今日の日経【商品】面に『大豆、最高値に接近』の記事。
大豆の国際価格が2008年7月につけた史上最高値に近づいている。今年は世界の輸出量の半分を占める南米産が不作で供給不足の懸念が強まったのが主因。米国では昨年、史上最高値をつけたトウモロコシへの転作が進みそうで米国の輸出余力も低下し供給不足が長期化するとの見方も出ている。大豆を原料とする食用油や飼料は、中国や新興国需要が拡大するとの見方が多い。上昇基調が鮮明なことから投資資金の流入も加速している。
とうもろこしと大豆は春に種をまいて秋に収穫。冬小麦は秋にまいて夏前に収穫。とうもろこしの価格は5~7月にピークをつける傾向がある。とうもろこしと大豆は同じ畑で輪作する。大豆を育てると土にチッソが残りトウモロコシはそれを消費する。北米、南米ではトウモロコシを育てるときに水はやらない。雨頼み。だから旱魃になると価格が高騰する。農家は目先有利な方を多く生産する。昨年はトウモロコシが有利だったので大豆の作付けが不足。
トウモロコシ、大豆の北米の生産地はコーンベルトと呼ばれる地域。一方、小麦はもう少し南西。夏に雨がほとんど降らないのでトウモロコシを育てられない。
米国ではトウモロコシのエタノール用途が資料用途を上回ってきている。米国のエタノール製作は温暖化対策、石油輸入依存度軽減、農家への補助金削減の一石三鳥となった。今では農業保護もやめ、エタノール保護もやめている。最近の北米の農家は潤っている。農地の価格も上昇している。
大豆は中国の輸入が急増している。日本の輸入量350万トンに対して中国は5500万トンで毎年400万トン増えている。南米の旱魃で受給はしばらくタイト。トウモロコシ、大豆、小麦とも最大の輸出国は米国。
米国の穀物はミシシッピー川沿いのグレインエレベーターに集荷され、バージで1ヶ月かけてミシシッピ川を使ってニューオリンズに近いバトンルージュに運ばれ、そこから輸出される。
トウモロコシの価格が上がると大豆からトウモロコシに生産がシフトして大豆の供給が減る。トウモロコシの価格が上がりすぎると普段は人間が食べている小麦を飼料に使い出す。この3つ価格には関係性がある。
穀物の受給逼迫は長期化する可能性が高いらしい。
価格の推移をみると昨年の12月からきれいに上昇トレンドとなっている。
日米欧の中央銀行がそろってインフレにしようと金融緩和をしているので、資産の一部をコモディティにしておくのもいいと思う。世界最大のヘッジファンドのマネージャーのレイ・ダリオも先日の日経で「分散投資の一環として投資資産の10%程度を金に振り向けることだ」と言っていた。
コモディティに投資する投資信託もいくつかあるが、コモディティの場合先物のロールコストなどの問題があるので、単純なインデックス連動型は避けて、CTAのようなトレンドフォロー型の運用をするものがいいと思う。