2009年12月29日火曜日

ファイナンスにおける楽園


ARMAモデルなどの多くの非定常モデルは線形ガウス型の状態空間モデルの形で表現できる。このようなモデルに対しては、カルマンフィルタによる対数尤度関数を準ニュートン法で最大化するという統一的なアルゴリズムを使うことができる。

カルマンフィルタと準ニュートン法の組み合わせは、ファイナンスにおけるひとつの楽園だと思う。
動的計画法は理論的には楽園だが数値計算では地獄と背中合わせである。でもマルチンゲールを使うことで地獄を避けて楽園へたどり着くことができる。

かつて僕はPascalで楽園を垣間見ることができた。問題は簡単だったし、僕はまだ若く、体力もあった。
C++でもう一度、楽園に行くことができるだろうか?

写真は、娘が新しく買ってきた魚。種類は分からない(ちゃんと店で聞いてこいよ)。一時期、グッピーが爆発的に増えて育てるのに疲れてしまい、オスメス分離作戦を取ることであと一匹まで減らしてきていたのだが。今度は、自分で育てると言っているが・・・。
追記:ネットで調べたところ、『バルーンモーリー』という種類らしい。セルフィンモーリーの脊椎骨異常の奇形だったものを品種改良で固定させた品種。ちょっと『孤島の鬼』的な・・・?

2009年12月27日日曜日

完全なる証明

この本に関しては、英語版よりも日本語版を読むべきだろう。なぜか英語版ではかなりの部分がカットされているらしい。
ソビエト時代にユダヤ人がいかに差別されていたか、いかにペレルマンが守られ、運も味方したか(ペレストロイカなど)、社会主義のもとで多くの学問が衰退していくなかでいかに数学が生き延びていくか、そのことにコルモゴロフがどれだけ貢献したかなどが冷静な筆致で描かれていく。
ハーバードのヤウ・シントゥン(Shing-Tung Yau,丘成桐)の、(本当だとすると)最低な行為なども書かれるが、白眉なのはRicci Flowコミュニティの中心人物、ハミルトンとのやりとりだろう。
途中、メダリオンのジム・シモンズ(元数学者で大金持ちのヘッジファンド・マネジャー)も出てきたりして、驚く。
ペレルマンの行動は、多くの人には心の中では理解できるだろう。ただ、普通は社会と妥協しながら生活せざるをえない。
NHKスペシャルは、門外漢の一般の人に専門的な内容を知らしめる効果はあるが、一方でその道の専門家からみたら、首を傾げたくなる内容も多い。先日の金融工学特集も金融のプロのオレからみると、おやおやという点が多い。
 NHKのポアンカレ予想特集でも、ポアンカレ予想が宇宙の形を解明するかのような説明だったが、「ポアンカレ予想と宇宙の形にはあまり関係がない」そうだ。
ペレルマンの行動から、数学ですらお金の問題が複雑にからんでくるアメリカ流の学術研究の枠組みや運営方式にたいする問題が浮かび上がってくる。
正月休みの時間つぶしにはもってこいの読み物。
ちなみに、ペレルマンの論文とKleiner and Lottのそれに関するノートは今でもネット上で閲覧できる。
《ペレルマンの3本の論文》
《Kleiner and LottのNotes on Perelman's paper》

2009年12月26日土曜日

PowerPointの数式をTexで

修士論文「プレ報告会」まで、あと10日しかない。ヤバイのぉ。論文もまだきれいに仕上げてないのに~。

パワポを作らないといけない。過去の卒業生の資料をみると、皆さん30ページくらい作っている(ただし、優秀ということで選ばれた人が3月にもう一度発表したときの資料なので「プレ報告会」の資料とは違うが)。

パワポの数式をあの使いづらい「数式エディター」で作るかと思うとほとんど発狂しそうになっていたのだが、ありがたいことにTexの数式をそのままパワポに貼り付けられるソフトを無料で公開されている方々がいらっしゃる。

pptTex

TeXclip

家ではpptTex、会社ではTeXclipを使うことにする(会社のPCはアドミニでないとインストールができないため)。LaTex(WinShel)の場合、標準のインストール先がC:\usr\local\になっていたので、pptTeXの起動時にそこだけ注意すると、XPとPowerPoint2003でもちゃんと使えた。

ここにTeXの数式のコードを書く
これで使いづらい「数式エディター」とは「おさらばえ~」(JIN-仁の野風)。

2009年12月23日水曜日

論文製本と口述試験

昨年の卒業生の人は別のところで2日で製本したようだ。

(その人のブログ)

また、口述試験については、

>先生と2対1で、約30分間。
>最初の5~10分はshadow presentation。
>つまり何も見ずに論文の要旨を説明する。
>で、残りは質疑応答。
>論文本体と要旨は持ち込み可。

だそうだ。ブログはこちら

前に師匠と話したときには、口述試験では「ちゃんと本人が書いたかどうか、内容を理解しているかどうかをチェックする」とおっしゃっていた。

全然関係ないが、近所のスーパーに買い物にいったらレジの女の子がサンタの帽子を被っていて、萌えてしまった。実はコスプレに弱いのよね。

2009年12月22日火曜日

統計科学の数理 第10回 重回帰分析

8Fのオープンスペースで修論製本のサンプルを見てきた。ICSのロゴ入りのハードカバーはかなり「かっこいい」。自分の分も作ろうかな。25日だと1冊で5250円、2冊だと一冊当たり3990円。まあ、いらないか。

口述試験のスケジュールも決まるし、プレ発表会も近づいて、ICSでの生活が終わろうとしていることがリアルに感じられてきた(終わって欲しい・・・)。

今年の授業は今日で終わり。重回帰分析。回帰分析をベクトルと行列に変えただけ。最小2乗推定量の求め方は①微分による方法、②射影を用いる方法の2通りある。重回帰モデルの仮説検定、重相関係数、F検定、分散分析、個々の回帰係数に関する検定と信頼区間、多重共線性。「現実には厳密な共線性が成り立つことは少なく、余分なダミー変数を入れた場合に起こる」。

分散増幅因子(variance inflation factor, VIF)は、初めて知った。「VIF>10の場合は多重共線性の疑いあり、という提案の理論的根拠は薄い」。

2009年12月21日月曜日

論文製本

日本文書に問い合わせたところ、丁寧な回答が送られてきて好感を持った。

>問い合わせにございました事項については以下の通りとなります。

○1月18日と1月25日でのハードカバー1冊の価格はいくらになりますか?
 
・ 1月18日(月)15:00締め切り分→ハードカバー1冊 4200円
 ・ 1月25日(月)17:00締め切り分→ハードカバー1冊 5250円
 一橋大学ICSの事務局受付限定の価格となりますので、ご注意下さい。

○上記の日にちは申込の締め切りですか、それとも論文持込の締め切りですか?
 
基本的には申込みと論文の持込は同時とお考え下さい。
 早い段階で一橋ICSの事務局に持ち込んで頂けると、作業の関係から
 製本料金をお安くさせて頂いております。

○論文持込だとすると一橋ICSの事務室に印刷したものを持ち込む必要がありますか、
  それともPDFを日本文書にメールで送信するやり方でも可能ですか?

基本的には一橋ICSの事務局に持ち込んでの申込みとなります。
  弊社の店頭で受付も可能ですが、その場合には恐れ入りますが、上記のハードカバー1冊の価格での
  御案内とはならず、また、お引き渡しは2月1日に店頭に来て頂く必要がございます。
  
○製本の受け取りは郵送ですか、それとも御社での受け取りも可能ですか?

 一橋ICSの事務局での申込み、事務局でのお引き渡しとなっております。
 弊社での店頭受付となりますと、店頭でのお引き渡しとなります。

2009年12月20日日曜日

El Barça, Campeón del mundo


FC バルセロナがクラブW杯で優勝して、文字通り世界一となった。オレは2年間、バルセローナで暮らしたので当然ながらバルサを応援した。92年のリーグ優勝時はバルサの選手だったグアルディオラ監督が泣いているのをみて、オレも泣けてきた。
クラブ世界一は今まで唯一バルサに欠けていたタイトルだった。イニエスタがいないこともあって、美しくはなかったが、決勝にふさわしい泥臭い試合となった。流れはエストゥディアンテスだったが、勝たなければならない試合で底力を見せた。メッシは神懸っていたな。
おめでとう、バルサ。バルセローナは大騒ぎだろうな。(^^)

2009年12月19日土曜日

GoRoZo in SOKEHS ROCK

大学時代の友達がライブをやるので、忘年会をかねて行ってきた。場所は四谷のSOKEHS ROCK(ソケースロック)。3~40人くらいのライブハウスで満員だった。バンドと客の平均年齢が高いので、肩の力の抜けた、大人のライブだった。前半はカーペンターズのカバー、途中マジシャンの手品を挟んで、後半はブラジリアン・ポップス、明日にかける橋、天使にラブソングを、Silent Nightなどをアレンジを変えたりして演奏した。

個人的にはアンコールの前にやったキャロル・キング(ダニー・ハザウェイ?)のYou've got a Friend(君の友達)が一番良かった。

バンドの名前はGoRoZo(五郎蔵)という。鬼平犯科帳に出てくる密偵の名前から取ったそうだ。Worldwide Musicを標榜し、特にブラジリアン・ポップスのIvan Linsの曲を多くやるそうだ。

バンドのウェブサイトはこちら

昨日はドラムが出演できなかったということでパーカッションは大忙しだった。

数理ファイナンスの効率的な勉強法

ファイナンス理論は大きく分けると金融工学系(工学系、OR系)と数理ファイナンス系(数学、確率、統計)に分けられると思います。金融工学系の主な応用分野はポートフォリオ理論、ファクターモデルなど、数理ファイナンス系の主な応用はデリバティブの価格付けということになると思います。

数理ファイナンスは現在苦労して勉強中の身なので偉そうなことはいえませんが、もしも数理ファイナンスの勉強をやりなおせるならこうのようにすべきだったという視点で書きたいと思います。

①本を読む
②論文、ワーキングペーパーを乱読する
③プログラムを書く

自分で勉強する場合、①の本での勉強が中心になると思います。お勧めの本は、後で詳しく紹介します。

②については、私は事情があって一時期、ひたすら米欧の論文・ワーキング・ペーパーを読みまくったことがあったのですが、それが大変役に立ったと思います。とりあえずはファイナンスの巨人、Mertonの論文を集めた「Continuous-Time Finance」という本があるので、その辺りから読み始めればいいと思います。

③実際にプログラムを書いてデータを分析すると、理解が進むと思います。C++が理想ですが、アカデミックではMatlab(Scilab),S-plus(R),Octaveなどが使われます。Rはフリーで様々な関数やサンプルがネット上にあるのでお金がなければRがお勧めです。数値計算の本では「Numerical Recipes」が定番です。

ハルとルーエンバーガーは入門書としては最適だと思います。問題もすべてやれば準備は十分ではないでしょうか。同レベルのお勧めとしてプリスカの「数理ファイナンス入門 離散時間モデル」、連続時間ではビョルクの「数理ファイナンスの基礎―連続時間モデル」があります。デリバティブ寄りの本では「ファイナンスの確率解析入門(藤田)」、「デリバティブ価格理論入門(バクスター、他)」がお勧めです。

次のレベルとして「ファイナンスのための確率解析Ⅱ(シュリーヴ)」、「ファイナンスへの確率解析(ラムベルトン、他)」、「ファイナンスのための計量分析(キャンベル、他)」があります。

最後にダフィーの「資産価格の理論」、「Methods of Mathematical Finance」 (Karatzas, Shreve)で数理ファイナンスは卒業でしょう。

金利モデルでは「Interest Rate Models」(Brigo, Mercurio)が定番です。

確率解析の中心になる伊藤解析はエクセンダールの「確率微分方程式」が定番です。他にも日科技連からでている木島正明の一連の本も良いです。

測度論から確率論を詳しく勉強したいのならウィリアムズの「マルチンゲールによる確率論」、ツァビンスキ他の「測度と積分」あたりが良いようですが私はまだ読んでいません。

最近のファイナンスでは時系列モデルもよく使われるのですが時系列ではハミルトンの「時系列解析」が定番です。

あと、最適化も重要なので「経済学のための最適化入門」(西村)、「凸解析と最適化理論」(田中)などで勉強するといいと思います。

数学の基礎が不十分な人は藤田の「穴埋め式らくらくワークブック」の微分積分、確率・統計、線形代数をやっておくと良いと思います。あと永田「統計学のための数学入門30講」もいい本だと思います。

上記の本のうち、英語が苦にならないならできるだけ最新版の原著を読みましょう。

2009年12月17日木曜日

Andrew Lo


Andrew Loのセミナーに行ってきた。彼はMITのMBAの教授であり、アルファ・シンプレックスというヘッジファンド運用会社のチーフ・インベストメント・ストラテジストである。

