2009年5月23日土曜日

線形代数

ポイントの整理

内積。ちょいと変形してコーシー・シュワルツの不等式。
線形結合。非負線形結合、アフィン結合(ショートポジションも考慮)、凸結合(ロング・ポジションのみ)。

線形空間(加法則、スカラー則)。部分空間。span。射影。

線形独立、線形従属。

基底、完備。次数。

ベクトルの内積、ノルム。直交。

正方行列、対称行列、直交行列、対角行列。行列の基本変形。逆行列。
線形方程式。階数((rank)。階段行列。三角行列。

LU分解、QR分解。一般化逆行列。行列式。固有値、固有ベクトル。
二次形式。行列の対角化。コレスキー分解。特異値分解。

ベクトルの射影。部分空間への射影。m次元実数空間での射影と最小二乗解。グラム・シュミットの直交化法。

生存時間分析

証券化と財務戦略の宿題のために「生存時間分析(Survival Analysis)」を勉強。キーワードは、

打ち切り(censoring)、生存関数、ハザード関数、累積ハザード関数、パラメトリックな生存関数として「指数分布、Weibull分布、Loglogistic分布、対数正規分布」、ノンパラメトリック・モデル(Kaplan-Meier推定値)、共変量の生存時間への影響を考慮するモデルとして比例ハザードモデル、ハザード比、累積ベースライン・ハザード関数、パラメトリックな比例ハザードモデル、セミ・パラメトリックな比例ハザードモデルであるCox比例ハザードモデル、等。

Cox比例ハザードモデルはもともとは医学で使われていたので、参考書も朝倉書店の医学統計学シリーズ3の「Cox比例ハザードモデル」が指定された。信用リスクにも通じるので、「信用リスク評価の数理モデル」(木島、小守林)の6章にも少し出ている。

あとは、金融数理入門のテスト勉強として線形代数、微分、積分。

ゼミの準備。

Chacko and Neumar(2006) "Perturbation methods for dynamic portfolio allocation problems" (Handbook of Asset and Liability Management, Vol 1の8章)を読んでいて、キャンベル、ビセイラの考え方が摂動法(perturbation method)の応用なのだとようやく気づいた。そもそも摂動法が分かっていない。摂動法を勉強するために「漸近級数と特異摂動法」を買う。また「特異摂動の代数解析学」を借りる。

摂動法は微分方程式の近似解を求める手法らしい。ただ、微分方程式の厳密解がえられるものはごく限られているように、摂動法の適用範囲も限定的らしい。それに対して高精度の近似解を得る体系的方法が特異摂動法(singular perturbation methods)らしい。境界層理論、漸近接続、WKB法、複スケール解析などをまとめて特異摂動法というそうだ。期待が持てる内容でがんばって勉強したい。修論に使えるといいのだが。

動的ポートフォリオ問題を解く場合、ベルマン方程式と呼ばれる偏微分方程式を解く問題に帰着する。またはマルチンゲールを利用する。問題は、対数効用やベキ効用で投資機会が一定という特殊なケース以外は、PDEが非線形で解が求まらないことである。

Chacko and Neumar(2006)は摂動法を利用することで複雑な効用や時変の投資機会のもとでの解を求めている。

あと、時間があれば逐次2次計画法のプログラムの作成。

2009年5月15日金曜日

ファイナンスおたくの変態

2009年度日本ファイナンス学界第17回大会2日目

Model uncertainty and information quality in delegated portfolio management
報告者:中村信弘(一橋)/討論者:関根順(京都)

 JAFEEと日本ファイナンス学界はほとんど交流が無いそうだ。両方出ている人は「ファイナンスおたくの変態」だと、中村先生は最初からジョークをとばす。中村先生は主にJAFEEで発表されているそうだ。まあ、JAFEEの監事なので。
 内容は授業でもやったコンバージェンス取引をファンド・オブ・ファンズなどの情報の非対称性のある場合に応用したらというもの。まるでICSの授業のようだった。


ポリシー・アセット・アロケーションの説明力
報告者:小松原(イボットソン)/討論者:浅野(横浜国立)

 日本の投資信託のアセットアロケーションとパフォーマンスを分析。結論は最初から想像できるもの。それにしても日本の投資信託のパフォーマンスは悪い。投資家のニーズを満たせていない。このあたりに大きなマーケットがあると思う。


グローバル投資における市場間リンケージモデルの構築と裁定機会の考察
報告者:花田秀隆(野村総研)/討論者:武田澄広(青山学院)

 期待していたが、残念な内容。報告者はシステム開発の仕事をされているそうだが、ファイナンスの勉強不足だと思う。そもそも現物と先物で共和分分析をしても意味がない。先物が現物の期待価格という扱いも違和感。この程度で発表できるの?

