金曜日の日経経済教室、久保文明氏の米国政治の混乱(上)共和党保守派に世論反発。「茶会」の現実離れ進む。予備選が「過激化」を加速。米国連邦予算の成立は圧倒的に議会の責任。民主・共和両党、イデオロギー的分極化進む。オバマケアを下院のみで廃棄するのは無理。
「アメリカの大統領制では、予算案の作成・提案から成立まで圧倒的に議会の権限であり責任である。大統領は拒否権を持つにすぎない。不成立の場合、世論の怒りはおのずと議会に向かう」
「このような対立の激化は民主党・共和党のイデオロギー的分極化によってもたらされている。95年~96年の政府閉鎖も40年ぶりに下院で多数党になった共和党新人議員を中心に引き起こされた。この頃、既に二大政党のイデオロギー的純化は高度に進行していたが、それは今世紀に入ってさらに進んだ」
こんにち、イデオロギー的にもっとも保守的な民主党議員より左に位置する共和党員は皆無ないし僅か数人である。70年代にはその数は下院議員総数435人のうち80人台に上っていた」
「2010年中間選挙からは草の根保守の茶会勢力の強い影響力を指摘する必要がある。従来の保守派共和党議員に対してすら、あまりに妥協的で穏健すぎると攻撃する茶会議員は、議員連盟単位では下院で47人を擁するが、影響力は少なくともその3倍程度の議員に及んでいる」
「彼らは10年に成立した国民皆保険を目指す医療改革法(オバマケア)撤廃を公約して当選してきた。」
小選挙区制で戦われるアメリカの下院選挙では接戦の選挙区は全体の一割程度となる。「しばしば共和党保守派現職議員にとって、本選挙で対決する民主党候補よりも、共和党予備選挙に登場する党内右派候補のほうが脅威である」
「彼らは、いわば閉鎖的な観念の世界での集団的催眠状態の中で決定を下してきた。今回の政府閉鎖問題のように、妥協せず玉砕するまで戦った者のみが、予備選挙での生き残りを確実に出来る。ちなみに茶会の急進派はFRBの量的緩和への反対のみならず、FRBの廃止まで要求している」
オバマが今回オバマケアと借り入れ限度額引き上げについて一切交渉しないと明言してきたのは11年に妥協したことが教訓になったらしい。結局、下院共和党はほとんど何も獲ることがなく、逆にオバマはシリアとFRB人事の失態から浮揚させることになった。
バフェットは「債務不履行は政治における大量破壊兵器であり、絶対使用されてはならない」と言ったそうだが、来年初めには同じ戦いが控えているんですね。共和党の動向は他人事ではなくなってきている。
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