私は彼とMacKinlayが書いた"A Non-Random Walk Down Wall Street"という本で衝撃を受けて以来のファンなのだが、ICSの人には「ファイナンスのための計量分析」を書いたCampbell, Lo, MacKinlayのLoと言ったほうがわかりやすいかもしれない。この本を訳したのはICSの先生方でICSのロゴが入っている。ちなみに"A Non-random Walk Down Wall Street"はマルキールの「ウォール街のランダム・ウォーカー」よりもはるかに素晴らしい。私にとって入学前のICSのイメージは”「ファイナンスのための計量分析」とダフィーの「資産価格の理論」を訳した先生がいる学校”というものだった。
Natixisがアルファ・シンプレックスを買収したので、今回のセミナーはNatixis Asset Management Japanが主催したものだった。ちなみにNatixisには前にICSでリスク管理のセミナーをしたクルーイ教授もいる。
Lo教授の話は①適合的市場仮説、②ベータ複製戦略、③アクティブ・ボラティリティ・マネジメントの3つで合計1時間30分近かった。基本的にサービス精神旺盛な人なので、質問に対していろいろと教えてくれていた。そこまで言っていいの、という感じ。あまりここで書いてしまうとLo教授に悪いので書かないが、少しだけ書くと、カルマンフィルタとレジーム・スイッチング・モデルを使っていると言っていた。つまり私が仕事で開発しているモデルのスタイルと似ている。まあ、そうだろうな。
セミナーの会場はザ・ペニンシュラ東京。初めて足を踏み入れたが、大変美しくて豪華なホテルでした。ゼミの同期も来ていた。彼の場合は修論のテーマに非常に近い話だったので、収穫も多かったようだ。この手のセミナーはあまり役に立つことはないものだが、さすがにLo教授、私にとっても収穫の多いセミナーだった。"Hedge Funds"というハードカバーの本までくれて太っ腹。

私も将来ヘッジファンドを運用したいものだ。



2009年12月15日火曜日

修論、統計科学の数理 第8回

昨日は口頭のコメントだったが、今日になって赤ペンでたくさん書き込まれた修論が帰ってきた。読んでみるといちいちごもっともな指摘。ということで分析はともかく文章は全面的に書き直す必要があるな。

事務室から製本の案内が来ていた。

  第1回 平成22年1月18日(月)15時までの締切(時間厳守)
  第2回 平成22年1月25日(月)17時までの締切(時間厳守)

値段が違うらしいが、当然第1回のほうが安いんだろうな。18日だとあまり余裕は無いな。もう少しでマルチンゲールのほうも終わりそうなのだが・・・。今年は正月休みも残念ながら短いのね。今から、鬼のようにがんばるしかないな。

統計科学の数理は中間試験が帰ってきた。ほとんど勉強してないので、まああんなもんだろう。

授業は相関分析と単回帰。
標本平均、平方和、標本分散、標本標準偏差、標本共分散、標本相関係数、分散安定化変換。

最小2乗法、内挿値、残差、正規方程式(normal equation)、垂線を英語でnormalというのでnoraml equationと呼ぶ。正規分布とは関係ない。
残差平方和RSS。正規性の仮定のもとではRSS/σ^2は自由度n-2のχ^2分布となる。

最小2乗推定量は不偏。Gauss-Markovの定理、BLUE。「正規性の仮定の下で、最小2乗推定量は最尤推定量と一致し、その分布は正規分布である」

残差の総和は0。説明変数と残差は直交する。内挿値と残差は直交する。

回帰平方和、F検定、決定係数、信頼区間と検定

2009年12月14日月曜日

修論で師匠と面談

コメントを用意したのでゼミに出席するようにと師匠からメールが来ていたので、おそるおそる行ってきた。師匠の指摘は主に以下の3つ。

①タイトルをもっとdescriptiveなものにする。
②記号を使う前にきちんと定義する。
③セールス・ポイントのメッセージを強くして、読み物として面白いものにする。

「まあまあ、大筋はちゃんと書けているような気がする」ということでとりあえず一安心。

TexにExcelのグラフを載せる方法

修論といえばTexだが、Excelのグラフや表を組み込むにはテクニックが必要。
詳しくはこの方のWebサイトを参照。

要は、組み込みたい表やグラフを仮想プリンタを使ってEPSファイルとして保存してからTexに読み込めばいい。MatlabやEViewsのグラフはそのまま保存するときにEPSファイル形式を選択できるので、そうやって保存すればいい。

2009年12月12日土曜日

ニール・ラーセンのジャングル・フィーヴァーとハイ・ギア

修論のBGMに上原ひろみを聴いてきたが、さすがに飽きてきて何か他にいいのはないかとCDの棚を探した。ボーカルがあると気が散るのでボーカルのないものを探していると懐かしいCDが出てきた。それがニール・ラーセンのJungle FeverとHigh Gearの2枚。

普通はJazz/Fusionに分類されるのだろうが、私はロックとして聴いている。なかなかジャンル分けの難しい音楽でそれだけにセールス的には不利だろう。この2枚は本当に傑作だと思う。その後の「ラーセン・フェイトン・バンド」や「Through any window」が今ひとつなので余計にこの2作の良さが際立つ。

ラーセンのオルガンとフェイトンのギター(ほとんどジミヘンだが・・・)、他も一流ミュージシャンで言うことは無いが、この2作は楽曲がいい。特にHigh Gearのオルガン・ソロはラーセンのベスト・プレイだと思う。どうやったらあんなメロディーを作れるのだろうと感心してしまう。

天才ミュージシャンがものすごく努力したとしても、全てのアルバムを傑作にするということは不可能なわけだが、天才に何らかの偶然が作用して神懸った状態となり音楽的な奇跡と呼べるアルバムができることがある。多分、そのときはむしろ本人たちはあまり努力しなくても勝手にできてしまうという感覚だと思う。

私にとっての音楽的奇跡としてのアルバムは、マーヴィン・ゲイのWha's going on、ダニー・ハザウェイのExtension of a Man、プリンスのParade、ビーチボーイズのPet Sounds、ビートルズのSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band、レッド・ツェペリンのⅡ、キング・クリムゾンのLarks' Tongues in Aspic、山下達郎のRide on Timeなどであるが、ニール・ラーセンのこの2枚もそれらに含まれる(まあ、皆さんそれぞれ意見はあるでしょうが)。

人間、だれでも一生のうちで何回かは神懸りの状態になるんじゃないでしょうか。そのときにうまくチャンスを掴めるかどうかで人生も変わるかもしれない。

2009年12月10日木曜日

永遠に生きるつもりで学べ

ブルームバーグという便利な情報サービスがある。金融・株式市場の分析に必要な情報はほぼこれだけでカバーできる。外国株のファンドマネージャーになってから使い出したのでかれこれ14年使っている。私の場合、これがないと仕事にならない。

ログインするときに指紋認証が必要なのだが、冬になると指の皮膚が乾燥して認識されにくくなって困る。ログインすると上のほうに「本日の名言 Quote of the day」が出ていてこれがなかなか楽しい。

最近、感心したのがガンディー の「明日死ぬつもりで生きよ。永遠に生きるつもりで学べ Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever」。さすがに良いことを言う。

三浦先生の尽きせぬ好奇心を見ていると、俺もまだまだがんばらないと、と思えてくる。

ちなみに「本日の名言」のバックナンバーはブルームバーグでJSAYまたはSAIDとやると見れる。

2009年12月9日水曜日

三浦です

三浦良造先生から「三浦です」という身もふたもないタイトルのメールが来た。驚いたことに漢字の変換間違いがない!。三浦先生はICS創設の最大の功労者であり精神的支柱なのだと認識している。2010年3月31日をもって、定年退職されるそうだ。長い間、お疲れ様でした。

1992年に計画を出したら文部省に8年待てと言われたそうだ。それで欧米の大学院を調査して大橋先生とカリキュラムを作り2000年4月から授業を始められた。

三浦先生の授業スタイルと寄せ集めの資料は(藤田先生の手書きのプリントと並ぶ)衝撃的で違和感もあったが、ぎりぎり三浦先生の授業を受けられたと思うと、今ではいい思い出だ。必ずあった漢字変換間違い(ワザと間違えてるのではないかとすら思ったこともあった)を探すのが密かな楽しみだった。

能力とスピリットの質とレベルが高い、よい学生だったかどうかは自信が無い・・・。

3月23日の修了式後の例年の同窓会パーティーで、定年退職のご挨拶をされるそうだ。同期の全員で笑ってその場に立っていられるといいな。

2009年12月8日火曜日

統計科学の数理 中間試験


問題1:ベルヌーイ分布の最尤推定、問題2:指数分布の確率分布と最尤推定、問題3:仮説検定と検出力関数、第2種の過誤の条件を満たす標本数。
特にひねったところもなく、クラスノートと宿題をほぼそのまま書けばいいようになっていたと思う。持ち込み可なのはありがたい。この歳になるとなかなか覚えられない。
一方で、金融数理は履修登録を取り下げた。「悔しいです(ザブングル風)」。その分、修論をがんばりたい。
師匠は先週提出した修論を3人分しか読まれていなくて、俺の分は来週コメントするとのこと。来週までにカルマンフィルタによるパラメータ推定を終わらせたい。EViewsでやろうとしているのだが、使い方を調べながらやるのでもどかしい。アフィン・イールドカーブのモデルを拡張した形なので各満期の金利が状態変数である短期金利とインフレ率のアフィン型になっている。特に定数項が複雑なのでC++で自分で全部書いたほうが結局は早いかもしれない。悩ましいところです。1月の発表用資料も作れとのこと。
写真は丸の内イルミネーション2009。仲通りがシャンパンゴールドに輝いていてきれいです。12月ですね。
スペインはゴリゴリのカトリック国だが、街を電飾で飾るようなことはない。クリスマスは親戚どうしが集まって歌を歌う程度で比較的質素だ。日本のクリスマスのほうがはるかにイベント色が強い。日本のクリスマスがどういう経緯で今のようになったのかは興味深い問題だが、日本のクリスマスの雰囲気は、これはこれで嫌いではない。ただ、街中がカップルだらけになるので、彼女のいない男どもにはやや辛い時期となる。

2009年12月2日水曜日

クリスマス・イブ


××ゼミは、一日で修論をつき返されたそうだ。恐るべし××ゼミ。
オレの論文も当日の朝までかかって半分寝ながら書いて、読み返してすらいないので、ダメダメだろうなァ。
こんなはずではなかった。研究計画書を書いた頃のまっすぐな気持ちを思い出そう。
写真は大学院の向かいのビルのクリスマス・ツリー。もう12月だ。今年は本当に「あっ」と言う間だったな。
世界中のなかでオレが最も好きなミュージシャンは山下達郎で、最も好きな曲は「クリスマス・イブ」だ。最初に聞いたのは大学1年のときだった。当時達郎はNHK-FMでDJをやっていて、発売前のMelodiesの曲をオンエアして、それが最初だった。聴いてすぐに好きになった。JR東海のCMで人気が出る随分前だ。
あまりに好きなので、田舎に帰ったとき、風呂場で(当然、エコーを効かせるため)、ラジカセを2台使って、メトロノームとフォークギターで歌った自分の歌にピンポン録音で自分の歌を多重録音していって、間奏のパッヘルベルのカノンのコーラスを再現した。それで、そのテープを友人に聞かせて気色悪がられたものだ。
入社1年目のとき、偶然山下達郎のコンサートのチケットを手に入れたのだが、仕事のノルマ(当時の証券会社は厳しいノルマがあったんです)を達成できていなかったオレは、結局コンサートに行けなかった。今でも後悔している。
あるとき、山下達郎は自分の歌のことを「サラリーマンのための応援歌」だといっていた。
Led Zeppelinは「天国への階段」を演奏する前に「希望の歌だ(I think this is a song of hope)」と言うのだが、オレにとっては何千回聴いても飽きない「クリスマス・イブ」は”希望の歌”だ。

2009年12月1日火曜日

休む間もなく

11月までにできなかった、制約付き最適化、マルチンゲール、摂動法、EViewsへの移植は12月中にやりたい。

事務局からメール。

平成21年度3月修了予定者の「修士論文プレ報告会」を下記の通り行います。
平成22年3月末に修了を予定されている方は、この「修論プレ報告会」にエントリーし、発表することが必須となります。

┏━━━━━━━━━【プレ報告会実施概要】━━━━━━━━━━┓
 ■日時: 2010年1月7日(木) 18:20~21:30
2010年1月8日(金) 18:20~21:30
           ※お一人当たりの持ち時間は、15分間になります。
             (プレゼンの時間12分、質疑応答3分)
    ※終了時間は発表人数により前後する可能性が有ります。  
■場所: 第1講義室 及び 第2講義室
    
   ※詳細については、後日お知らせします。
 ■当日までに準備するもの: 発表用ファイル、配布用資料(教員用)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━━【12月13日(日)までに共同研究室へ連絡頂く事項】━━━┓
  ①エントリーの有無 
  (※エントリー資格のある方:11月30日締切の修論原稿を提出された方)
    ↓  エントリーする方は・・・
 ②修士論文タイトル ※仮のものでも結構です。 
 ③どうしても都合のつかない日時 ※ある場合のみご連絡ください。

  *注意* 12月13日(日)までに必ずご連絡をお願いします。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

統計科学の数理 第7回

来週、試験。宿題の内容で形を変えて出題。持ち込み可。

最良棄却域、ネイマン・ピアソンの補題。最強力検定。一般に片側検定であれば一様最強力検定(Uniformely Most Powerful Test, UMP Test)が存在する場合が多いが、両側検定である場合には存在しない。

P-値、単純仮説、複合仮説、t-統計量。

1標本での検定、正規分布に関する検定、平均の検定、分散の検定、2項分布に関する検定、ノンパラメトリック検定、順位検定(rank tests)、符号検定、Wilcoxon符号付順位和検定。

2標本問題。2つの正規分布に関する検定、対標本の場合、等標本の検定、Behrens-Fisher問題、Welchによる近似、等分散の検定、2つの2項分布に関する検定

ノンパラメトリック検定。2標本Wilcoxon順位和検定。

ベイズ検定。ベイズ統計学では、データに含まれる情報と事前分布とを組み合わせ、パラメータθの事後分布を求める。

12月に修論のレベルを上げていかないといけないので、金融数理を切るかどうか検討中・・・。

2009年11月30日月曜日

修論は計画的に

今、修論を印刷し終わった。当日の朝の五時だ。あいかわらずギリギリ・ボーイだな。
内容には不満が残る。こんなひどい論文を読ませられる師匠には申し訳ない。
これが今のオレの限界だ・・・。

