2009年12月17日木曜日

Andrew Lo


Andrew Loのセミナーに行ってきた。彼はMITのMBAの教授であり、アルファ・シンプレックスというヘッジファンド運用会社のチーフ・インベストメント・ストラテジストである。

私は彼とMacKinlayが書いた"A Non-Random Walk Down Wall Street"という本で衝撃を受けて以来のファンなのだが、ICSの人には「ファイナンスのための計量分析」を書いたCampbell, Lo, MacKinlayのLoと言ったほうがわかりやすいかもしれない。この本を訳したのはICSの先生方でICSのロゴが入っている。ちなみに"A Non-random Walk Down Wall Street"はマルキールの「ウォール街のランダム・ウォーカー」よりもはるかに素晴らしい。私にとって入学前のICSのイメージは”「ファイナンスのための計量分析」とダフィーの「資産価格の理論」を訳した先生がいる学校”というものだった。
Natixisがアルファ・シンプレックスを買収したので、今回のセミナーはNatixis Asset Management Japanが主催したものだった。ちなみにNatixisには前にICSでリスク管理のセミナーをしたクルーイ教授もいる。
Lo教授の話は①適合的市場仮説、②ベータ複製戦略、③アクティブ・ボラティリティ・マネジメントの3つで合計1時間30分近かった。基本的にサービス精神旺盛な人なので、質問に対していろいろと教えてくれていた。そこまで言っていいの、という感じ。あまりここで書いてしまうとLo教授に悪いので書かないが、少しだけ書くと、カルマンフィルタとレジーム・スイッチング・モデルを使っていると言っていた。つまり私が仕事で開発しているモデルのスタイルと似ている。まあ、そうだろうな。
セミナーの会場はザ・ペニンシュラ東京。初めて足を踏み入れたが、大変美しくて豪華なホテルでした。ゼミの同期も来ていた。彼の場合は修論のテーマに非常に近い話だったので、収穫も多かったようだ。この手のセミナーはあまり役に立つことはないものだが、さすがにLo教授、私にとっても収穫の多いセミナーだった。"Hedge Funds"というハードカバーの本までくれて太っ腹。

私も将来ヘッジファンドを運用したいものだ。



2 件のコメント:

M さんのコメント...

はじめまして!
自分は数理ファイナンスを専門にする予定の、東大の学部生です。
学部としての講義は来年からなので、まだ自習(ハル先生の本と、金融工学入門を読んでいます)しているだけなので恐縮なのですが…
今まで数理ファイナンスの勉強をどのようにされたか、経歴的に教えていただきたいです。

特に数学、統計・確率論がかなり気になります。

論文でお忙しいと思います。お暇なときにお相手していただけたら幸いです。

J.S.エコハ さんのコメント...

Mさん、こんばんは

ファイナンス理論は大きく分けると金融工学系(工学系、OR系)と数理ファイナンス系(数学、確率、統計)に分けられると思います。
金融工学系の主な応用分野はポートフォリオ理論、ファクターモデルなど、数理ファイナンス系の主な応用はデリバティブの価格付けということになると思います。
数理ファイナンスは私も現在苦労して勉強中の身なので偉そうなことはいえません。

ということで、もしも数理ファイナンスの勉強をやりなおせるならこうのようにすべきだったという視点で書きたいと思います。

①本を読む
②論文、ワーキングペーパーを乱読する。
③プログラムを書く

自分で勉強する場合、①の本での勉強が中心になると思います。お勧めの本は、後で詳しく紹介します。
②については、私は事情があって一時期、ひたすら米欧の論文・ワーキング・ペーパーを読みまくったことがあったのですが、それが大変役に立ったと思います。
③実際にプログラムを書いてデータを分析すると、理解が進むと思います。C++が理想ですが、アカデミックではMatlab(Scilab),S-plus(R),Octaveなどが使われます。Rはフリーで様々な関数やサンプルがネット上にあるのでお金がなければRがお勧めです。数値計算の本では「Numerical Recipes」が定番です。

ハルとルーエンバーガーは入門書としては最適だと思います。例題もすべてやれば準備は十分ではないでしょうか。同レベルのお勧めとしてプリスカの「数理ファイナンス入門 離散時間モデル」、連続時間ではビョルクの「数理ファイナンスの基礎―連続時間モデル」があります。
デリバティブ寄りの本では「ファイナンスの確率解析入門(藤田)」、「デリバティブ価格理論入門(バクスター、他)」がお勧めです。

次のレベルとして「ファイナンスのための確率解析Ⅱ(シュリーヴ)」、「ファイナンスへの確率解析(ラムベルトン、他)」、「ファイナンスのための計量分析(キャンベル、他)」があります。

最後にダフィーの「資産価格の理論」、「Methods of Mathematical Finance」 (Karatzas, Shreve)で数理ファイナンスは卒業でしょう。

金利モデルではInterest Rate Models(Brigo, Mercurio)が定番です。

確率解析の中心になる伊藤解析はエクセンダールの「確率微分方程式」が定番です。
他にも日科技連からでている木島正明の一連の本も良いです。

測度論から確率論を詳しく勉強したいのならウィリアムズの「マルチンゲールによる確率論」、ツァビンスキ他の「測度と積分」あたりが良いようですが私はまだ読んでいません。

最近のファイナンスでは時系列モデルもよく使われるのですが時系列ではハミルトンの「時系列解析」が定番です。

あと、最適化も重要なので「経済学のための最適化入門」(西村)、「凸解析と最適化理論」(田中)などで勉強するといいと思います。

東大の学部生ということなので数学の基礎は十分だと思います。

英語が苦にならないなら、できるだけ最新版の原著を読みましょう。