2010年9月29日水曜日

ザ・クオンツ(3) ジム・シモンズ

156ページから169ページにかけて、ジム・シモンズとルネッサンス・テクノロジーに関する記述がある。どうやら暗号解読技術、隠れマルコフあたりが鍵のようだ。この本はこれまでの本にはない新しい発見が多くて、クオンツに関する本としては出色の出来だと思う。ルネッサンスは秘密主義なので、この程度までが限界だろうな。
その後、フィッシャー・ブラックも出てくる。彼がいかに変人だったかがよく分かる。一緒に働きたくはない(笑)。かれは収益面ではGSに全く貢献していないな。でも、GSのイメージ向上には貢献しただろう。ブラックについては『金融工学者 フィッシャー・ブラック』が詳しいので、それ以上の発見はない。

2010年9月28日火曜日

幸せとは、放出されたドーパミンの総量で決まる


「 脳には、うれしいこと、楽しいことを感じるときに放出されるドーパミンという神経伝達物質がある。これが中脳から「私」という自我の中枢である大脳皮質の前頭葉に放出されることで、私たちは「幸せ」を感じるのである。
単純化してしまえば、幸せとは、放出されたドーパミンの総量で決まる。ドーパミンは”決まりきったこと”が嫌いである。脳はいつも、今まで出会ったことのないなにかを求めている」 (茂木健一郎)。
何をやってもすぐ飽きてしまって長続きしないのは実は自然なことなのだな、と自分にいいように解釈してみる。

私のフェイバリット・ムービー「ブレードランナー」はGeekが見る映画ということのようだ。私はGeekなのかな?映画は傑作だと思う。是非ごらんください。「ふたつで十分ですよ」(笑)。若き日のハリソン・フォードが出ている。本人は不満らしいが。原作は天才フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」だが、村上春樹も映画の方が小説よりもおもしろいと言っている。
http://bit.ly/bCs57R Geekな男をゲットするための5カ条(女性向け)

@Mathfi_Jobs という海外のクオンツ求人のツイッターを見ていたら、「C++使えて、ファイナンスの素養があって、信用リスクのモデル作れる(つまり私のような)人」の求人がイギリスとかシンガポールとかうじゃうじゃあるぞ。日本のクオンツも希望を持て。なんで日本でのクオンツ求人は少ないのかな。

2010年9月26日日曜日

セレンディピティの時代 by 茂木健一郎


娘の文化祭の時間を間違えて、1時間早く着いてしまった。しかたがないのでBOOK・OFFで時間をつぶす。上の4冊を購入。茂木健一郎さんはツイッターがおもしろいので本も買ってみた。どういう人かよくしらなかったのだが、東大の理学部と法学部を卒業した後、東大大学院理学系研究科物理学専攻課程修了となっている。
『セレンディピティの時代』は講談社の雑誌「KING」に連載したエッセイをもとに構成されたもの。セレンディピティとは「偶然の幸運に出会う能力」のことらしい。
内容は茂木さんが普段ツィッターでつぶやいているようなことを、自己啓発本的にまとめたもの。オレは自己啓発本が大嫌いなので、茂木健一郎というブランドと古本でなかったら買ってないだろうな。表紙や中のイラストが怪しげなのは、自己啓発本的なイメージを中和させようという編集者と著者の衒いの表れだと思う。この表紙のおかげでオレも買ってみるか、という気になった。自己啓発本がよくベストセラーになるが、ああいうのを読むのは時間の無駄にしか思えないのだが・・・。
「 偶然の幸運に出会う能力「セレンディピティ」。セレンディピティこそが、人間が創造的になるために必要な一番の条件である。現代の脳科学は、そのような新しい考え方を提示しつつある。
 創造性を発揮するためには、もちろん、努力は必要である。何もない暗闇を歩くような勇気も、もしかしたらいるかもしれない。しかし、何よりも大切なのは、偶然の幸運に巡り合うこと。そして、偶然の幸運に遭遇したら、それを間違いなく自分のものとしてつなぎとめておくこと。そのためには、ほんの少しの工夫と、ある種のコツをつかむことが必要となる。
 セレンディピティを生かすために必要なのは、何よりも行動すること。ただ座して幸運を待っていても、いつまで経っても出逢える保証はない。最初は何を目的としても良いから、とにかく何らかのアクションを起こすことが大切である。
 何かに出逢ったら、そのことに気づくこと。気づきのためには、ある程度の心の余裕がなくてはならない。当座の目標に夢中になってしまって、目標としていること以外には目が向かないようでは、セレンディピティをつかむことはできない。思いもかけぬ出会いをきちんと自分のものにできること。そのような柔軟な瞬発力が、セレンディピティのために必要である。
 そして、出逢ったものに気づいたら、そのことを受け入れること。偶然出会ったものは、今までの自分の世界観を変えるものかもしれない。自分自身が変わらなければ、せっかくの遭遇を生かせないかもしれない。たとえ、変化することがどれほど勇気を必要とすることであっても、自分の内側に招き入れること。そのような受容のプロセスこそが、セレンディピティを完成させる。」
(『セレンディピティの時代』まえがき)
セレンディピティとは「恋愛」に似たものらしい。