とりあえず今は寝たい。おやすみなさい・・・。


上原ひろみは、昨日国際フォーラムでコンサートをやったみたいだな。修論を計画的に早めにやっておけば見にいくこともできたかもしれないが・・・。

2009年11月28日土曜日

ドバイ・ワールド


ドバイに写真の人工島パーム・アイランドを作っているアラブ首長国連邦ドバイ首長国の政府系投資会社ドバイ・ワールドの債務延期問題をきっかけ世界同時株安になっている。リーマン・ショック後回復基調だった世界の株式市場も2番底をつけにいく可能性が高い。
ドバイは明らかにバブルだった。日本人から見ると既視感が強い。パーム・アイランドは新しいバブル崩壊の象徴にふさわしい。
その余波を受けて最近、投資信託を通じて日本人投資家の金が流れていたブラジルの通貨レアルやブラジル株も下がっている。なんで日本人は同じ過ちを繰り返すのかね。学習しないのか。
何とかしたいのだが、いかんともしがたい・・・。

2009年11月27日金曜日

修論、統計科学の数理 第6回

修論は、とりあえず数値計算が終わって(といっても当初計画の半分)、あとは文章を書けばなんとか格好はつきそう。しかしギリギリだな。来年以降修士論文を書く人は早めに数値計算をすることを心よりお勧めします。夏休みに入ってからでは遅い。

数値計算が終わったので気が抜けてしまった。今日からまたがんばりたい。

統計科学の数理はMCMC法を概観。Data Augmentation (Tanner and Wong), Gibbs Sampling, Metropolis-Hasting(変なやつ)。Gibbs SamplingはMetropolis-Hastingsアルゴリズムで、常に推移が行われる場合に相当。

日本のMCMCの本は駄本が多いらしい。日本の本は危ない。数学を分かってない人が書いていると駄目。そのなかで豊田(2008)はベタに書いてあるが悪くないそうだ。この本は持っているがまだ読んでない。RにはMCMCの関数がそろっていて、1回授業でコンピュータ実習をやる。その他、ここには書けないような話もあった。

金融数理は残念ながら2週続けてパス。

2009年11月21日土曜日

丸の内 仲通りのオブジェ


オブジェというか、明らかにバッタだな。
金融数理は修論優先のため、パス。
あと1週間か。間に合うかな。みなさん、がんばりましょ。
次の金融数理,小テストで,主にポアソン分布,正規分布,ガンマ・ベータ分布,いままでの復習,を出題。また,中間試験は12月10日、と同期が教えてくれた。いや~助かります。持つべきものは友ですな。
確率はじっくり腰をすえて勉強したいところだが・・・。

2009年11月17日火曜日

統計科学の数理 第5回 推定(2)

区間推定
 近似信頼区間、ロジスティック回帰の信頼区間は近似、ベイズ信用区間、ベイズでは分からないものは全部確率分布、パラメータもある確率分布に従う確率変数と考える。ベイズの区間推定は事後分布にもとづいて構成。

漸近理論
 一致性、チェビシェフの不等式、中心極限定理、有効性、漸近正規性、Fisher情報量(対数尤度関数をθで1階微分したものの2乗の期待値)、「Fisher情報量について語れるとプロっぽさを演出できる・・・(笑)」、Cramer-Raoの不等式(不偏のとき分子は1でFisher情報量の逆数)、漸近有効性asymptotic efficiency、漸近分散がFisher情報量の逆数に等しい推定量を漸近有効推定量と呼ぶ。最尤推定量の漸近分布と漸近有効性、尤度方程式の左辺をθの周りでテイラー展開。

MCMC マルコフチェーン・モンテカルロ
 マルコフ性(確率密度関数が1時点前の観測値のみに依存)、マルコフ連鎖、定常、推移確率行列、初期分布、既約 irreducible、非周期的 aperiodic、 再帰的 recurrent、マルコフ連鎖がエルゴード的なら次の3つが成立、①任意の初期分布から定常分布に収束、②大数の法則が成立、③中心極限定理が成立。連続時間では推移確率行列は推移核に一般化される。

時間切れでMCMCは次回に。来週は宿題無し、テストは12月8日。

統計数理をおもしろく教えることができるということは、すごい才能だと思う。本当は授業に出ている場合ではないのだが・・・

2009年11月15日日曜日

戦略的アセットアロケーション

戦略的アセットアロケーションはCampbell and Viceiraが書いた本で、彼らが書いた論文をまとめたもの。おれの修論は彼らの手法を日本人投資家がグローバルに投資するために拡張したものにしようとしている。

最近知ったのだが、Campbellらは彼らのMatlabのコードをWebで公開していたのね。そこで彼らが使ったデータで試してみると、おれの計算の仕方と少し違っていて、結果も違っている。

修論提出まであと2週間しかないけど、提出前に気づいたことは幸いだと思って、全部やり直すしかないな。まだ16日も残っていると前向きに考えよう。とりあえず、今日は超集中してMatlabのコードを分析する。必ず今日中に終わらせること・・・。終わるかな?

2009年11月14日土曜日

金融数理 第6回

離散伊藤公式、Doob Meyerの分解、非対称ランダムウォーク。
最後に小テストを行うので昨年より進み方は遅い。
次の小テストは11月26日、中間テストは12月3日の予定。
この授業を受けて気づいたことが二つ。①自分は確率が苦手、②自分は手計算が苦手。
小テストはそんなに難しくないのだが、いかんせん修論に時間を割いているので準備不足。
確率は時間をかけて丁寧に勉強したいところだが・・・。
意外に思う人もいるかもしれないが、(デリバティブをほとんど使っていない)投資信託の資産運用の実務において確率はほとんど使われていない。また、計算はコンピュータにやらせるので手計算をすることもほとんどない。
確率は実務とアカデミックを分ける壁の一つだと思う。日本の金融実務においてファイナンスの理論はほとんど活用されていない。そもそも(自分も含めて)日本の金融業界の人間は数字を扱う商売にもかかわらず数学に弱すぎる。たまに数学に強い人間が入社しても彼らの才能を活かせていない。
「日本の投資信託がなぜだめか」についてはいずれ整理したい。かといって外資系の投資信託や金融機関が優れているというわけではない。オレは外国株のファンドマネージャーを長くやったので外資系の金融機関や資産運用会社もたくさん見てきたが、はっきりいってたいしたことは無い(プレゼンだけはやたらうまいが)。
オレとしてはアカデミックの理論を実務に応用することで競争力を付けていきたい。

2009年11月11日水曜日

丸の内 仲通り


丸の内 仲通りは日本で最もきれいなオフィス街の一つだと思う。写真だと分かりにくいが、街路樹がきちんと手入れされ、高級ブランド店がずらりと並んでいて少しニューヨークの5番街に似ている。先日まではハロウィーンのデコレーションが飾ってあった。全体にセンスがいい。三菱地所がそうとう努力しているのだと思う。遠くに見えるのが丸ビル。

昼飯を求めてここを歩いていると、オフコースのYES-YES-YESの一節を思い出す。

  君の嫌いな東京も 秋は素敵な街 ♪


ところどころにオブジェが置いてある。牛のオブジェもある。牛は角を上に突き上げることから、株式市場の上昇を象徴し、証券会社にとっては好ましいシンボルである。例えばメリルリンチのロゴはそのまま牛である。逆に熊は手を振り下ろすことから株価の下落を象徴する。株価の上昇、または株式市場に対して強気の見方をブル、逆をベアという。

修論は、順調に進んでいる。分析のやり方を把握できれば後はデータを入れ替えるだけでどんどん分析が進む。最初は異時点間ヘッジ需要がCampbellらの結果と違って直線になるので違和感があったが、リスク回避度の値を変えるたびに収束計算を再計算させないといけないことに気づいてからは、かれらと同じような曲線になった。今のところExcelで行列計算をしているが、EViewsかMatlabで合っているかどうか確認する必要がある。

日本の株式と債券でやると株式をショート、債券をロング、日本の債券と米国の株式、債券でやると米国株式をショート、日米の債券をロング、日米欧の債券でやると適度に各地域にアロケーションする結果となった。とりあえずCampbell, Chan , Viceiraの手法はこれでよしと・・・。

次はBrennan and Xiaのマルチンゲールによるアセットアロケーションに取り掛かる。イールドカーブなどからプライシング・カーネルをカルマンフィルタで推定してマルチンゲールを利用して最適投資比率を求めることになる。さて、うまくいくかどうか・・・。






2009年11月5日木曜日

鼻呼吸の薦め


修論提出まであと24日となってきたわけですが、この時期怖いのは風邪ですね。うがい、マスクはもちろんですが、個人的にお勧めなのが「鼻呼吸」です。起きているときは意識して口ではなく鼻で呼吸することを心がけます。寝るときは薬局で売っている粘着テープで口を止めて寝ます。昔はブリーズライトを鼻にして口をテープでとめていましたが、慣れてくるとブリーズライト無しでも大丈夫です。家族には「変だ」と言われつつも、これをやりだしてから一度も風邪をひいておらず効果は絶大です。
鼻呼吸は集中力を高める効果もあるみたいですし、ヨガでも呼吸は鼻でします。日本人の多くは口呼吸だと言われています。是非一度、「鼻呼吸」をお試しください。

日本CFA協会による職業倫理セミナー

ICSで日本CFA協会による職業倫理セミナーが行われたので行ってきた。あずさ監査法人の神谷精志さん、野村アセットマネジメントの原田武嗣さんが話された。さすがにCFA協会の倫理規範、職業行為基準、アセット・マネジャー職業行為規範はよくできていると思った。お二人の話も大変分かりやすかった。原田さんは抽象的では分かりにくいだろうということでケーススタディまで準備されていた。

同時に、うちの会社のコンプライアンスのレベルが相当高いことも確認できた。うちの会社は本業よりもコンプライアンスのほうがうるさいくらいなのでいい加減ウンザリなのだが、本当に頻繁にコンプライアンス・テストや研修などを受けさせられる。というこでうちの会社のコンプラ研修がCFAと同水準だということが分かった。

セミナーのあとは8Fで懇親会。師匠とかなり長く話ができて良かった。修論や口述試験の話もいろいろ聞けた。少し頭痛がしたので休もうかと思ったが、無理して行ってよかった。師匠のゼミで良かったと心から思う。また、M1の人とも少し話ができて良かった。寿司もなかなかおいしかった。

2009年11月3日火曜日

Joni Mitchell ジョニ・ミッチェル


"A Tribute to Joni Mitchell"は希代の天才、Joni Mitchellに捧げられたアルバムで、ビョーク、エルビス・コステロ、アニー・レノックスなど錚々たるメンバーがJoniの歌をカバーしている。そのなかで、われらがPrinceは、名曲 "A case of you" を歌っている。今、それを聴きながら書いているわけだが、 オリジナルがダルシマーの弾き語り風なのに対して、Princeのものは完全にゴスペルそのもので、美しいファルセットで歌っており、PrinceのJoniに対する敬愛ぶりが伺える。

Joni Mitchellは最初のころはフォーク的で「サークル・ゲーム」や「ボス・サイズ・ナウ」などのヒット曲は多分、皆さんもJoniの曲とは知らずに一度は聴いたことがあるはずだが、途中からジャズの影響が強くなり最後にはジョニ的としか言いようのない独自の世界を確立してしまった。

全てのアルバムが傑作と言えるが、耳障りのいいヒットチャートをにぎわすような曲作りではないので好き嫌いは分かれるかもしれない。個人的には、Jaco PastoriusやPat Methenyなどの錚々たるメンバーを従えてやったライブの"SHADOWS AND LIGHT"が一番好きだ。ここでのJacoのプレイは衝撃的。最後には黒人アカペラ・グループでこれも私の好きなThe Persuasionsまで出てきて"Why do fools fall in love"と"Shadows and light"を歌う。

Princeの" A case of you"を聴きながら、あらためてこの曲は名曲だと思った。自分が失恋した男のことを歌った切ない曲である。

Just before our love got lost you said
"I am as constant as a northern star"
And I said "Constantly in the darkness
Where's that at?If you want me I'll be in the bar"

On the back of a cartoon coaster
In the blue TV screen light
I drew a map of Canada
Oh Canada
With your face sketched on it twice

Oh you're in my blood like holy wine
You taste so bitter and so sweet
Oh I could drink a case of you darling
Still I'd be on my feet
oh I would still be on my feet

Oh I am a lonely painter
I live in a box of paints
I'm frightened by the devil
And I'm drawn to those ones that ain't afraid

I remember that time you told me you said
"Love is touching souls"
Surely you touched mine
'Cause part of you pours out of me
In these lines from time to time

Oh, you're in my blood like holy wine
You taste so bitter and so sweet
Oh I could drink a case of you darling
And I would still be on my feet
I would still be on my feet

I met a woman
She had a mouth like yours
She knew your life
She knew your devils and your deeds
And she said "Go to him, stay with him if you can
But be prepared to bleed"
Oh but you are in my blood

You're my holy wine
You're so bitter, bitter and so sweet
Oh, I could drink a case of you darling
Still I'd be on my feet
I would still be on my feet


愛が終わる前あなたはこう言った
「僕の心は北極星のようにいつも同じところにある」
だからわたしは言ったの
「いつも暗闇の中にいるってこと? 
あなたが私を欲しいなら私はバーにいるわよ」

テレビのスクリーンの青い光のなかで
マンガのコースターの裏にカナダの地図を書いた
そう、カナダの地図
その上にあなたの顔を二度重ねて描いたの

ああ、あなたは私の血の中を流れる聖なるワイン
とても苦くて、とても甘い
あなたなら、ひとケースだって飲める
それでも私はちゃんと立っていられるわ
きっとこの足で立っていられる

