2016年11月3日木曜日

青木真也『空気を読んではいけない』 芸術家のストイシズム、ビジネスマンの合理性


この本を読むまで格闘家の青木選手のことは知らなかったのだけれど、読んでみてこんな人がいたのかと驚いた。青木選手は驚くほどストイックである。まるで芸術家のようだ。すべては格闘技で勝つために捧げられている。また練習からファイトマネーの交渉まですべてが自らの合理的な判断の下に行われており、優秀なビジネスマンのようでもある。
各々のテーマが4ページにまとめられている。各々の1ページ目に大きな文字でテーマが見出しとして短い文章で印刷されており、それについて後の3ページで青木選手がなぜそのように考えるのかという理由がまとめられている。例えば『誰も進まない道を行く』というテーマでは「逆張り」の発想のメリットについて語り、最後に次のように締めている。「周りが行く方にはもう美しい果実は残っていない。誰もが見ていない裏山にこそ、人知れず足を踏み入れるべきだ」。投資の世界にいる自分も大いに共感するところである。このテーマ以外でも、すべてのテーマにおいて共感した。ここまで共感したのは岡本太郎の『自分の中に毒を持て』以来二冊目だ。最後に本書全体を貫く青木選手の考えを引用しよう。

「幸せに生きることは難しいことではない。
空気なんか読まずに、自分で人生を選べばいいだけだ」

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