2012年1月22日日曜日

金融数理の基礎 第14回

二項モデル
取引戦略(trading strategy)、投資家のモデル化(初期の富、取引戦略)、(Fk)-可予測過程、k-1時点に合わせるか、k時点に合わせるか。
ポートフォリオ価値過程。
《裁定》 (arbitrage)
取引戦略(trading strategy)の定義、無裁定(no arbitrage)、
資産の価格付けの第一基本定理(the first fundamental theorem for asset pricing)
二項モデルにおいては「無裁定=d< 1+r <u」
無裁定⇔リスク中立確率が存在すること、状態価格密度が存在する
リスク中立確率の存在から無裁定を証明するのは比較的簡単、逆は難しい(分離定理などが必要)。
デリバティブの複製戦略
リスク中立確率測度、同値マルチンゲール測度

2012年1月21日土曜日

金融数理の基礎 第13回

数理ファイアンスへの応用:離散時間モデル

数理ファイナンスで離散時間モデルを導入する方法としては、次の2つが一般的
(1)「d資産×m状態」といった多資産で有限状態の世界を考えて、線形代数や初歩的な関数解析の知識に基づいて議論を展開(ダフィー「資産価格の理論」、ランベルトン、ラペール「ファイナンスへの確率解析」など)。
(2)2項モデル(Cox-Ross-Rubinsteinモデル)に集中し、連続時間のBlack-Scholesモデルへのショート・カットを目指す(ハル「フィナンシャル・エンジニアリング」、シュリーヴ「ファイナンスのための確率解析1」など)。
この授業では(2)の観点。
二項モデルの定式化。離散時間。
(1)安全資産:各時点のリターンが確定的(時間の関数)
(2)危険資産:各時点のリターンが不確実(確率過程)
(3)デリバティブ:将来のペイオフが不確実なもの。危険資産の不確実性と連動(ペイオフが危険試算価値の関数)。(確率過程)
デリバティブは(1)と(2)の組合せで複製できる。

2012年1月15日日曜日

Andrew Lo教授、テクニカル分析、金融危機の21冊

相場において、あるポジションを維持する期間の長さによってどの要因を重視するかが異なりますね。長期投資の場合はファンダメンタルズが大事ですが、期間がどんどん短くなってくると価格の変動そのものが重要になってきますね。このブログはデイ・トレーダーの方々にも見ていただいているかもしれませんが、日計り商いが中心の場合は、ファンダメンタルズはほとんど変化しないので価格の変動が中心になります。
価格の変動を分析するとなると「テクニカル分析」と呼ばれるものを思い浮かべます。私も若い頃にテクニカル分析をかなり研究しましたが、「移動平均」や「エリオット波動」、「一目均衡表」、「RSI」といったもので安定的に儲けるのは難しいんじゃないかと思いました(ただし、世の中にはこれらを使って儲けていらっしゃる方もいるかと思います)。他方、「トレンド・フォロー」などは対象商品や期間によっては有効ではないかと感じています。
最近ではクオンツ系のヘッジ・ファンドの一部はかなりハイ・フリークエンシー(高頻度)な取引に特化して安定的に利益をあげているものも少なくないようです。彼らはやはり価格データのパターン分析でなどでポジションを管理していると思います。ジム・シモンズのルネッサンス・テクノロジーズなどもそうだと考えていますが、実態は隠されているので不明です。
アカデミックなファイナンスの先生がテクニカル分析について論文を書くことは珍しいのですが、MITのAndrew Lo教授はその例外的な中の一人です。
テクニカル分析についての論文をThe Journal of Financeに載せるとは、さすがLo先生。「必ずしも超過利益を生み出すわけではないが、特にNASDAQ銘柄において三尊天井などのテクニカルなパターンは追加の情報を提供する」と。
Lo教授は幾つか本も出されています。有名なのが「ファイナンスのための計量分析」です。私の好きなCampbell教授、MacKinlay教授と書かれた良い本です。またMacKinlay教授と書かれた「A Non-Random Walk Down Wall Street」も非常に面白い本です。基本的に論文を一冊にまとめた本なのでかなり高度な統計分析が行われています。

最近はヘッジファンドの分析などもされていて、「Hedge Funds」という本を出されています。これも論文をまとめて本にしたものです。例えば、HFのリターンを流動性のある市場ツールで複製した論文も含まれています。