私はひとりぼっちの絵描き
絵の具箱の中で暮らしている
私はとても怖がりだから
恐れを知らない人に惹かれてしまう
あなたがこう言った時のこと、よく思い出すの
「愛とは魂にふれること」
そう、あなたはたしかに私の魂にふれた
だからあなたの一部がときどき歌になって
私の中からあふれ出す

ああ、あなたは私の血の中を流れる聖なるワイン
とても苦くて、とても甘い
あなたなら、ひとケースだって飲める
それでも私はちゃんと立っていられるわ
きっとこの足で立っていられる

女のひとに会った
あなたによく似た口元をしていた
彼女はあなたの人生を知っていた
あなたの内側にいる悪魔も、
あなたの行いも知っていた
そして言ったの
「彼のところに行けばいい
できるものなら、一緒にいればいいわ
でも血を流すことは覚悟しておいてね」

ああ、あなたは私の血の中を流れる聖なるワイン
とても苦くて、とても甘い
あなたなら、ひとケースだって飲める
それでも私はちゃんと立っていられるわ
きっとこの足で立っていられる

(Joni Mitchellの全曲の歌詞が公式サイトのjonimitchell.comに掲載されている。訳はネット上にどなたかが公開していたもの)

本人と会ったことはもちろんないが、おそらく芸術への衝動が強すぎて、生きることが非常に不器用なタイプの人ではないかと想像される。「芸のためなら男も泣かす」といった雰囲気がある。ドキュメンタリーDVDの「ジョニ・ミッチェル: ウーマン・オブ・ハート・アンド・マインド」をみていると別れた昔の男たちのグラハム・ナッシュ、ジェイムス・テイラー、ラリー・クラインなどがインタビューに応えているが、みなJoniへの好意的な思い出を述べているのがおもしろい。Joni本人は「作品を作るためには恋愛が必要だ」と語っている。

Joni Mitchellは、絵も天才的にうまくてアルバムのジャケットもほとんど自分で書いている。昔はそれほどでもなかったものがどんどん上手くなっていった。本人は曲作りの気分転換に絵を描くことが必要だといっている。CDの歌詞集にも彼女の絵が使われており、それも大きな魅力のひとつ。

写真は彼女が書いた絵を集めた画集の表紙。この絵は彼女のアルバム"Turbulent Indigo"のジャケットにも使われたもの。ゴッホのファンの人なら分かると思うが、ゴッホが自分で自分の耳を切ったときの自画像がモチーフになっている。

2009年11月1日日曜日

如水会館とマイナス・ゼロ


修論の休憩中に「マイナス・ゼロ」を読んでいると「ゼロ」というタイトルの4章7節に如水会館が出てきて驚いた。マイナス・ゼロの舞台になっていたとは、なにかの因縁を感じる。しかし、何回か読んでいるのに、細かいところはほとんど覚えていないな。
如水会館というのはICSの隣のビルだ。
「神田一ツ橋にある如水会館は、終戦後間もなく進駐軍に接収され、GHQのオフィサース・クラブとして使用されていた。スターダスト・ルームと呼ばれる部屋は、その二階にあり、大きなドーム状になっていた・・・」。ここでジョージ山城中尉は伝蔵からタイムマシンの話を聞き、伝蔵と美子の数奇な運命を知ることになる。
ウィキペディアによると如水会館は如水会が所有しているらしい。如水会というのは一橋大学の後援等を目的とする社団法人。現在の如水会館の二階にあるスターホールというのはもしかしたらスターダスト・ルームの名残かもしれない。
タイムトラベルものといえば、今日は日曜劇場-JINの4回目。すっかりはまってしまった。花魁姿の中谷美紀がひたすら美しい。
なんだか修論をやってないで遊んでばっかりのように見えるが、一応順調に進んでいる。なんとか11月中にはまとまりそうだ (^^)。

2009年10月31日土曜日

アンデスの歌う(笑)ネズミ デグー(Degu)


うちにはデグーがいる。「人になつくんですよ」という店員のセールストークにのせられて次女が誕生日プレゼントに買った。人に懐くということで、肩にのったりとか、放し飼いにしていても寄ってくるようなイメージでいたところが、家に連れて買えるとスタスタと普通のネズミのようにタンスの陰に隠れて出てこない。
「これでは少し体がでかいだけの普通のネズミじゃないか・・・」
ということで、次女の興味は一瞬で消えてしまったようだ。それ以降はオレが世話をしている。
デグーは「アンデスの歌うネズミ」と呼ばれているらしい。ペットショップにも同様のPOPがあった。

実際に腹が減っているとクゥー、クゥーと鳴くし、餌をやるとなんともいえない声でクゥーイ、クルククーと鳴く。正直、癒される。しかし「歌う」というほどではないかな・・・。

ということで、次女は餌だけは自分でやってデグーを鳴かせている。檻の掃除はオレだ。

デグーを飼っている人は少ないだろうし、研究もあまりされていないようだが寿命は5年から8年らしい。おそらくこいつは4年目くらいなので、そろそろという覚悟はしているが、できるだけ長生きをしてほしいものだ。

2009年10月30日金曜日

衝撃 小倉丼

ブローカーズ・レポートのおまけに何気なく載っていた名古屋の喫茶店「マウンテン」が今日の最大の衝撃。


小倉丼は「マウンテン」の隠れメニューらしい・・・。人間の食うものではないな。大量のあんこにパイナップル、あんこの下にキウイ、ピンク色のライスは赤飯ではなくイチゴ・シロップ・・・。オレには絶対に食えない。

この店は結構有名らしい。この店には他にも「甘口メロンスパ」、「甘口抹茶小倉スパ」、「おしるこスパ」、「トマトバジルかき氷」、「甘口バナナスパ」など名前を聞いただけで気色悪いメニューが並ぶ。

詳しくはこのウェブサイトを。

なんで金を払ってまでこんなものを食うのか、全く理解不能。

名古屋は不思議な食材の組み合わせを楽しむ風潮があって「奇食の都」と呼ばれているらしい。

金融数理 第5回

当然のように今日も遅刻。ランダムウォークに関するマルチンゲール表現定理(対称、非対称)。動的公平性。ランダムウォークに関する離散確率積分の極限をとると伊藤確率積分。離散伊藤公式。分かることはできるが厳密に証明することは(数学科で確率を専攻していない君たちには)不可能に近いから、ウンウン。

気がつくと「もやもやサマーズ」をやっている。もう一週間たったのか。速いな。修論は二歩進んでは一歩下がる。いよいよ11月は体力勝負になってきたな。みなさん、健康には気をつけて。

2009年10月27日火曜日

統計科学の数理 第4回 推定

点推定、区間推定、推定量、推定値。推定量は確率変数の関数であり確率変数。推定値は実現値に対して計算されるので確率変数ではない。

最尤法、対数尤度関数、積率法(モーメント法)、ベイズ推定量、事前分布、事後分布。MCMCでは事前分布はゆるめの方が収束スピードが速い。ベイズ推定量は真の分布と事前分布の加重平均になっており、データ数が大きくなると真の分布に近づく。

最尤推定量のMSEは標本分散より小さい。バイアスを多少犠牲にすることによって、MSEを改善している。データ数が大きければバイアスはごく小さい。

まあ、時系列分析のプロである我々にとっては最尤法は常識なわけですが・・・。データ数が大きければ最尤法が王道ですね。

来週はいよいよMCMCが登場するようで楽しみ。

自分を客観視する

日曜劇場の「JIN-仁」3話のなかで、主人公が1話でせっかく助けたタエさんが辻斬りに斬られてあっさり死んでしまいましたね。これは、タイムマシンものでは「歴史の自己補修作用」といいます。つまり、人間が歴史を変えてしまって死ぬはずだった人を助けても、それが無かったかのように歴史(というか神というか)が戻そうとするということです。人間のような小さい存在が歴史を変えようとしても変えられないという、ちょっと空しいというか切ない考え方です。せつなさというのは芸術の重要な要素ですね。

タイムマシンものでもうひとつ面白いのは、自分を自分で見ることができることです。虚構上ではありますが、別の時代の自分を自分の目で文字通り客観的に見ることができるわけです。

自分を常に客観視できるということ、物事を様々な角度から見ることは非常に大事なことだと思っています。主成分分析と一緒ですね。視線の角度を変えると見通しが良くなったりします。

自分を客観的に見る、という点に関しては日本人よりも欧米人の方が一日の長があるのではないかと感じています。スペインのバルセロナで2年間生活して感じたのは欧米人にとっていかにキリスト教が生活の中に深く根付いているかということです。若い人でも日曜日には必ず教会に行ったりします。スペイン人はほとんどがカソリックだと思います。まあ、スペイン人でも宗教にはあまり関心がないという人もいますが、そういう人でも行動原理というか考え方の裏側にはキリスト教の強い影響があります。(ちなみに私はキリスト教徒ではありません)

キリスト教は厳密な一神教です。キリスト教の神は日本人のイメージする神(祈れば少しは願いをかなえてくれるようなやさしい神)とは正反対というかむしろ残酷で絶対的なもののようです(このあたりは小室直樹の受け売り)。欧米人は大抵はキリスト教徒で、子供の頃から絶対的な神とそれに対する自分という視点を刷り込まれます。このことが常に自分を客観視するという訓練になっているのではないかと考えています。

また微妙に話は変わりますが、ヨーロッパで生活すると、ヨーロッパから見た日本、アジア、米国という視点を獲得できるので、日本人というものを客観的に見たり、日本の良さをあらためて発見できたりします。まあ、外国で暮らすというのはそれなりに苦労も多いわけですが・・・。

スペイン・バルセロナでの生活の楽しさや苦労については、このブログがお勧めです。イラスト入りでよくできています。

海外のMBAで学ぶということは、勉強以外にも異文化のこのような視点を獲得できるというメリットがあります。ICSの社会人コースは先生も生徒も日本人なので残念ながらこのような体験はできません。ICSでも昼のフルタイムMBAなら、生徒のほとんどが海外の人のようで授業も英語で行われるようなので、少しは体験できそうです。

ブログを書くということは、私にとっては自分を客観視する訓練でもあります。脳にも良いそうなので、皆さんもブログを始めたらどうでしょうか。

2009年10月25日日曜日

真夜中の相棒

夜中に修論を書いているときに、遅くまでつきあって起きていてくれるのがこいつ。ときどきガサガサと音をたてて、気分を和ましてくれる。寒くなってきて餌の消費が減ってきた。そろそろヒーターを入れてやるか。

明日のゼミでは進捗状況を師匠に報告したい。もうひとがんばりしましょう。

2009年10月23日金曜日

金融数理 第4回

先生、今日も遅刻。
条件付期待値と最小2乗法、3垂線の定理。ランダムウォーク。やっぱりでてきた、オーストラリアのキャンベラのカジノでみた、ブラックジャックで少しずつ賭けては負けて帰っていく男の話。
雑談のネタは毎年同じようだ。ウンウンウン。

懸念していた小テストは14問で本の問題がほぼそのまま出ていた。この程度ならそれほど負担にはならないかも。次は3週間後に3章。

同期と立ち話をした。完全に行き詰ってしまって先生に相談に来たとのこと。それはそれですごい。かなり進んだから行き詰るわけで。オレなんかまだ行き詰るところまですら行っていないからな。

社会人大学院の難しさは、仕事に時間を取られて、勉強に集中できないことだな。短い細切れの時間を大切にすることが大事。集中力を高めるにはヨガと座禅がおすすめ。肩こりも治って一石二鳥。

2009年10月21日水曜日

統計科学の数理 第3回

データと標本分布

階層モデルと混合分布、プロビット、ロジット、格付けモデルは最尤推定よりMCMCの方が簡単、標本分布、独立確率変数、独立な確率変数の和、正規確率変数の関数、対数の法則、中心極限定理(証明はめんどうくさい)、離散分布の近似、t分布、F分布、パーセント点、順序統計量、標本平均と標本分布

修論は、とりあえず日本の株と債券データでCampbellのモデルがγ=1のときちゃんと収束した。とりあえず一安心。しかしややこしい。γ=1以外のときは収束しない。

この勢いでBrennan and Xiaのモデルもやってしまおう。

修論が当初の予定より大幅に遅れているので、金融数理を断念するかどうか迷う。

2009年10月19日月曜日

素数の歌

うーん。これは・・・すごい。

東京大学教員の講義資料を無償で公開するWebサイト

これの第1回「素数の不思議」の講義ノート。いきなり「写素数」・・・。数学者って素数を写経するんですか?

