2015)