2013年8月18日日曜日
『不格好経営』南場智子
南場智子さんは、津田塾大学、マッキンゼー、ハーバードMBA、マッキンゼーのパートナーからDeNA代表取締役社長という経歴ですね。
「自分が経営者だったらもっとうまくできるんじゃないだろうか。なんでもっと思い切った改革ができないのか。なぜ中途半端に実施するんだ。私だったら…。もしそんなふうに感じているコンサルタントがほかにもいたら優しく言ってあげたい。あなたアホです。ものすごい高い確率で失敗しますよ、と」
「世の中のほぼすべての人が知っている「言うのとやるのでは大違い」というのを、年収数千万円のコンサルタントだけがうっかりするというのは、もはや滑稽といえる。しかもコンサルティングで身につけたスキルや癖は、事業リーダーとしては役に立たないどころか邪魔になることが多い」
「コンサルタント時代は、クライアント企業の弱点やできていないところばかりが目についてしまい、大事なことに気づかなかった。普通に物事が回る会社、普通にサービスや商品を提供し続けられる会社というのが、いかに普通でない努力をしていることか。マッキンゼー時代のクライアントにばったり会ったりすると、今もとても恥ずかしく、土下座して謝りたくなってしまう」
ずっと取締役COOをつとめた共同創業者の川田氏の退任スピーチ。「今日は俺は好きなようにさせてもらう」と壇上でいきなりビールを飲みはじめ、「上場企業の役員がこういうことを言っちゃいけないけど、俺はあの時代の金融機関はクソだと思った」で始まった。
怪盗ロワイヤルというゲームを作ったのは、新卒5年目の大塚剛司という若者だった。直前のプロジェクトに失敗し、ゲームを作ったことも、ほとんどやったことすらない大塚を、社運をかけたソーシャルゲーム立ち上げのプロジェクトに抜擢する。
「大塚は、その日からフェイススブックのゲームを遊び倒した。人気ゲームだけでなく、ヒットしていないゲームも総ざらいし、成功するゲームのエッセンスを彼なりに抽出した。そしてそのエッセンスを「全部盛り」にし、彼なりにアレンジしてまとめあげたのが、怪盗ロワイヤルだった。当時怪盗ロワイヤルがあまりに面白いので、天才の仕事と言われたが、実際はド根性の秀才仕事だったのだ」
「何かをやらかした人たちに対する対応は、その会社の品性が如実に表れると感じる。私たちは、このときのように、お詫びをしなければならない事態になって、ますますファンになり、その会社のために頑張りたくなるようなパートナーに恵まれてきた。モバゲーなどで広告主となってくださった日本コカ・コーラさんやサントリーさんなどにも、何かあるたびに頭が下がるような対応をしていただき、社格とはこういうことなのかな、と感じ入る」
社長の一番大事な仕事は意思決定。頭出しの報告のときに意思決定にポイントとなる決定的な重要情報はなにかを大まかにすり合わせておいて、その情報が欠落していなければ、迷ってもその場で決める。継続討議にはしない、と。
経営コンサルタントは経営者に助言するプロフェッショナルであり、高度な研鑽が必要な、とても奥深い職業だ。コンサルタントになるなら、その道の一流のプロとなるよう、努力し、とことん極めて欲しい。」
「私が言っているのは、事業リーダーになりたいからまずコンサルタントになって勉強する、というのがトンチンカンだということにすぎない」
迷いのないチームは迷いのあるチームよりも突破力がはるかに強い」。
「不完全な情報に基づく迅速な意思決定が、充実した情報に基づくゆっくりとした意思決定に数段勝る」。
「事業リーダーにとって、「正しい選択肢を選ぶ」ことは当然重要だが、それと同等以上に「選んだ選択肢を正しくする」ということが重要となる。決めるときも、実行するときも、リーダーに最も求められるのは胆力ではないだろうか」
若くしてコンサル会社に身をおくことのマイナスの癖として、できる限り賢く見せようとする姿勢、上から目線、クライアント組織のキーパーソンにおもねる発言をしやすい、の3点をあげている。
何でも3点にまとめようと頑張らない(物事が3つにまとまる必然性はない)。重要情報はアタッシュケースでなく頭に突っ込む。自明なことを図にしない。人の評価を語りながら酒を飲まない。ミーティングに遅刻しない、とのアドバイス。
DeNAのMobageの技術的な話についてはこの本が詳しいです。 『Mobageを支える技術 ~ソーシャルゲームの舞台裏~』 (WEB+DB PRESS plus) DeNA
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