でも、極めつけは「素数の歌」・・・。ぜひご覧ください。

今日は、ゼミだった。他の人は結構進んでいる。いかんな・・・。オレも早く進めないと。週末に一つ壁を越えたと思ったら、すぐに別の壁にぶちあたった。なんでCampbellのモデルはこんなにややこしいの。

2009年10月17日土曜日

Pretty Woman

有名なこの写真、実は合成だと知っていますか。つまり、胴体はそれぞれ別の人。

今日は、久しぶりに修論に集中できて少し進めたので、休憩にプリティ・ウーマンを見る。大金持ちと貧乏人(売春婦)の恋。リチャード・ギアは買収ファンドを運営しているようで買収交渉の場面などがある。アメリカの上流階級の雰囲気、ポロのシーン、高級ブティック、高級ホテルなど庶民はあまり見ることのできない世界を楽しめる。まあ、あまり細かい内容を議論する映画ではない。

個人的には大金持ちが金にものを言わせて好き勝手をするというジャンルの話は結構好きだ。非日常的感覚を味わいたくて映画を見るのだから、貧乏人同士のちまちまとした話よりは、スケールの大きな一種のファンタジーを見せて欲しいと思う。

リチャード・ギアはひたすらかっこよく、ジュリア・ロバーツはひたすらかわいい。

この映画には個人的な思い出がある。ESADEでの外国語(つまり英語)の授業でこの映画が使われたのだ。イギリス人のかわいい女性の先生に、映画のなかのせりふのoccupational hazardはどういう意味かと聞かれて答えられなかったことを今でも覚えている。スペイン語のMBAの授業に四苦八苦で僕の英語の力がどんどん落ちていくのを心配してくれていた。

映画の中でロバーツは高級ブティックの店員に「ここはお前のいる場所ではない」といわれて傷つく。それを知ったギアが今度は金に飽かして最高の服とサービスを彼女に与えるようにさせる。アメリカでは本当に金があれば何でも手に入るのだなという気がしてくる。そのシーンであのイントロとともに流れてくるのがロイ・オービソンの名曲 オー・プリティ・ウーマン。

ロイ・オービソンはジョン・レノン、スプリングスティーン、エルビス・コステロ、山下達郎などに影響を与えた伝説のミュージシャン。火事や事故で妻子を亡くしており、悲劇的な人生を送っている。彼のCryingを聞くと本当に泣けてくる。

この映画でスーパースターの仲間入りしたジュリア・ロバーツは、その後「ノッティングヒルの恋人」において今度は逆の立場で、自分がスーパースターの金持ちで相手が貧乏人のヒュー・グラントという役を演じている。こちらの映画はあまり金の力で解決するということはなく、落ち着いた、さわやかな恋愛映画に仕上がっている。ちなみにTVで放送されたときの吹き替えに僕の大学時代の友人の役者がちょい役で声優をしている。

2009年10月16日金曜日

JIN-仁-とマイナス・ゼロ


JINというのは日曜劇場の新しいドラマ。TVドラマはほとんど見ないのだが、娘が録画していたのを少し見た。あらすじは、現代の医者がタイムスリップして坂本竜馬、勝海舟などとからむというもの。医者なので、死にかけている人を助けるのだが、それは歴史を変えてしまうことにつながるというタイムパラドックスもテーマの一つ。個人的にわりと好きな中谷美紀が現代と過去の二役で出ている。


見ていて、広瀬正のタイムマシンものの傑作「マイナス・ゼロ」を思い出した。ずっと廃刊だったのが最近復刊されたようで喜ばしい。マイナス・ゼロは僕に小説の面白さを教えてくれた思い出深い小説。前半はやや冗長だが、後半からグングン引き込まれ、気がつくと徹夜で読んでしまった。特に最後の数ページは文字通り鳥肌を立てながら読んだ。あれほど強烈な経験は後にも先にもあのとき一度きりだ。好き嫌いはあるかもしれないが、僕の中では傑作。あまりに好きなので実は3冊持っている (^^;)。

広瀬正については、筒井康隆の「みだれ撃ち涜書ノート」に掲載されている長い解説(もともとは広瀬の「タイムマシンの作り方」という短編集の解説)が詳しい。

「広瀬正は、報いられることなき期間があまりにも長かった作家であり、それに比して報いられることがあまりにも短期間だった作家である。・・・」
考えてみると、広瀬正も、丸谷才一、マルケス、ボルヘス、ハメット、チャンドラー、ル・クレジオ、P.K.ディックもみな「みだれ撃ち涜書ノート」で初めて知ったので、この本も僕の読書人生に大きなインパクトを与えた本だ。





統計科学の数理 第2回、 金融数理 第3回

統計科学の数理は、同時分布、周辺確率関数、相関係数、条件付分布、条件付期待値、そして、でましたヤコビアン。ヤコビアンは変数変換のときの倍率調整に使うのですね。

金融数理は幾何分布の無記憶性、確率母関数、期待値、条件付期待値など。途中で確率をベン図で考えるのは不適切という話で脱線してあまり進まなかった。ウンウン。

ということでいまのところこの2科目はみごとに内容がかぶっていて私としてはありがたい。

私の「2週間の難問」だったプログラムがようやく終わりそうだ。いやー大変だった。日本の投信業界にとって革命的な商品になりうると思っているのだが、また、「難しい」だの「これでは売れない」など言われるのだろうな。

まあ、これでやっと修論に集中できる。あと44日。一気に仕上げに行きたい。

2009年10月10日土曜日

私には、何も起きない場合の覚悟がある

「100年の難問はなぜ解けたのか」はNHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか 天才数学者 失踪の謎」で放送されたものを単行本化したもの。 放送では省略されていた部分もかなりあって、そこがかなりおもしろい。

ペレリマンは”宇宙の形”をめぐる100年の難問「ポアンカレ予想」を解きながら、数学界のノーベル賞ともいわれるフィールズ賞の受賞を拒否、賞金も受け取らなかった。

とっつきにくい雰囲気だが、話しかけると意外に礼儀正しい。数学に対してとてもストイックで、求道者とでもいうような雰囲気がある。もともとは明るい性格だったがポアンカレ予想に取り組みだしてからどんどん雰囲気が変わっていく。

ペレリマンの人間性と行動は、トポロジーを知らない私たちの心まで強く揺さぶる。私たちは大なり小なり難問を抱えながら生きている。それは100年の難問ではないかもしれないが、本人にとっては解決が困難な問題である。ペレリマンが難問に立ち向かう姿勢はわれわれも共有できる普遍性を持っている。

東北大学の塩谷隆教授によると「数学的に言うと、アレクサンドロフ空間とは『特異点』を持った特殊な空間のことです。私たち幾何学者にとって、研究の王道と言えば『多様体』です。しかしペレリマンや私は、多様体が潰れてしまって特異点を持った『多様体ではなくなった空間』を研究していることになります。ペレリマンはその道の大家なのです」

ペレリマンはトポロジー(位相幾何学)を象徴する問題に対して、古臭い微分幾何学のアイディア(リッチフロー方程式)、「ゲテモノ数学」と揶揄されることもあった「特異点」の研究を駆使して「時間を過去に遡らせることで宇宙を破綻させずに」、トポロジーの研究者が解けなかった難問を解決した。

「数学において、ほとんどの人は二つ以上の分野で重要な貢献をすることはできません。時間がかかるからだけでなく、二つ以上の分野を習得するには、新しい考え方を一から再構築する必要があるからです。・・・ペレリマンのようにかけ離れたことを同時におこなう能力を持ち、かつそれが非常に高いレベルであることは、とても稀なことなのです」

「ペレリマンが孤独に耐えたことが成功の理由かもしれません。・・・人間性を真っ二つに引き裂かれるような厳しい闘いだったに違いありません。ペレリマンはそれに最後まで耐えたのです」

「彼は必要でないものを徹底的にそぎ落とし、社会から自分を遮断させて問題だけに集中しました。その純粋性が七年間もの孤独な研究を可能にし、同時にフィールズ賞を辞退させたのです。・・・数学はなによりも純粋性に依存する学問です」

今回のタイトルの「私には、なにも起きない場合の覚悟がある」は、先輩数学者に「大きな難問に挑むのは魅力的だが大きければ大きいほど失敗したときのダメージは計りしれない」といわれたときにペレリマンが真面目な顔で答えたせりふ。この本の中で一番印象に残った。

ジョイス、プリンス、ペレリマンと、私はどうやら「孤高の天才で奇人」という人間に強く惹かれるようだ。

2009年10月9日金曜日

ESADE en The World MBA Tour

少し、母校の宣伝を。

私の母校、スペイン・バルセロナのESADEがThe World MBA Tourに参加し、東京で説明会を行います。ESADEからはアメリカ人のMaryが参加します。日本人の卒業生もお手伝いします。ESADEに限らず、欧米のMBAの情報を生で得られる良い機会だと思いますので、興味のある方はぜひご参加ください。

ちなみにESADEでは英語とスペイン語のMBA・プログラムを受けることができます。


ESADE will be participating in The World MBA Tour (QS) on November 5th. Here is more detailed information:
Date: Thursday, November 5th
Time: 18:00-21:00
Venue: Sheraton Miyako Hotel, 1-1-50, Shirokanedai Minato-ku

金融数理 2回目(10月8日)

ランダムウォークの基本的性質。平均、分散、独立増分性。条件付期待値。モーメント母関数。ガンマ関数、ベータ関数。相変わらず、猛烈な速さで板書していく。

「昨日の日経平均と今日の日経平均は独立ではないから。昨日30000円で今日100円ということはないから。差分やリターンが独立とはいえる。」
「これだけは言って欲しくない。『独立している』とは言わないから。『独立』だから・・・」

やっぱり、毎年言っているんだな・・・。さすがに2回目だとなんとかついていけそうだな。
と、油断していると「今年はTAもいないので、宿題は出さない。その代わりに、今書いている本の原稿を渡すから自習してもらって隔週で小テストをする・・・」 エ~ッ・・・。

うーん、楽になるのかならないのかよく分からん。どうせ同じような宿題だろうと高をくくっていたのだが。

写真は金融数理のclassroom3に通じる6Fの廊下。こうしてみると普通のオフィス・ビルに見える。

2009年10月6日火曜日

統計科学の数理

大上先生、45歳。「おおえ」ではなく「おうえ」。大橋先生は一つ上だそうだ。う~ん、意外と若いんですね。一橋・商学部卒でORをマスターで研究中に統計に転向されたそうだ。カーネギーメロンでPhD。カーネギーメロンは当時、ベイズの牙城だったとのこと。最後の2回はMCMCをやるそうで楽しみ。

授業は米国の統計学科のマスターレベルを想定しているとのこと。

痩身、猫背でなにかに似ていると思ったら、あれだ、エヴァンゲリオン。

説明は明快。よくできたレジュメとパワポ。1日でベルヌーイ分布からガンマ分布まで終わる。このペースだとどこまでいくのか。ICSは個性的な先生ばかりだったので、こういう、いかにも先生らしい先生というのは、考えてみたら初めてだな。

教え方がうまいので分かった気にさせてくれる。

ひさしぶりのゼミ

久しぶりのゼミ。皆元気そうだ。師匠は相変わらずクール。

夏休み明けの最初のゼミということで各自が論文のアウトラインを説明。進んでいる人もいれば進んでない人もいる。11月30日が草稿締め切りなのであと2ヶ月弱。

とりあえず方向性はOKを頂いたので一安心。10月に早めに実証分析をやるようにとの指示。

修論の基本は最終成果に一語一句責任を持つということ。自分で理解して書き、答えられるように、とのこと。また、論文の形になっていないとチェックしにくいとのこと。11月末に提出してから2月の最終提出まで師匠のコメントとそれを受けた見直しというサイクルが2回しかない。11月末に草稿ができていないと、この修正のサイクルが間に合わなくなるので、ほぼ手直しなしで終わることになる。


ところで祝迫先生の「資産価格の実証分析」が突然、秋学期休講になった。去年無理してとっておいて良かった。個人的にはかなり好きな授業だった。忙しいのかな。今年取るつもりだった人はかわいそう。

2009年10月3日土曜日

Place to be / Hiromi

上原ひろみのCD「プレイス・トゥ・ビー」とDVD「ライブ・イン・コンサート」がAmazonから届く。「プレイス・トゥ・ビー」は、初のソロ・ピアノ・アルバム。

1曲目のBQEからぶっ飛ぶ・・・。

凄いね・・・。

これを聞いてエドワード・ヴァン・ヘイレンのライトハンド奏法を思い出したのは私だけでしょうか。初回生産限定盤のみに付いているおまけのDVDのインタビューの合間にBQEの演奏風景がはさんである。あんな風に弾いているのか・・・。人間業ではない。神に近い。

この人、ここまで来るのにどんだけ練習したんだろうな・・・。人間、努力すれば不可能なことはないのではないかという気がしてくる。

上原ひろみ サマーレインの彼方(幻冬舎)」によると、彼女は2003年にボストンのバークリー音楽院の作編曲科を主席で卒業している。在学中にジャズのメジャーレーベルと契約している。

おまけのDVDではうちのオフィスのすぐ近くにある国際フォーラムでの「プレイス・トゥ・ビー」のライブ映像も入っている。なぜか泣きながら演奏している。

パッヘルベルのカノンも入っていたりして。ツアーで世界を回っている旅行記をピアノで表現するというコンセプトのCDらしい。お薦めです。

続いて「ライブ・イン・コンサート」のDVDを見る。私が彼女のCDのなかで一番好きな「スパイラル」からの曲が中心になっている。これも凄い。演奏中の顔も凄いが・・・。

ベースがTony Grey、ドラムスがMartin Valihora。彼女のプレイではこのトリオが一番好きだな。

私が一番好きなベースはJoni MitchellとやったときのJaco PastoriusだけれどTony Greyもいいね。Jacoよりもメロディアスで繊細。

私が一番好きなドラムスはLed ZeppelinのJohn Bonhamだけれど、Martin Valihoraもなかなかいい。

やっぱり「スパイラル」はいいね。最近、電車の中でこればっかり聞いている。

上原ひろみを聞きながら修論を書いていると気のせいか、少しはかどったような・・・。
これからは、修論のBGMは上原ひろみに決定!。

2009年10月2日金曜日

キング・コング

予約していた

Perturbation methods in optimal control / Alain Bensoussan
Stochastic control of partially observable systems / Alain Bensoussan
Controlled diffusion processes / N.V. Krylov ; translated by A.B. Aries

を受け取るため図書館に寄る。

おかげで「キング・コング」(2005)の最初を見逃してしまった。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン。

