2012年5月20日日曜日

片山徹『非線形カルマンフィルタ』

林の『マクロ経済学』を買ったついでに店内をうろうろしていたらこれを見つけた。出版されていることを知らなかった。やはりたまにはリアルな本屋に来ないといけないね。

「システムの線形性あるいは雑音のガウスせいのどちらかが損なわれると、事後確率分布は非ガウス性となり、カルマンフィルタの性能は低下する。このようなフィルタ性能の低下を改善するにはどうしても非線形フィルタが必要となる。

非線形システムに対するフィルタリング問題は、カルマンフィルタで扱われたLQG(線形、2乗誤差規範、ガウス性雑音)問題よりも格段に難しく、最適解を求めることはほとんど不可能である。このため、従来から常に多くの近似手法が提案されてきた。

近似手法の一つは、非線形システムを推定値の近傍で線形化して、線形化されたシステムに対してカルマンフィルタのアルゴリズムを直接適用するという方法であり、拡張カルマンフィルタ(Extended Kalman Filter, EKF)と呼ばれている。

また観測データに基づく状態ベクトルの非ガウス事後確率密度関数を複数のガウス分布で近似するガウス和近似(Gaussian sum approximation)法が1970年代に発表されている。

さらに、コンピュータの発展に伴って、状態ベクトルの非ガウス事後確率密度関数を直接数値的に近似するモンテカルロ(Monte Carlo)フィルタとブートストラップ(bootstrap)フィルタが1990年代になってほぼ同じ時期に発表されたが、現在では粒子(particle)フィルタと呼ばれている。

このほか、気象学分野ではリカッチ方程式を用いないアンサンブルカルマンフィルタ(Ensemble Kalman FIlter, EnKF)、またロボティックス分野ではUnscentedカルマンフィルタ(UKF)が発表されており、それぞれ多くの関心を集めている」

数値例を計算するためのいくつかのプログラムはこの朝倉書店のウェブサイトからダウンロードできる。Matlabのコードらしい。

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