両国なう



娘の文化祭の発表の間の時間つぶしに両国を散策。外国人観光客が多い。外国人にはペッパーランチ(チェーン店)が人気のようだ。2番目の写真は大相撲9月場所が行われている国技館。江戸東京博物館の裏側なんだね。奥にスカイツリーが見える。
左の写真は徳川家康らしい。下のカメといい、全体に怪しい雰囲気が漂っていて個人的には好き。実物はかなり巨大。なんでこんなの作ったのか・・・。

2010年9月23日木曜日

PIMCOが語るCredit opportunities

PIMCOのMark Kieselが語るCredit Opportunities in the New Normal
http://bit.ly/cv6X4U

ザ・クオンツ(2) ユージン・ファーマ


「私が今から述べることのすべては、真実ではない。」
「効率的市場仮説(EMH)。マーケットは効率的だ」
「株の銘柄選択をするのは、完全な時間の無駄だと証明されている。」
「私が君たちに伝えていることのなかで、100%真実だというものはない。これは数理モデルの話だからだ。統計学、ヒストリカル・データ、トレンドなどを見て、そこから何かを予想することはできる。でもこれは物理学ではないのだ。物理だったら、スペースシャトルを組み立て、打ち上げて軌道に乗せ、それが一週間後にケープ・カナベラルに着陸するのを見ることができる。マーケットは、それよりもはるかに不安定で予測不可能なものだ。われわれに分かっているのは、現実世界に対するモデルをベースにした近似でしかない。これがまさに効率的市場仮説のことだ。何十年にも及ぶリサーチや、大量のデータに基づいた仮説。われわれが間違っている可能性はつねに存在する。」
「実際には、われわれは正しいのだと私は確信しているがね。マーケットが本当に効率的かどうかは、神のみぞ知る、だ。」

ファーマの論文は味わい深いので原論文をじっくり読むべきだろう。ファーマとフレンチはCAPMをくつがえすという野望があったそうだ。バリュー株はつねに成長株よりもパフォーマンスが良いということも発見している。実はこの現象は米国よりも日本の市場においてより顕著に当てはまっている。前に実際に検証したことがあるが、日本においてはバリュー株のほうが圧倒的にパフォーマンスが良い。ただし97年のような二極化相場や99年のITバブルのような局面ではうまくいかなかったように記憶している。


2010年9月21日火曜日

@都賀カンツリー倶楽部



北コース 76、西コース 61で137。前半は豪雨の中でドライバー、アイアンが不調。後半、スイング後に顔を正面に残すことを意識してからアイアンが安定。ついついボールの行方を追ってしまうのよね。

都賀は非常にきれいなコースで気に入った。グリーンも比較的いい状態を保っている。また来たい。

2010年9月16日木曜日

カメの大脱走、楠岡先生

今年の夏は暑かったのでベランダに置いておくと水温が上がりすぎてカメもしんどそうだった。そこで日陰になる庭に場所を変えていた。昨日の朝、いつものようにエサをやりにいくとなんと水槽の中が空。まさかあの水槽の壁を乗り越えて脱走するとは・・・。しばらく探すと、長めの芝生のなかでうずくまっているところを発見。

日経ヴェリタスに東大の楠岡先生が出ている。
「CDOのリスク評価モデルが簡単すぎることは、金融危機以前から警告されてきていたが、金融界は耳を貸さなかった」。このことに対して楠岡先生は「解決方法を示せなかった我々にも責任がある」とじくじたる思いを抱えられているそうだ。なんと誠実な方なのだろう。
楠岡先生は伊藤先生の講義に感銘して確率論の分野に進み、楠岡近似を開発されたそうだ。
「どんなモデルも実務で利用できなければ、金融界は再び簡単なモデルに流れてしまう」と懸念されている。耳が痛い。金融界というところは本当に、簡単な方へ、簡単な方へと流れていく業界です。