映画史に残る傑作だと思う。もっと評価されていいのではないか。
キング・コングがナオミ・ワッツを命がけで守りながら3匹のT-レックスと戦うところから見始める。途中、気持ち悪い虫などに襲われたりしながら、悲劇的な最後まで一気に見せる。CGも全く違和感が無く、コングが生きているようだ。

コングのワッツへの愛は正に無償の愛であり、それだけに美しい。打算に満ちた人間同士の愛を遥かに超えている。コングの愛はワッツに通じるのだが、それがよけいに悲劇性を強調する。

「7人の侍」、「ブレードランナー」、「マルタの鷹」に並ぶお気に入り映画になる。

2009年10月1日木曜日

金融数理

藤田先生、いきなり15分遅刻。教室は狭くて圧迫感のあったclassroom4からclassroom3に変わった。生徒が30人弱ほどいて驚く。教科書は最初から「ファイナンスの確率解析入門」だそうで。

しゃべり始めるとまさに藤田ワールド。

「××が分からなくて伊藤解析を勉強したいというのは、伊藤先生に対して失礼だから・・・、ウンウン」

あれから1年たったんだな、と感慨深い。

「測度論から始めて伊藤解析に行くのは、(確率論の素養が乏しい我々にとって)ほとんど不可能だし要求しない。基本的な確率計算が分からなくて、デリバティブを勉強するのはバランスが悪い。基礎的な確率をみっちりやって、離散の極限として伊藤解析を勉強する」

ということで、これを機会に確率をみっちり勉強したい。

同期の何人かと再会。皆、元気そうだ。修論は進んでいる人もいれば、そうでない人もいる。

2009年9月30日水曜日

カメののろさ

カメののろさ、とはオレの修論のペース。

写真は海でひろってきたカメ。あゆみは遅いが成長は速い。すでに体調20cm弱。よく見るとカメの体は流線型になっているのね。足のひれを使って水中ではかなりの速さで移動する。

あしたから、大学院が始まる。修論に加えて、金融数理 と統計科学の数理を取ると地獄の60日間になるな。無謀かな。とりあえず、次のゼミまでにできるだけ修論を進めよう。

日本の株式と債券のデータの更新。動的計画法、離散近似、マルチゲール、摂動法の整理・・・。

2009年9月27日日曜日

真マジンガー 最終回

いや~ 終わってしまいましたね。まあ、エヴァンゲリオンのような大きな破綻なく終わってよかったですね。スタッフの皆さん、お疲れ様でした。

16話の冒頭で、あしゅらがデビルマン語りで「わたくしの話・・・、この地獄・・・、あしゅら男爵の物語・・・、誰よりも私自身が参加するのです・・・」といっていたのは、ギャグではなくて本当のことだったんですね。真マジンガー 衝撃Z編とはあしゅら男爵の物語だったのですね。実はあしゅらが一番頭が良くて、女将や甲児はバカだったんですね。

全体のプロットはハメットの「血の収穫」のパターンに近いですね。つまりあしゅらがコンチネンタル・オプということになりますね。Drヘルとマジンガーを争わせて、両方を弱体化させて漁夫の利を得るという。

「Drヘルが生きている限り、あしゅらは自殺できない」というのは予想以上に大事な伏線だったんですね。

暗黒大将軍や7大将軍とZの戦いやグレートの登場を期待していた人には消化不良かもしれませんね。第1話の最初で暗黒大将軍にビッグバンパンチで向かっていくところまでは書かれていましたし。「兜甲児は悔やまない」とナレーションが断言しているので、この後、兜甲児はあしゅらにだまされてミケーネ復活に結果的に手を貸したことをくよくよしないで暗黒大将軍や7大将軍に挑んでいくものと想像できます。

われわれはその戦いにマジンガーZが敗れること、そしてグレートが登場することを知ってしまっています。あえてそこまで書かないで、その後の展開は各自の想像力にまかせるという今回の終わり方は、個人的には悪くないと思う。オリジナルにはゼウスの手であるビッグバン・パンチはなかったので、ひょっとしたら今回はマジンガーが負けないという想像もありえる。

まあ、これはあしゅらの物語なので、Drヘルが死に、あしゅらが自決してミケーネが復活したところで終わると考えればいいのでは。

それにしてもよく分からないのは、兜剣造の意図ですね。何がしたかったんですかね。ガミヤにDrヘルの邪魔をする能力を授けたり、暗黒寺に3バカ大将をやっつける玉を与えたりと。

Drヘルもミケーネの方がマジンガーよりも脅威だと分かっているのなら、ミケーネを復活させる能力をもっているあしゅらはとっとと殺しておけばよかったんじゃないでしょうか。自分が生きている限りあしゅらは自殺できないのでミケーネも復活しないの?それならミケーネのことを心配する必要もない?

まあ、所詮TVアニメなので、細かいところは突っ込まないで、(確実に100個以上はある)ロケットパンチなど笑うという態度で見るのでいいと思います。

2009年9月25日金曜日

あと65日

久しぶりにICSに行き、春学期の成績表を受け取る。卒業に必要な講義科目の26単位に達したことを確認。後は修論だけだ。「統計科学の数理」と「金融数理」は一応受けようと思う。金融数理の中間試験が10月末で修論の仕上げ時期に重なるのが気になる。まあ、修論優先になると思う。期末試験は2月16日なので修論が完全に終わってからで、こちらは都合が良い。

コンピュータ・ルームでは同期が一人で黙々と修論をやっていた。偉いな~。見習いたい。途中でゼミ幹もやってきて秋学期のゼミなどについて話す。

図書館でエクセンダールのApplied Stochastic Control of Jump Diffusionsを借りる。ジャンプ拡散過程に対する最適制御の本。おもしろそうだな。こういうのを修論でやりたいな。今のプランではCampbellやXiaのアイディアを日本とアメリカの資産に置き換えてなぞるだけで、オリジナリティに欠けている。ドリフトがレジームスイッチするとか、そこまでやりたいな。

「確率微分方程式」を書かれた長井先生の研究内容のウェブサイトを見つけた。そこには確率制御・フィルタリングと数理ファイナンスについてコンパクトにまとめられている。

・・・数理ファイナンスは確率制御と深く関わってきている。値関数のHJB方程式による特徴付けという問題。HJB方程式は非線形方程式の中でも最も非線形性が強い。それに対して80年代に入って、一種の弱解である、「粘性解」という概念が導入され、一般的な取り扱いが可能になった。ロバスト性を持つ良い制御方法として広く応用されているH無限大-制御とリスク鋭感的確率制御問題との関係が明らかにされ、ロバスト性を考慮に入れた制御の問題の研究が進展した。ダウンサイドリスク最小化問題を大偏差確率制御問題としてリスク鋭感的ポートフォリオ最適化問題の双対問題として捉える研究が進展してきている。数理ファイナンスは確率制御の問題の主要な源泉となっているとさえ言える・・・らしい。

もともとカルマンフィルタに興味があったので、数理ファイナンスの確率制御問題を修論のテーマに選んだのは今から思うと必然的だったんだな。

2009年9月23日水曜日

パークアルカディア・ケビン村

9月21日、22日で茨城県の常陸大宮市にあるパークアルカディア・ケビン村にいってきた。立派なケビンには水洗トイレ、風呂、冷蔵庫、炊飯器、ふとんがついている。中はとてもきれい。ということでテントも寝袋もいらない。
下の写真は屋根つきのバーベキューハウス。ということでタープもいらない。気軽にアウトドア気分が味わえる。
他に、簡単なアスレティック施設、プラネタリウム、パターゴルフ、野球場、テニスコート、レストラン、工作のできる森林科学館が併設していていろいろと楽しめる。パターゴルフが人工芝でおまけに凹凸が激しくてむちゃくちゃむつかしい。
レストラン「山ゆり」の今月のスペシャルランチは鮭づくしで鮭の西京焼き、鮭フライ、鮭のマリネ、「いくら」もついて1000円ですごいボリュームでおいしいのでおすすめ。
静かな山奥で修論をしばらく忘れてのんびりリフレッシュ。ただ、普段は比較的すいている常磐道もさすがに混んでいて運転は疲れた。
帰ってからは再び修論。KornのOption Pricing and Portfolio Optimizationの5章で動的計画法とマルチンゲールの確認。HJB方程式の導出が分かりやすく説明されている。特に期待値演算子が落ちるところと確率変数が落ちるところが分かりやすく書いてある。
それから坪田一男の「理系のための研究生活ガイド」を読む。特に「論文を書く20のコツ」のところは参考になった。例えば9-7.「プロトコールをmaterials and methodsのつもりで書く」。プロトコールとは、細かく記述した研究の方法のこと。これを論文のmaterials and methodsを早々と書いてしまうつもりで書くと、あとでパソコン上で論文に移せばいいので時間の節約ができる、とのこと。他の章も「研究テーマを決める一四の原則」、「研究のための知的時間管理法」など、体験に裏打ちされたノウハウが公開されている。

2009年9月20日日曜日

土曜日のひそかな楽しみ

真マジンガー 衝撃!Z編が来週で終わってしまう。 土曜日のひそかな楽しみが・・・。
マジンガーZは主人公が自分と同じ名前だったので好きだった。

今川監督の手法は、オリジナルに敬意を表しつつも、いったんぐちゃぐちゃにかき混ぜて再構成するというやりかたで、いい意味でのパロディですな。春学期の試験前で勉強しないといけないときに現実逃避で見ていたジャイアント・ロボでも同じ手法だった。

細かい破綻はあるけれど、全体の勢いで見せる感じ。あしゅら男爵の回が焼きなおしだったので、このまま最終回までもつのかどうか心配になったけどとりあえず最終回までたどりついた。

個人的には、マジンガーZ自身がロケットパンチ(ビッグバン・パンチ)になるというアイディアが秀逸だと思う。それから巨大ミサイルをつかむボスボロットはどうみてもゲッター3だけどかっこいい。ビッグバン・パンチという名前はジャイアント・ロボでは「静かなる中条」という人間の単なるパンチ(とはいっても核兵器以上の威力があるというむちゃくちゃな設定だが)で既に使われていた。

修論の仮提出まであと70日。書かなければ、とおもう一方で現実逃避してしまう自分。もう少し意思が強ければ、人生変わっていたと思う。



写真は、うちの庭です。最初の3年間は西洋芝にすべく、ケンタッキー・ブルーグラスとトールフェスクの種を撒いていましたが、梅雨の長雨と夏の暑さに耐えられないようで、去年から高麗芝にしました。埼玉では西洋芝は厳しいようです。

ICSから24日に春学期の成績表を配るとメールが。全部受かっていれば、あとは修論だけ。そろそろ本格的に書き出そう。

2009年9月15日火曜日

修論スケジュール

ICSから修論のスケジュールのメール。

2010年3月に修了を予定されている方の修士論文提出におけるスケジュールを下記にてご案内いたします。

ICS金融コースにおいては、修士論文を提出するために、『修士論文原稿提出』と『プレ報告会での発表』が必須となります。

① 修士論文原稿提出 (11月30日(月)19時まで)提出先:各指導教官部数:3部
② 修士論文原稿提出後プレ報告会へのエントリー
③ プレ報告会  (2010年1月上旬)
④ 修士論文製本提出(締切 2010年2月1日(月))提出先:5階事務室部数:
⑤ 修士論文審査:口述試験 (日時未定)
⑥ 修了者発表(3月11日(木))

とりあえず11月30日までにまとめる必要がある。

あと76日しかない。9月中にできるだけ進めよう。

口述試験もかなり大変らしい。

2009年9月12日土曜日

修論ですよ

夏休み前に、本多先生が「夏休みに修論が進んだ人はあまりみたことがない」とおっしゃっていたが、見事にその通りになってしまった。マジやばいです・・・。

ようやく仕事も一段落したので今日から修論準備を始める。秋学期は、宿題の多い「統計科学の数理」と「金融数理」を取りたいので、夏休みのうちにできるだけ修論を進める予定だったのだが・・・。できれば昨年落とした金融数理の復習もしておきたかったのだが・・・。

悔やんでもしょうがないので、9月もあと19日残っていると前向きに考えて、9月中にやるべきことの計画を立てよう。

1.これまで読んできた論文の読み直し。
特に、Campbell et al., Brennan and Xia, Chacko and Neumar, Cox and Huang, Merton.

