2012年4月23日月曜日

定常性とエルゴード性

似ていて違いが分かりにくい概念ですね。ハミルトンの『時系列解析』で調べてみましょう。定常性には「弱定常」と「強定常」があるそうです。ハミルトンの本では「定常」と単独で用いられた場合は弱定常の意味で使われています。

平均μ_tと自己共分散γ_tがいずれも時点tに依存しない場合、つまりE(Y_t)=μ、E(Cov(Y_t,Y_{t-j})=γ_jの場合、過程Y_tは弱定常または共分散定常といわれています。

一方、定常過程において、時間平均が極限的に、つまりT→∞のとき、全体平均E(Y_t)に確率収束するとき、定常過程は平均についてエルゴード的であると言われます。jが大きくなるにつれて自己共分散γ_jが十分に早く0に収束するという条件のもとで、定常過程は平均についてエルゴード的になることが知られています。

多くの応用例においては、定常性とエルゴード性は、結局同じ条件を意味していることが多いですが、ハミルトンの本では定常ではあるがエルゴード的ではない過程の例が挙げられています。

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