『More Money Than God』の3章まで読み終えて4章のSorosに入る。3章はCommodities Corp.のMichael MarcusとBruce Kovnerについて書かれていた。左がMarcus、右がKovner。この二人は『Market Wizards』の一人目と二人目。MarcusがKovnerを採用して教えたらしい。Kovnerはハーバードで政治学を勉強したがPh.D.は取れなかったらしい。
WikiによるとKovnerの2009年の運用資産は140億ドルで、個人資産が35億ドル(約3000億円!)。
『Market Wizards』によると1978年から1987年の10年間で平均リターンが87%!!。これはすごい。2000ドルが10年で百万ドルになる。1987年当時のインターバンクの為替、先物市場で最大のトレーダーの一人。一方で、インタヴューを全て拒否しており、プロフィールを低く保っている。"I fell in love with the yield curve"と語っており、金利系の裁定取引などもやっていたようだ。
本もたくさん読んでおり、トレーダーらしくない、落ち着いた学者タイプのようだ。以下、『Market Wizards』より。
「トレーディングのエキスパート・システムの開発にともなう問題は、トレーディングと投資のゲームの”ルール”が変わってしまうことだ。
ポジションを取るときは、常に事前にストップ(損切り水準)を決めておく。それは私が寝ることのできる唯一の方法だ。
私が教えた30人で生き残れたのは5、6人だ。よいトレーダーは強く、独立しており、行き過ぎの局面で逆の行動をすることができる。他人がポジションを取りたくないときに、ポジションを取ることができる。正しいサイズのポジションをとることができるほど自分を律することができる。欲深いトレーダーは、いつも吹き飛んでしまう。
巨大なトレーダーが市場を動かせるとは思わない。短期的には可能でも、最終的には失敗する。
年間で損を出したのは1981年で16%。初めて商品市場で経験する弱気相場だった。強気相場と弱気相場では性質が異なった。また、マネー・マネージメントが貧相だった。相関のある多くのトレードを行っていた。そのため多くのリスク管理システムを開発した。自分の全てのポジションの相関に厳密な注意を払った。そのときから毎日自分のトータルリスクを推計している。
為替はIMMに対する裁定取引以外はインターバンク市場のみを使っている。24時間トレードできる。利益の50%から60%は為替取引から得ている。通貨のクロス(Crosses)が最も重要な取引。
私は、市場で付いている価格は正しい価格だと見なしている。私がやろうとするのは、その価格を変化させる何が起きているのかを分かろうとすることだ。よいトレーダーの仕事の一つは、別のシナリオを想像することだ。
全ての通貨に対してコール・レベルを設定している。ある通貨が設定したレンジを越えたら、呼び出す(call)ようにスタッフに指示している。
全ての通貨に対して、少なくとも週に一回はシナリオを作成している。レンジを想定し、それをブレイクしたときにどうするか(買うか、売るか)を決めている。
私にとって、市場分析はものすごく多次元のチェスのようなものだ。その喜びは純粋に知的なものだ。
一つのトレードがポートフォリオの1%のリスクとならないように非常に努力している。次にエクスポージャーを減らすために自分のトレードの相関を分析する。相関は日次で計算している。
クロス・レートはよりよいトレード機会を提供している。なぜなら注目している人が少ないから。一般的なルールとして、より少なく観察されているほど、よりよいトレードとなる。(The less observed, the better the trade.)
トレンドフォロー的なテクニカル・システムは高いインフレの時代は使えるかもしれないが、安定した、穏やかなインフレの時代にはそれぞれのテクニカル・システムが互いに潰しあうことになる。
If you don't work hard, it is extremely unlikely that you will be a good trader.
初心者トレーダーへのアドバイスとしては、まず第一に『リスク管理』が、よく理解すべきもっとも重要なことだ。次に『小さめのトレード』、『小さめのトレード』、『小さめのトレード』がアドバイスだ。自分が適切と考えるポジションの大きさに対して、少なくともその半分以下にすべきだ。素人トレーダーはポジションのサイズが5、6倍ほど大きすぎる。」