2. 論文の全体の構成を考える。

3.使用するデータの整備と分析手法の確認。分析の開始。


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2年前の研究計画書を準備していた頃のことを思い出す。

Campbell and ViceiraのStrategic Asset Allocationを読んでも全く理解できなかったことで自分の数理ファイナンスの知識の無さを自覚した。Strategic Asset Allocationを理解できる力を付けたいというのがICSへの入学動機だった。

入学してからは、そんなことは忘れてひたすら目先の宿題とテストに追われる日々だったが、おかげでいつの間にかStrategic Asset Allocationを理解できる力が付いたようだ。ESADEでは財務分析的なファイナンスしか勉強しなかったので、そもそも数理ファイナンスの知識が不足していた。もっと言えば高校のとき数Ⅲを取らなかったので、極限やら微分積分の知識が不足していた。

動的計画法も大橋先生、中村先生、本多先生の授業でやったときはさっぱり分からなくて、修論に使えるのか不安になったが、ここにきてようやく理解できてきた。

多分、卒業に必要な単位は取れたと思うので、初心に戻って修論を完成させたい。

皆さん、がんばりましょう。

2009年8月24日月曜日

ICSの講義ノート

社内の勉強会用にBlack-Scholes-Mertonモデルを復習。本多先生の「ファイナンス理論の基礎」と中村先生の「コンピュテーショナル・ファイナンス」の講義ノートを1年ぶりに読み返す。当時はさっぱり分からなかったのが、今見ると結構すらすら頭に入ってくる。ああ、そうだったのか、という感じです。両方ともかなり丁寧に作ってあることが今になって分かる。ギルサノフの定理を使ってリスク中立測度に変換、リスク中立測度ではドリフトがリスクフリー・レートと等しくなる。株価の期待値の割引現在価値が行使価格の割引現在価値を上回る範囲で積分する。平方完成で正規分布の分布関数となるが平均が少しずれる、などなど。

この2科目に限らず、ICSの講義ノートはどれもクオリティが高くて、一生の宝物という感じですな。

そうこうするうちに、8月も終わってしまう。あと3ヶ月しかない!!。そろそろ例のやつを本格的に準備しないと。

ダフィー、シングルトンの「クレジット・リスク」は安く買えそうだ。重川の「確率解析」も欲しいが、買っても読む暇がないのは分かっている。

2009年8月8日土曜日

ICSの飲み会

春学期の試験も終わって、M2の飲み会。卒業に必要な単位は大体そろって、皆さん、安堵の表情。
秋はほぼ修論のみになるので、なかなか会えないと思うと寂しい。しかし、11月末まであと4ヶ月しかない。焦る。

秋芳洞(あきよしどう)

 金融機関では、不正隠しを防ぐため、5日間の連続休暇取得が奨励される。私が勤めている会社も一応、金融機関なので5日間連続で休めるのだが、いろいろな都合で8月は毎週水曜日に社内勉強会の講師をしないといけなくなって5日連続では休めなくなった。
 それでも大学院の試験が終わったので、3連休を取って田舎の山口に帰省。ついでに秋芳洞に行ってきた。秋芳洞は山口県にある巨大な鍾乳洞。

 とにかく凄いので、一度行くことをお勧めする。

 秋芳洞

 秋芳洞には小学生のときに行って以来だが、その巨大さに驚く。記憶よりもぜんぜん大きい。中に巨大な川が流れているのも記憶と違う。中は肌寒い位でとても快適。この冷気も記憶にない。
 入り口が滝になって、すさまじい音をたてて流れ落ちている。このあたりから既にひんやりとしている。

 個人的には百枚皿と黄金柱が好きだ。



 鍾乳洞の途中にエレベーターがあって、80m上昇すると鍾乳洞の上に広がるカルスト台地を展望できる。エレベーター自体はタダだが、鍾乳洞に戻るには100円かかる。カルスト台地にはドリーネという凹地がある。ドリーネは下の鍾乳洞とつながっていると聞いて、ドリーネという変な語感とともに、落ちたら怖いなと子供の頃に思ったことを覚えている。


 帰りのタクシーの運転手の会話で黄金柱の読み方が「こがねばしら」ということを初めて知った。「あきよしどう」という読みも知らなかった。「しゅうほうどう」と思っていた。秋芳洞という名前は昭和天皇が皇太子のときに名づけたことも教えてくれた。タクシーだと7千円くらいだったけど、運転手がかなり負けてくれた。一人当たりだとバス代と変わらないくらいになってラッキー。

2009年7月18日土曜日

プリペイメント・リスク評価モデル

青沼、木島の「定期預金のプリペイメント・リスク評価モデル」はCox比例ハザード・モデルで定期預金のプリペイメントを分析している。

生存時間解析は「金融モデルにおける推定と最適化」の7章にも記述がある。


やっと期末試験モード入り。

木村政彦のように、

勉強に「自分の二十四時間と,持っているだけのエネルギーを捧げ尽くしてしまう。肉体にある燃料のありたっけを,枯れ果てるまで燃やしてしまう。それを日常」としたいものだ。

2009年7月5日日曜日

リスク中立確率

実確率とリスク中立確率が自分のなかで混乱している。デリバティブのプライシングはリスク中立確率で行う。リスク中立確率では割引率がリスクフリーレートに等しくなる。リスク中立世界では1リスク当たりの超過リターンがゼロになる仮想的な世界といえる。

リスクが等しくても、期待リターンが異なるとリスクとリターンのバランスが異なる。両者のリスク特性が異なる理由は上昇・下落の確率分布である。

上昇・下落確率とリスクフリーレートがわかれば、リスク中立確率はユニークに決めることができる。
u>1+R>dであれば、無裁定条件を満たし、リスク中立確率はユニークな解を持つ。

2009年7月4日土曜日

Utada

WikipediaによるとUtadaのThis is the Oneの米国での売り上げは16,308枚となっている。初めてThis is the Oneを聴いたときにこれでは米国では売れないのではないか、と懸念したが、あたってしまったらしい。Heart Stationの日本での売り上げが134万枚である。それと比べるとセールスとしてはThis is the Oneはまたしても無残な失敗に終わりそうである。

Utadaはメロディーメイカーとしては才能があると思うが、This is the Oneの曲は米国受けを意識したためかUtadaの良さが全く感じられない。もともと決して声量があるほうではない。Utadaよりも歌のうまい歌手は米国には腐るほどいるんだろう。

販売前のプロモーションが不十分だったことも影響しているかもしれない。でも、ちゃんとプロモーションできていたとしても、あまり売れなかったのではないか。Utadaが米国で成功するためには、何かが決定的に足りない気がする。

それにしてもAmazonでの高評価はひどいんじゃないか。いくらファンだからといって盲目的に「傑作だ」として五つ星のオンパレード。もう少し客観的な評価をすべきだろう。少なくともThis is the OneはUtadaのベストの作品ではない。

多期間最適化

多期間最適化の手法は大きく分けると①動的計画法、②マルチンゲール・アプローチの2つがある。

 「投資機会が変動する場合の最適ポートフォリオについて」(本多1999)
 数理ファイナンス入門の5章(Pliska 2001)
 Optimal Portfolios の3章(Korn 1997)
 資産価格の理論の3章、9章(Duffie 1998)

を参照。

動的計画法を数値的に解くためには、

 Numerical Methods in Economicsの12章(Judd 1998)

を参照。この本の13章~15章は近似解を求めるための摂動法が述べられている。

2009年5月23日土曜日

線形代数

ポイントの整理

内積。ちょいと変形してコーシー・シュワルツの不等式。
線形結合。非負線形結合、アフィン結合(ショートポジションも考慮)、凸結合(ロング・ポジションのみ)。

線形空間(加法則、スカラー則)。部分空間。span。射影。

線形独立、線形従属。

基底、完備。次数。

ベクトルの内積、ノルム。直交。

正方行列、対称行列、直交行列、対角行列。行列の基本変形。逆行列。
線形方程式。階数((rank)。階段行列。三角行列。

LU分解、QR分解。一般化逆行列。行列式。固有値、固有ベクトル。
二次形式。行列の対角化。コレスキー分解。特異値分解。

ベクトルの射影。部分空間への射影。m次元実数空間での射影と最小二乗解。グラム・シュミットの直交化法。

生存時間分析

証券化と財務戦略の宿題のために「生存時間分析(Survival Analysis)」を勉強。キーワードは、

打ち切り(censoring)、生存関数、ハザード関数、累積ハザード関数、パラメトリックな生存関数として「指数分布、Weibull分布、Loglogistic分布、対数正規分布」、ノンパラメトリック・モデル(Kaplan-Meier推定値)、共変量の生存時間への影響を考慮するモデルとして比例ハザードモデル、ハザード比、累積ベースライン・ハザード関数、パラメトリックな比例ハザードモデル、セミ・パラメトリックな比例ハザードモデルであるCox比例ハザードモデル、等。

Cox比例ハザードモデルはもともとは医学で使われていたので、参考書も朝倉書店の医学統計学シリーズ3の「Cox比例ハザードモデル」が指定された。信用リスクにも通じるので、「信用リスク評価の数理モデル」(木島、小守林)の6章にも少し出ている。

あとは、金融数理入門のテスト勉強として線形代数、微分、積分。

ゼミの準備。

Chacko and Neumar(2006) "Perturbation methods for dynamic portfolio allocation problems" (Handbook of Asset and Liability Management, Vol 1の8章)を読んでいて、キャンベル、ビセイラの考え方が摂動法(perturbation method)の応用なのだとようやく気づいた。そもそも摂動法が分かっていない。摂動法を勉強するために「漸近級数と特異摂動法」を買う。また「特異摂動の代数解析学」を借りる。

摂動法は微分方程式の近似解を求める手法らしい。ただ、微分方程式の厳密解がえられるものはごく限られているように、摂動法の適用範囲も限定的らしい。それに対して高精度の近似解を得る体系的方法が特異摂動法(singular perturbation methods)らしい。境界層理論、漸近接続、WKB法、複スケール解析などをまとめて特異摂動法というそうだ。期待が持てる内容でがんばって勉強したい。修論に使えるといいのだが。

動的ポートフォリオ問題を解く場合、ベルマン方程式と呼ばれる偏微分方程式を解く問題に帰着する。またはマルチンゲールを利用する。問題は、対数効用やベキ効用で投資機会が一定という特殊なケース以外は、PDEが非線形で解が求まらないことである。

Chacko and Neumar(2006)は摂動法を利用することで複雑な効用や時変の投資機会のもとでの解を求めている。

あと、時間があれば逐次2次計画法のプログラムの作成。

2009年5月15日金曜日

ファイナンスおたくの変態

2009年度日本ファイナンス学界第17回大会2日目

Model uncertainty and information quality in delegated portfolio management
報告者:中村信弘(一橋)/討論者:関根順(京都)

 JAFEEと日本ファイナンス学界はほとんど交流が無いそうだ。両方出ている人は「ファイナンスおたくの変態」だと、中村先生は最初からジョークをとばす。中村先生は主にJAFEEで発表されているそうだ。まあ、JAFEEの監事なので。
 内容は授業でもやったコンバージェンス取引をファンド・オブ・ファンズなどの情報の非対称性のある場合に応用したらというもの。まるでICSの授業のようだった。


ポリシー・アセット・アロケーションの説明力
報告者:小松原(イボットソン)/討論者:浅野(横浜国立)

 日本の投資信託のアセットアロケーションとパフォーマンスを分析。結論は最初から想像できるもの。それにしても日本の投資信託のパフォーマンスは悪い。投資家のニーズを満たせていない。このあたりに大きなマーケットがあると思う。


グローバル投資における市場間リンケージモデルの構築と裁定機会の考察
報告者:花田秀隆(野村総研)/討論者:武田澄広(青山学院)

 期待していたが、残念な内容。報告者はシステム開発の仕事をされているそうだが、ファイナンスの勉強不足だと思う。そもそも現物と先物で共和分分析をしても意味がない。先物が現物の期待価格という扱いも違和感。この程度で発表できるの?

An Insurer's Problem on Pricing under Distorted Probabilities and Efficient Hedging in an IncompleteMarket
報告者:岩城秀樹(京都)/討論者:本多(一橋)

Distortionをかけた確率分布の保険のショートフォールをヘッジするという問題。しゃべり方がビートたけしに似ている。本多先生はKinball(1999)のprecautionary saving問題の先行研究を紹介。しかし、たいてい先行研究があるので、チェックが大変ですな。実務家からは、問題設定の仕方の指摘。ちなみに岩城さんの「確率解析とファイナンス」(共立出版)はいい本だと思う。

ゼミの準備のため、ここで帰宅。

2009年5月9日土曜日

日本ファイナンス学会第17回大会

ファイナンス学会に行ってきた。豚インフルエンザの感染者が日本で発生したが、予定通り開催された。今回はわが母校、青山学院大学で行われた。前回のアジア合同開催のときと違って参加者が多い。無料だから?日本語だから?東京だから?

「流動性のシステマティックリスクと株式リターン」廣瀬勇秀(住友信託銀行、パッシブクオンツ運用部)
 流動性をシステマティック流動性とアブノーマル流動性に分類していた。流動性βというのを考えて、市場の流動性が高くなると流動性βの高い銘柄のリターンも高くなるとの報告。討論者は早稲田の宇野さんで、そもそも売買高と流動性は違うのではないかなどと指摘していた。そのあたりの細かいところは学者は厳しい。本格的にデータで分析する前に、そのあたりをきちんと整理しておくべきだろう。余談だが、後からどんどん人が入ってきて、席が足りなくなっていた。

「Dynamic Optimal Portfolio and Relative Risk Aversion」本多俊毅(一橋)
 本多先生はCRRAを持つ投資家の集団でも相対リスク回避度が異なっていると全体ではDRRAになる。その場合も、最初に配分した後は、各自がCRRAの通常の手法で解けるので解を求めるのが思ったほど大変ではない、ということを発表されていた。本多先生の話し方は、普段と同じなので、まるでICSの授業を聞いているようだった。討論者は東大の高橋先生で、λを求める方法、ALMへの応用、最初と最後の同値性の証明を質問されていた。高橋先生のあの喋り方も、なつかしい。

「Optimal Investment with Direct Preference for Wealth, Higher Borrowing Rate, and Regime Switches」木村俊夫(住友信託銀行)
 この人の顔は前回も見たことがある。前回もレジーム・スイッチング・モデルの話だったかな?マートン問題を、効用関数、金利、レジーム・スイッチの3点で拡張している。もしかしたら自分の学位論文もこういう風になっていたかもしれないと思いながら聞いた。あと6ヶ月でここまで行けるか、あるいはこんな場所で発表できるかと思うと、やるべきことは多いと感じた。討論者は一橋の斉藤さん。金利の設定で微分不可能なところ(kink、ジャンプしてしまう)の処理は簡単ではないと指摘されていた。

明日は、中村さん、岩城さんが楽しみ。

それにしても自分の学位論文はどうするか?とりあえず次回のゼミ発表のCampbellのGlobal Currency Hedgingを読んでいるところ。そういえば、Kさんの会社の社長はヘッジファンド業界の知り合いが多いので、一度紹介してくれるといってくれていた。早く、モデルと論文を完成させないと…。

