ちょっと事情があって、ETFとアメリカ証券法について調べてみたのだが、いくつか新しい発見があった。アメリカの主な証券法は次の3つ。
1933年証券法(Securities Act of 1933)
1934年証券取引所法(Securities Exchange Act of 1934)
1940年投資会社法(Investment Company Act of 1940)
違いは、1933年法は、州境を超えて一般投資家に売り出される証券を規制するものであるのに対して、1934年法は証券取引所で取引される証券を規制。1933年法で規制されるのは、証券のライフサイクルの一番始めだけだが、1934年法は証券取引所に上場する限り規制を受けることになる。
1940年投資会社法は、アメリカ合衆国のミューチュアル・ファンド(日本の投資信託に相当)を規制する法律。
1934年法の下で登録された会社のvoting classの5%超を買った場合、10日以内にSECに報告する必要があるが、ETFに関してはSECのno action letterを根拠に、報告する必要はないと考えられている。
ETFについて、次のレポートを読んでいくつか分かったことがある。
一括りにETFと呼ばれることが多いが、Legal StructureとしてはETF、ETV、ETN、Certificateがある。最初の3つの3番目の単語はそれぞれ、Fund、Vehicle、Noteの頭文字。
最初にできたETFは1993年、S&P500に連動するSPDRs。これは1940年投資会社法で登録されているunit investment trustで、インデックスの複製法は完全法である。
次に出てきたのがiSharesなどで、これらも1940年投資会社法で登録されているopen end fundである。インデックスの複製法は最適化も可能となっている。1940年投資会社法で登録された場合、分散投資しないといけないとか、ETFが一銘柄に投資できる比率の上限が25%などという制限があったようだ。そのため、ATTの比率が25%よりもかなり高かったテレコム指数に連動するETFはATTを25%しか投資できないという制約のために、トラッイングエラーが異常に大きくなるという問題が発生してしまったらしい。
コモディティに連動するETFは、そもそも金など単一の銘柄のインデックスに連動させる必要があり、1940年投資会社法では組成できないことから、1933年証券法のもとで登録されており、1940年法でいう投資会社ではない。たとえば、SPDR Gold Shares やiShares Silver Trustなどは1933年法で登録されたGrantor Trustであり、U.S. Oil FundやU.S. Natural Gas FundなどはPartnershipである。
これらのほかにETNというのがある。iPathなどが有名だが、これらは基本的に社債(仕組み債)であり、指数との連動性はよいが、発行体の信用リスクがある。
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