2012年9月30日日曜日

Finance and the Good Society


これまでクオンツの開発業務を8年間行ってきたが、10月から部署を移動することになった。これまでは休日も家でプログラムを書いたりしていて自分の時間がなかったが、これからは少し余裕ができて、時間がなくてこれまで読めなかった本を読んだり、好きなことができるようになると思う。ブログもより趣味的なことが書けるようになると思う。
とりあえずICSで林文夫先生のEconometricsの科目履修が始まるので、それについても書いていきたい。また、林先生の"Econometrics"の本の勉強についても書いていきたい。

ということでRobert Shillerの"Finance and the Good Society"を読み始める。Introductionはこちらで読むことができる

シラー氏によると「我々は金融資本主義(financial capitalism)の時代に生きている。それを残念に思うべきではない。金融セクターと市民社会の双方における我々の課題は、経済システムの中で人々が意味と大きな社会的目標を見つけだすことを手助けすることである。
最も広いレベルでのファイナンスの定義としては、『目標構成の科学(the science of goal architecture)―いくつかの目標を達成するために必要な経済的調整と達成に必要な資産の世話の構成』である。目標は、家計、商店、企業、市民組織、政府、そして社会そのもののそれぞれにとってのものであるかもしれない。一旦、目標が特定されると(例えば大学教育の支払い、夫婦の快適な引退生活、レストランの開店、病院の増築、社会保障システムの創設、月旅行など)、当事者は正しい金融ツールが必要になるし、また、しばしば専門家の指導が目標達成のために必要となる。この意味でファイナンスはエンジニアリングと相似である。
「ファイナンス」という言葉が古いラテン語で「目標(goal)」という意味の「finis」からきていることは、興味深く、また一般に見過ごされている事実である。
ファイナンスは、目標がどうあるべきかについては教えてくれない。ファイナンスはゴールを具体化しない。ファイナンス自体は「making money」に関することではない。ファイナンスは社会の目標達成を手助けするために存在する機能上の科学である。
社会における金融機関が社会の目標と理想によりよく加担するほど、社会はより強く、より成功したものになる。そのメカニズムが機能しないとサブプライム・モーゲージ市場のように腐敗したもにになる。しかし、適切に機能させれば、高いレベルの繁栄を促進させる独自の可能性を持っている。」