2014年6月28日土曜日

日経ヴェリタス6.15「GPIF 国内株編重への疑問」

日経ヴェリタス6.15「GPIF 国内株編重への疑問」において、臼杵政治 名古屋市立大学教授が正論を展開して伊藤隆敏座長らの年金改革案を全否定しているので、誰かこれを印刷して伊藤氏に手渡してほしい。

「海外の年金にならうというのなら、日本株への配分増には大きな疑問がある。まず、人口構成の違いなどを無視して、外国の資産配分の数値をまねる国はない。ポートフォリオのリターンだけでなくリスクも含め、保険料や給付にどう影響するか、年金の資産負債分析をもとに配分を決めるのが常識だ

年金のバランスシートの資産側の大半は将来の賃金から支払われる保険料である。国内経済の成長率が低ければこの部分が減少し年金財政が悪化する。それにもかかわらず、同じく国内経済の影響を受ける国内株式への配分を増やすのはリスク分散に反する。

大きな国内市場を持つ米国を除き、主要な公的年金で株式の半分を国内株が占める例はない。21世紀の株式市場は急速にグローバル化しており、内外の別にこだわる理由はなくなっているのだ。金利上昇に備えて国内債券の配分を減らすとしても、それに対応して増やすべきはグローバル株式であろう。

経済政策のために公的年金が自国株式への投資を拡大した例も耳にしたことがない。株価対策のために公的年金が株式投資をする国だという評判が立てば、価格形成の透明性を損ない、長期的には海外投資家を遠ざけることになろう。

経済活性化を目的とした日本株投資の増額は、厚生年金保険法にも定められ、欧米の年金基金の常識でもある「加入者の利益のための運用」に合致するのか疑問である。政府やGPIFの冷徹な議論を期待したい。」

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