An Insurer's Problem on Pricing under Distorted Probabilities and Efficient Hedging in an IncompleteMarket
報告者:岩城秀樹(京都)/討論者:本多(一橋)

Distortionをかけた確率分布の保険のショートフォールをヘッジするという問題。しゃべり方がビートたけしに似ている。本多先生はKinball(1999)のprecautionary saving問題の先行研究を紹介。しかし、たいてい先行研究があるので、チェックが大変ですな。実務家からは、問題設定の仕方の指摘。ちなみに岩城さんの「確率解析とファイナンス」(共立出版)はいい本だと思う。

ゼミの準備のため、ここで帰宅。

2009年5月9日土曜日

日本ファイナンス学会第17回大会

ファイナンス学会に行ってきた。豚インフルエンザの感染者が日本で発生したが、予定通り開催された。今回はわが母校、青山学院大学で行われた。前回のアジア合同開催のときと違って参加者が多い。無料だから?日本語だから?東京だから?

「流動性のシステマティックリスクと株式リターン」廣瀬勇秀(住友信託銀行、パッシブクオンツ運用部)
 流動性をシステマティック流動性とアブノーマル流動性に分類していた。流動性βというのを考えて、市場の流動性が高くなると流動性βの高い銘柄のリターンも高くなるとの報告。討論者は早稲田の宇野さんで、そもそも売買高と流動性は違うのではないかなどと指摘していた。そのあたりの細かいところは学者は厳しい。本格的にデータで分析する前に、そのあたりをきちんと整理しておくべきだろう。余談だが、後からどんどん人が入ってきて、席が足りなくなっていた。

「Dynamic Optimal Portfolio and Relative Risk Aversion」本多俊毅(一橋)
 本多先生はCRRAを持つ投資家の集団でも相対リスク回避度が異なっていると全体ではDRRAになる。その場合も、最初に配分した後は、各自がCRRAの通常の手法で解けるので解を求めるのが思ったほど大変ではない、ということを発表されていた。本多先生の話し方は、普段と同じなので、まるでICSの授業を聞いているようだった。討論者は東大の高橋先生で、λを求める方法、ALMへの応用、最初と最後の同値性の証明を質問されていた。高橋先生のあの喋り方も、なつかしい。

「Optimal Investment with Direct Preference for Wealth, Higher Borrowing Rate, and Regime Switches」木村俊夫(住友信託銀行)
 この人の顔は前回も見たことがある。前回もレジーム・スイッチング・モデルの話だったかな?マートン問題を、効用関数、金利、レジーム・スイッチの3点で拡張している。もしかしたら自分の学位論文もこういう風になっていたかもしれないと思いながら聞いた。あと6ヶ月でここまで行けるか、あるいはこんな場所で発表できるかと思うと、やるべきことは多いと感じた。討論者は一橋の斉藤さん。金利の設定で微分不可能なところ(kink、ジャンプしてしまう)の処理は簡単ではないと指摘されていた。

明日は、中村さん、岩城さんが楽しみ。

それにしても自分の学位論文はどうするか?とりあえず次回のゼミ発表のCampbellのGlobal Currency Hedgingを読んでいるところ。そういえば、Kさんの会社の社長はヘッジファンド業界の知り合いが多いので、一度紹介してくれるといってくれていた。早く、モデルと論文を完成させないと…。

オートキャンプ

ゴールデン・ウィークは栃木県の太陽の丘というオートキャンプ場へ行った。渋滞を覚悟していたが、東北道はスムーズで拍子抜け。寒いかもということでログハウスに泊まった。太陽の丘はトイレもログハウスもとてもきれいでお勧め。電子レンジも使わせてくれる。管理人もフレンドリーで親切。近くに野球場が二つ付いている広大な公園があって、そこで野球をした。
帰りに、「かんぽの宿・栃木県喜連川温泉」によって温泉でのんびり過ごす。温泉は透明で少し緑色をしていた。温度の違う風呂とジャグジー、露天風呂があった。泉質は含硫黄、ナトリウム、塩化物温泉で、源泉のみを使用しているそうだ。昔は、温泉に興味が無かったが、最近は他の人のブログを読んで少し興味が出てきた。


2009年5月1日金曜日

一橋ICS

一橋ICSは竹橋の学術総合センター内にあります。授業は通常6階の教室で行われます。写真はエレベーターの前の壁のICSのロゴです。昼間はフルタイムの英語によるMBA、夜は私のような社会人のファイナンスに特化したMBAが日本語で行われます(法科もあるようですが、全く知りません)。財務系と金融工学系にゆるく分かれているのですが、ファイナンスに特化しているだけあって、特に金融工学系は普通のMBAよりもハイレベルだと思います。私はスペインのESADEというビジネススクールも出ているのですが、ICSの方が授業内容は難しいと思います。ただ、テストの点が悪くても宿題のレポート等による救済などで卒業に必要な単位は取れると思います。むしろICSは科目の単位はどうでもいい雰囲気で、学位論文がものすごく重視されるようです。学位論文とそれに関する口頭試験は相当厳しいと聞きました。教授陣は非常にレベルが高いです。このクオリティの授業が年間約50万円で受けられるというのは、国立ならではのものすごいバリューだと思います。下の写真は入り口です。外から見るとただのビルです。