オートキャンプ

ゴールデン・ウィークは栃木県の太陽の丘というオートキャンプ場へ行った。渋滞を覚悟していたが、東北道はスムーズで拍子抜け。寒いかもということでログハウスに泊まった。太陽の丘はトイレもログハウスもとてもきれいでお勧め。電子レンジも使わせてくれる。管理人もフレンドリーで親切。近くに野球場が二つ付いている広大な公園があって、そこで野球をした。
帰りに、「かんぽの宿・栃木県喜連川温泉」によって温泉でのんびり過ごす。温泉は透明で少し緑色をしていた。温度の違う風呂とジャグジー、露天風呂があった。泉質は含硫黄、ナトリウム、塩化物温泉で、源泉のみを使用しているそうだ。昔は、温泉に興味が無かったが、最近は他の人のブログを読んで少し興味が出てきた。


2009年5月1日金曜日

一橋ICS

一橋ICSは竹橋の学術総合センター内にあります。授業は通常6階の教室で行われます。写真はエレベーターの前の壁のICSのロゴです。昼間はフルタイムの英語によるMBA、夜は私のような社会人のファイナンスに特化したMBAが日本語で行われます(法科もあるようですが、全く知りません)。財務系と金融工学系にゆるく分かれているのですが、ファイナンスに特化しているだけあって、特に金融工学系は普通のMBAよりもハイレベルだと思います。私はスペインのESADEというビジネススクールも出ているのですが、ICSの方が授業内容は難しいと思います。ただ、テストの点が悪くても宿題のレポート等による救済などで卒業に必要な単位は取れると思います。むしろICSは科目の単位はどうでもいい雰囲気で、学位論文がものすごく重視されるようです。学位論文とそれに関する口頭試験は相当厳しいと聞きました。教授陣は非常にレベルが高いです。このクオリティの授業が年間約50万円で受けられるというのは、国立ならではのものすごいバリューだと思います。下の写真は入り口です。外から見るとただのビルです。


2009年4月29日水曜日




1年半前に海に浮いているところを娘が拾ってきたアカミミガメ。


あっという間にでかくなった。






デフォルト発生のモデル化

 共変量X(u)が一般の確率微分方程式に従う場合には、X(u)の振る舞いを知るためにはモンテカルロ・シミュレーションに頼らざるを得ないことがある。確率微分方程式の数値解法についてはKloeden and PlatenのNumerical Solution of Stochastic Differential Equationを参照。

 しかし、高格付け債ではシミュレーションで発生させたパスがデフォルト領域に到達するのは非常に稀。何の工夫もしないモンテカルロ・シミュレーションで累積デフォルト確率を推定すると、計算負荷が膨大になり、推定誤差も大きくなってしまう。

 推定精度を高める工夫の一つとして分散減少法を考えることになるが、デフォルト領域に到達する確率が大きくなるようにギルサノフの定理を使って確率微分方程式のドリフトを調整するという技術が開発されているそうだ。

Tanaka, H., "Application of an Importance Sampling Method to Time-dependent System Reliability Analyses Using the Girsanov Transformation," Structural Safety and Reliability (Proc. of ICOSSAR'97), Vol. 1, pp. 411-418, Balkema, Rotterdam (1998).


Nigel J. Newton., Variance reduction for simulated diffusions
SIAM Journal on Applied Mathematics Volume 54 , Issue 6 (December 1994) Pages: 1780 - 1805 Year of Publication: 1994 ISSN:0036-1399

2009年4月18日土曜日

深い考察

深い考察をしないで宿題を出したところ、「それで何が説明できるのかについてあまり深い考察がされていないと感じました」と、見事に指摘されてしまった。

悪い癖だなぁ。昨年もよく指摘された。時間が無くなって、適当にやってしまうのね。

問題の意図をきちんと汲み取って、深く考察するようにしないといけない。これでは娘の受験勉強といっしょになってしまう。

「深い考察」を今年のテーマにしよう。深い考察をするためには、無駄な時間を省いて深く考察するための時間を確保しないと。

2009年4月16日木曜日

マルチンゲールによる確率論

 ゼミでBrennan and Xia(2002)のDynamic Asset Allocation under Inflationを取り上げて発表した。まだまだ消化不良だが、1年前は、この手の連続時間モデルにはさっぱり歯が立たなかったことを思うと、ICSで鍛えられたおかげで、「この手の論文を理解できるようになる」という当初の目標は達成できていて、非常に手応えを感じる。ありがとうICS。

 この論文の基本的なアイディアはCox and Huang(1989)のマルチンゲール・アプローチである。動的な問題を予算制約によって静的な問題に変換し、価値関数にかわって最適な投資額が未知となる。静的な問題は標準的なラグランジュ法で解くことができる。

 パラメーターの推定はカルマンフィルターによる最尤法である。連続時間のモデルになれてくると、モデルの記述がすっきりしていてロジックが分かりやすくなる。

 Brennan and Xiaの手法は、修論で使うモデルの候補のひとつになる。もう一つはCampbell and Viceira(1999)。Campbell and ViceiraはEpstein and Zinの再帰的効用関数を離散時間で近似して解いている。

 この調子で確率論を強化したいと思ったので、oazoの丸善で「マルチンゲールによる確率論」D.ウィリアムズを買う。この本は、数学をきちんと勉強してきていないオレでも分かりやすい。ついでに微分積分の強化のために「解析概論」(高木)も買う。

 秋学期に(無謀とは知りつつ)統計科学の数理と金融数理を取りたいと思うので、今から修論をきっちり準備しつつ、統計と金融数理の準備もしていきたい。

2009年4月11日土曜日

命題、公理・定義・定理

命題 proposition

 1つの判断または主張を表す文章で、それが真であるか偽であるか判定できるものを命題という。

公理 axiom、定義 definition、定理 theorem

 数学の命題の証明には、いくつかの事柄を使い、それらの事柄の証明にはさらにまたいくつかの事柄を使う。しかしどこまでさかのぼってもすべての事柄を証明しつくすことはできない。そこでいくつかの基礎になる事柄を無条件に前提として認め、これを根拠にして推論を進める。このように、推論の基礎として用いられる命題を「公理」という。公理または既に正しいと認められた事柄をもとにして新しい結果の正しい理由を説明するのが「証明」で、証明された事柄のうち重要であとの証明に用いられるものを「定理」という。また、定理から簡単に導かれてしかも定理と同じように使われるものをその定理の「系」という。また、いろいろの証明に必要な用語の意味を定めたものを「定義」という。

補題 lemma

 論証・証明に用いる補助定理、副命題。

2009年4月4日土曜日

異時点間効用関数

 Epstein-Zinの異時点間効用関数については、動的経済システムの最適制御(村田, 1998)に詳しい。この本にはベルマン方程式による多期間最適化の応用も出ている。この本を最初に読んだときは、さっぱり理解できなかったが、さすがにICSで1年間、鍛えられたおかげで今は理解できる。残念ながらこの本は、今は手に入りにくいようだ。

 Asset Pricing for Dynamic Economies (Altug-Labadie, 2008)はファイナンスの重要なテーマを経済学の視点も加えながら、解説している。式展開も丁寧。テーマの取り扱い、記述と式展開のバランスが絶妙で、個人的には非常に気に入っている。Altugはロンドンでも教えているトルコ人らしい。数字の1をIと書くやり方に一瞬戸惑ったが。丸善で偶然見つけた本だが、無人島に行くとしたら持って行きたい。

2009年4月2日木曜日

2009年3月28日土曜日

Regime Switch

Kim & NelsonのState-Space Models with Regime Switchingを1年ぶりに読み直し中。式展開丁寧に書いてあって、なによりサンプルコード(GAUSSだけど)がダウンロードできるのがありがたい。

モンテカルロ・フィルタの勉強用にSequential Monte Carlo Methods in Practiceを図書館で借りる。いい本で欲しくなった。

長井の確率微分方程式も借りた。「コルモゴロフ方程式の記述に粘性解の方法を用いたことは類書に無いことである。粘性解の定義は若干迂遠でもあり、非線形の方程式を取り扱うときにこそ威力を発揮するその解の概念を線形の方程式に対しても適用することに多少ためらいもあったが、何より、その概念が確立微分方程式の解に関する期待値の満たす方程式を記述するのに極めて自然であり、また第5章のベルマン方程式の取り扱いとの一貫性も考慮すれば、本書では、必然的な選択のように思われた」そうです。

粘性解というのは、オレにとっては未知の領域で、さっぱり分からないが、非線形と関係があるらしい。Campbellの対数線形近似やモンテカルロ・フィルタなど、非線形の扱いに興味がある。

Controlled Markov Processes And Viscosity Solutions も粘性解に関する本かもしれない。この3冊は欲しいけど、全部買うと3万円くらいするので、図書館の本で我慢、我慢。

2009年2月17日火曜日

春休み

なんとか試験も終わり。春休みは有意義に過ごしたい。

①体力増強
②数学
  ・金融数理
  ・数学(微分、積分、確率、凸解析と最適化)
③最適化(C++)
④修論
  Epstein and Zin, Regime Switching VAR
⑤英語

2009年2月10日火曜日

修論

ゼミが終わった後に、先生がわざわざ「修論では、新しいことをする必要は無く、既存の論文の論理で確かめること」を強調されていた。ロジックの積み重ねが大事であって、そのロジックで結果を解釈することが大事であって、修論はそれでOKだとのこと。そこを勘違いする人が多いとのこと。

2009年2月9日月曜日

テスト勉強

最後まであきらめないように。まだ時間はある。自分の力を伸ばすことが目的。最後の一頑張りが力になる。

金融数理
③Doob Meyer分解
④期待値、条件付期待値、密度関数
⑤ブラックショールズ偏微分方程式、コルモゴロフ偏微分方程式
⑥ブラックショールズモデルのオプション価格とデルタヘッジを求める。確率微分方程式を解き、分布を求める。

債券市場分析
⑤測度変換
⑥HJM、期待値計算の諸公式
⑦HJMによる金融商品の評価:ForwardとFuturesの差、利付債オプション、Swap、Cap/Floor、Swaption
⑧HJB,Mertonモデル、Convergence trading,、Yield curve arbitrage

2009年2月7日土曜日

HJM

HJMからHo-Lee、Hull-Whiteモデルを導けるようにしておくこと。

 神楽岡、鈴木 「確率金利モデル」
 藤田 「ファイナンスの確率解析入門」
 バクスター&レニー 「デリバティブ価格理論入門」
 木島 「期間構造モデルとデリバティブ」
 木島 「ファイナンス工学入門Ⅱ」
 シュリーヴ 「ファイナンスのための確率解析」
 ビョルク 「数理ファイナンスの基礎」
 Cairns 「Interest Rate Models」 (p92に積分の順序変更)
 de La Grandville 「Bond Pricing and Portfolio Analysis」 (17章にHJM。Appendix 17.A.1に積分の順序変更)

積分の順序変更については、
 永田 「統計学のための数学入門30講」
の29章が分かりやすい。

測度変換

ニューメレールの変更については、大抵のファイナンス数理の本に書いてある。

 藤田「ファイナンスの確率解析入門」 (味わい深い)
 木島「期間構造モデルと金利デリバティブ」
 木島、田中「資産の価格付けと測度変換」
 ビョルク「数理ファイナンスの基礎」
 バクスター&レニー「デリバティブ価格理論」
 シュリーヴ「ファイナンスのための確率解析Ⅱ」
 西村「リスクとデリバティブ」

動的計画法

動的計画法の勉強のために「経済学のための最適化理論入門」を読む。そこで紹介してあったルーエンバーガーの「動的システム入門」を図書館で取り寄せる。手に入りにくい本をすぐ読めるというのは大学院生ならではの夢のような特権ですな。

その他に動的計画法についての記述のある本、

 ダフィー「資産価格の理論」(春休みにきちんと読みたい)
 ディキシット「経済理論における最適化」
 Sutton and Barto 「強化学習」
 金谷「これなら分かる最適化数学」

Mertonの問題、投資と消費のモデルについては、木島「ファイナンス工学入門Ⅱ」の付録Aにも詳しい。

2009年2月5日木曜日

ミクロ経済学系の数学

 ポートフォリオ投資論のテストは歯が立たなかったな。ファイナンス理論のテストは、講義ノートを見直しておけばある程度、点が取れる問題だったのに対して、ポートフォリオ投資論はそれだけでは駄目ですな。

 改めて、自分の数学の力の無さを思い知らされます。ファイナンスの数学の基礎になるミクロ経済学系の数学の勉強を意識的に強化しないと。効用の期待値、期待効用の最大化など。 まずは「ファイナンスの最適化入門」の4章を読むこと。「はじめよう経済数学」、「経済数学Ⅰ」、「コアテキスト経済数学」もきちんとやります。

その前に、債券市場分析のHJB方程式の宿題をしないと。この際、「数理ファイナンス入門」、「経済学のための最適化理論入門」、「経済理論における最適化」の多期間最適化のところも勉強を。

2009年2月3日火曜日

最適ポートフォリオと動的計画法

ファイナンス理論と債券市場分析において最適ポートフォリオと動的計画法が試験に出る可能性が高い。Pliskaの数理ファイナンス入門の5章 最適消費投資問題で確認すること。動的計画法とマルチンゲール法。修論にも使うので、多期間での最適化を確認。

2009年2月2日月曜日

積分順序の変更

しかし、ほとんどブログの更新ができてないな。

積分順序の変更については、阪井章の「理工系の微積分入門」の12.3繰り返し積分P173で確認しておくこと。