Lo教授とは全く関係ありませんが今読んでいる、"Forecasting and Hedging in the Foreign Exchange Markets (Christian Ullrich)"でもパターン分析の手法であるベクトル・サポート・マシーン(VSM)を使って為替を予測しようとしています。最近は、高頻度データも揃ってきたし、株式や為替のデイ・トレーディングも盛んなので、パターン分析的な手法が増えるのかもしれません。
Lo教授が金融危機について書かれた21冊の本についての書評を書かれています。まだ読んでいませんが、これから読んでみようと思います。
取り上げられている本は以下の21冊です。
" Acharya, Richardson, van Nieuwerburgh, and White, 2011, Guaranteed to Fail: Fannie Mae, Freddie Mac, and the Debacle of Mortgage Finance. Princeton University Press.
" Akerlof and Shiller, 2009, Animal Spirits: How Human Psychology Drives the Economy, and Why It Matters for Global Capitalism. Princeton University Press.「アニマルスピリット」
" French et al., 2010, The Squam Lake Report: Fixing the Financial System. Princeton University Press.
" Garnaut and Llewellyn-Smith, 2009, The Great Crash of 2008. Melbourne University Publishing.
" Gorton, 2010, Slapped by the Invisible Hand: The Panic of 2007. Oxford University Press.
" Johnson and Kwak, 2010, 13 Bankers: The Wall Street Takeover and the Next Financial Meltdown. Pantheon Books.「国家対巨大銀行」
" Rajan, 2010, Fault Lines: How Hidden Fractures Still Threaten the World Economy. Princeton University Press.「フォールト・ラインズ」
• Reinhart and Rogoff, 2009, This Time Is Different: Eight Centuries of Financial Folly. Princeton University Press.「国家は破綻する」
• Roubini and Mihm, 2010, Crisis Economics: A Crash Course in the Future of Finance. Penguin Press.「大いなる不安定」
• Shiller, 2008, The Subprime Solution: How Today’s Global Financial Crisis Happened and What to Do About It. Princeton University Press.
• Stiglitz, 2010, Freefall: America, Free Markets, and the Sinking of the World Economy. Norton.「フリーフォール」
" Cohan, 2009, House of Cards: A Tale of Hubris and Wretched Excess on Wall Street. Doubleday.
" Farrell, 2010, Crash of the Titans: Greed, Hubris, the Fall of Merrill Lynch, and the Near-Collapse of Bank of America. Crown Business.
" Lewis, 2010, The Big Short: Inside the Doomsday Machine. Norton.「世紀の空売り」
" Lowenstein, 2010, The End of Wall Street. Penguin Press.
" McLean and Nocera, 2010, All the Devils Are Here: The Hidden History of the Financial Crisis. Portfolio/Penguin.
" Morgenson and Rosner, 2011, Reckless Endangerment: How Outsized Ambition, Greed, and Corruption Led to Economic Armageddon. Times Books/Henry Holt and Co.
" Paulson, 2010, On the Brink: Inside the Race to Stop the Collapse of the Global Financial System. Business Plus.「ポールソン回顧録」
" Sorkin, 2009, Too Big to Fail: The Inside Story of How Wall Street and Washington Fought to Save the Financial System from Crisis and Themselves. Viking.「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」
" Tett, 2009, Fool’s Gold: How the Bold Dream of a Small Tribe at J.P. Morgan Was Corrupted by Wall Street Greed and Unleashed a Catastrophe. Free Press.「愚者の黄金」
" Zuckerman, 2009, The Greatest Trade Ever: The Behind-the-Scenes Story of How John Paulson De fined Wall Street and Made Financial History. Broadway Books.「史上最大のボロ儲け」

2012年1月8日日曜日

イチゴ狩りと鴨川シーワールド

正月休みを利用して、イチゴ狩りと鴨川シーワールドに行ってきた。
海ほたる
海ほたるで売っていた「HELLO氣帝團」と「yoshikitty」
「館山いちご狩りセンター」30分食べ放題、1/2~1/9の期間は大人1600円。種類は章姫。とってもおいしかった。「館山ファミリーパーク」でパターゴルフを楽しむ。夜は「グランドホテル太陽」に泊まる。海のすぐそばで窓から水平線が見える。バイキングもおいしかった。設備はやや古めだが問題なし。
翌日に「鴨川シーワールド」へ。ここは動物の種類が多く、イルカ、アシカ、ベルーガやシャチのショーも充実していて楽しめる。設備もきれいでメンテナンスがしっかりしていることを感じる。
ベルーガは互いにコミュニケーションができる。一頭に目隠しをして、もう一頭に回転する指示を与えると、それが目隠しをしているほうにも伝えて一緒に回転していた。頭部のコブのなかはほとんど脂肪。体中も分厚い脂肪で覆われている。北極海に生息。




アシカのパフォーマンス。司会の女性がうまい。
私の大好きなセイウチ。
青い水平線 今駆け抜けてく 研ぎ澄まされた 時の流れ感じて~♪



2012年1月1日日曜日

金融数理の基礎 第12回

マルチンゲール
  • 無裁定条件の下での割り引き原資産価格
  • ヨーロピアン・オプションの価格
supermartingale
  • アメリカン・オプションの理論
submartingale
  • 信用リスクの誘導型モデル(強度モデル)
Doobの分解定理
Doob-Meyer分解(連続時間)

金融数理の基礎 第11回

条件付期待値
  • 条件付期待値は常に存在する。かつ一意(確率1の意味で)に存在する。
  • それはRadon-Nikodymの定理という測度論の結果から言える
  • いくつかの性質(Jensenの不等式)
マルチンゲール(公平なゲームをモデル化するためのツール)
  • マルチンゲール
  • 優マルチンゲール(supermartingale)
  • 劣マルチンゲール(submartingale)

金融数理の基礎 第10回

期待値
  • 加算加法的集合関数
  • 単関数
  • 非負の可測関数(単関数の列で収束近似『単調収束定理』)
条件付期待値
  • 期待値⊂条件付期待値
  • 期待値は「実数」、条件付期待値は「確率変数」