非不胎化、ICSの飲み会、学歴ロンダリング、原稿料補足

久しぶりに為替介入。ちなみに為替介入するかどうかは財務省が決める。日銀の意思で介入するわけではない。あいかわらず不胎化、非不胎化の議論が起きているが「介入資金を非不胎化すると介入の効果が高まる」という人がいまだにいるなぁ。金融機関の(えせ)エコノミストならともかく、経済学者の一部にもいる。まあ、市場参加者がみな「介入資金を非不胎化すると介入の効果が高まる」と信じて行動すれば、実際に介入の効果が高まるかもしれないのでそれはそれでいいが。

久しぶりにICS同期の飲み会。修了が遅れていた同期の一人が無事修了できたことを祝う。途中からシモネタになって大いに盛り上げる。今週のダイヤモンドで「驚愕の学歴ロンダリング」の話が出ていた。『旧帝大・早慶などに面接や小論文で入れる!!』という表のなかにICSも出ていた。たしかにICSの入学は研究計画書と面接で決まる。やってみるとあっけないものである。ただし修了するための修士論文は高いクオリティが要求されるのでなかなか厳しい。毎年何人か修了できない。そうやって大学院側は質を維持しようとしている。ICSは入るのはわりと簡単だが出るのは難しい。学歴ロンダリングには向いていない。ドクター・コースの人の話も聞けたのだが、ドクターは他校と比べると相対的にもっと厳しいらしい。
途中で、『証券アナリストジャーナル』の原稿料の話になった。どうやら投稿原稿の場合は原稿料は出なくて、依頼原稿の場合は出るらしい。取らぬ狸の皮算用だったな。

2010年9月14日火曜日

ザ・クオンツ 他



久しぶりにoazoの丸善に行って、本を買う。年金の本を買いに行ったのだが、ついでに他の本も買った。The Big Shortはもう翻訳が出ていたんだな。帯がすごいね「ムーディーズもゴールドマンもくそくらえ」(笑)。
帰りの電車でさっそく『ザ・クオンツ』を読み始める。それにしても『ザ・クオンツ』の副題が「世界経済を破壊した天才たち」。英語では"How a new breed of math whizzes conquered Wall Street and nearly destroyed it."なので、明らかに意図的に意味を変えてある。直訳すれば「どのように新種の数学の達人がウォール街を征服し、そしてそれをほぼ破壊しそうになったか。」なので意味が全然違う。まあ、この方がインパクトがあって本が売れるんだろうが、ここに出てくる天才が世界経済を破壊したわけではないし、そもそも今回の危機の原因をクオンツのせいにするのは間違っているので、この副題は問題だろう。とにかく原因を正しく特定化しないと処方箋も有害なものになる。
じゃあ何で買ったのかというとジム・シモンズとポール・ウィルモットが出てくるから。まあ、この手の本は読み物として楽しければいいわけです。

2010年9月12日日曜日

はやぶさ ふたたび



録画しておいた、NHKの『追跡!A to Z 「”はやぶさ” 快挙はなぜ実現したか」』を見た。はやぶさとの交信が途絶えて、絶望的な捜索が続く中で、緻密な論理でチームを引っ張ってきた川口マネジャーが飛不動という下町の神社に行って、「らしからぬ」神頼みをする。そのことで逆にチームの結束が高まった、というところで泣けてきた。
はやぶさの大気圏突入の映像はNASAも撮っていたそうだ。写真はその映像。いままでのとは違うアングルが新鮮。もう一つの写真は、スピッツの名作「隼(8823)」。はやぶさ繋がりということで。

2010年9月11日土曜日

カルマンフィルタのプログラムのバグを修正

カルマンフィルタのパラメータを準ニュートン法の最適化のプロシージャーに渡すところにバグがあったのを発見して、修正した。どうもおかしいと思っていた。
普段は、私のブログは200くらいのページビューなのだが、今日はなぜか700くらいに増えていた。なにかまずいことでも書いたかなと心配していたが、どうやら有名なブロガーの方が私のブログを紹介してくださったらしい。ありがとうございます。ツイツターのフォロワーもFX系の人などが急に増えておかしいなと思っていた。
株式、債券、為替を比べると、為替で儲けるのが一番難しい。株式、債券は資産価格であり、まがりなりにも理論価格を計算できるのに対し、為替は交換レートであるから、理論的な水準というのを求めにくい。でも、ちゃんとしたマクロモデルとデリバティブ、損切りプログラムを組み合わせることで儲けることは可能だと思っている。10月以降は為替のモデルを開発したい。

2010年9月9日木曜日

投稿論文の原稿料

投稿論文が校了した(校了の使い方はこれであっているかな?)。このままいけば、日本の『証券アナリストジャーナル』10月号に掲載されます。読む機会がございましたら、是非目を通してみてください。文章が下手で読みにくいです。すみません。
そうこうするうちに会社が、「原稿料は会社が取るから会社の口座に振り込ませろ」と言ってきてひと悶着。論文は全部家で書いたものなのだが、内容が業務に関係したものの場合、会社が取ることになっているそうだ。なんだか納得がいかない。ICSの同期に聞いてみると、皆会社に取られていた。なんだかなぁ。次に書く意欲が失せるね。
別に原稿料が欲しい訳ではない。苦労して得た成果が横取りされた感じ。搾取?

2010年9月8日水曜日

スカイツリー

ちょっと用があって初めて錦糸町に行ってきた。するとスカイツリーがよく見えた。実物は想像以上にでかい。高所恐怖症のオレとしては、あの上で働いている方々を尊敬する。

2010年9月6日月曜日

勝間和代って・・・

勝間和代によると「デフレも円高も政府と日銀が協調すればたちどころに終わらせることが出来ます。要するにモノに対してお金の量が不足しているわけですから、お金を刷って効率的に分配すればいいのです。」ということらしい。勝間、たのむからちゃんと経済学と金融を勉強してくれ! 
「モノに対してお金の量が不足している」ってどういうこと?モノってなんだ?お金はいくら不足しているんだ?政策提言するのなら、きちんと分析してからすべきだろう。きちんと研究してリフレを主張している人にも失礼なんじゃないかな。
オレの偏見だろうけど、コンサルあがりの人はものごとを単純に決め付ける(しかもたいてい間違っている)傾向があると感じている。それにしてもひどいな。
勝間は過大評価されている日本人女性のトップ3の一人だと思う。たいした実績がないのに、なんで2005年にWSJの「世界の最も注目すべき女性50人」に選ばれたのだろう。不思議だ。

2010年9月5日日曜日

松蔭先生っ!


子供の頃に修学旅行で松下村塾に行ったときに買った吉田松陰の像。先日、田舎に帰ったときについでに持ってきた。写真だと分かりにくいが、彫りの深いかなりのイケメンに仕上げてある。
30歳で死んだのだなぁ。う~む。
吉田松陰がいなかったら、高杉晋作の活躍も長州の狂気もなかったかもしれない。明治維新もなく、日本はあのときに欧米の属国になっていたかもしれない。そう考えると、一人の人間が与える影響力の大きさに驚く。
龍馬伝のスタッフで今度は「晋作伝」を作ってくれないかな。当然ながら高杉晋作は伊勢谷友介で。

ましこゴルフ倶楽部

60+60=120。これまでの自己ベスト139を大幅に更新できて満足。年内に120くらいになれればいいなと思っていたのでうれしい。特に写真のoutの池超え第2ホールをきれいにワンオンできたときに、自分は少しうまくなった、と感じた。練習は裏切らないね。
ましこは、グリーンも比較的状態が良かった。コースは比較的フラットで短め。初心者にはやさしい。

2010年9月2日木曜日

カルマンフィルタと準ニュートン法 in C++ 完成

ようやくカルマンフィルタと非線形最適化(準ニュートン法)のプログラムが完成した。これで楽園の入り口に入れたというところ。まあ、カルマンフィルタは北川の12章、準ニュートン法は茨木、福島の6章をC++に移植しただけなわけだけれど。本当は、これを修論で使いたかったのだけれど、時間が足りなくて断念していた。これからは、このプログラムをもとに、ばんばん実証分析をしていきたい。
推定結果をACCESSのテーブルに吐き出すところで予定外に手間取ってしまった。もとのテーブルの項目名に"DATE"を使っていたために、データの更新ができなくなっていた。原因をさぐるのに、数時間も無駄に費やしてしまった。項目名を"DATE1"に変えたら、ちゃんとupdateできた。
原系列を2次のトレンドと1次のARでモデル化して推定している。パラメータは準ニュートン法を使って尤度を最大化する最尤法で求めた。


GoogleのBloggerがパワーアップしている

知らない間に、GoogleのBloggerがパワーアップしている。ページビューなどのいろいろな統計が分かるようになっている。このブログも始めて3年目だが、どのページが一番見られたのか調べてみた(後で調べたら2010年5月からの全期間だった)。

伊勢谷友介の高杉晋作 390 ページビュー
数学の勉強法(特に文系) 198 ページビュー
一橋ICS 146 ページビュー
数理ファイナンスの効率的な勉強法 87 ページビュー
デフォルトのある債券のハイブリッド価格付けモデル 48 ページビュー

ということで、なんと数理ファイナンスとはまったく関係ない「伊勢谷友介の高杉晋作」がダントツの一位だった。芸能人の力というのはやはりすごいのだな。しかし、数理ファイナンスと関係ないのが一位というのは少しさみしい。あとは勉強法やICSに関するもので、妥当な感じ。