あから2010は、清水戦では4つのソフトにそれぞれ1台のコンピュータが与えられ、169台のコンピュータをつないだクラスタ用に書き直された4つのソフトとの合議制だったが、テスト不足を理由にクラスタの発言力は低く抑えられていて、合議の重要な部分はクラスタでないコンピュータが担っていた。
コンピュータも刺激される! 将棋ソフトは関数の集合体だから刺激的な手が入力されれば、それに対する出力(次の指し手)は必ず影響される。それが刺激には刺激で返すのか、刺激されたから慎重になるのかは、そのソフトの演算手法と係数調整による。
「あから」はなんとしても、穴熊をけん制したかった。現代将棋は玉の堅さを尊重する。自動学習機能を持つソフトウェアがその思想に影響されるのは当然のことである。
ある局面を見たくないから、悪手や疑問手になるかもしれない手を選ぶ、ある局面を見ずにすむ手を高く評価する、これこそ棋風というものであろう。棋士もソフトウェアも、勝とうが負けようが、その棋風に殉ずるのだ。
ソフトウェアは「詰みのありそうな局面」かどうかを判断することが非常に苦手。そのかわり、最終盤に至ると通常の思考ルーチンに加えて、詰み検索ルーチンを起動する。これは詰み筋の読みに特化したルーチン。詰みを見逃すことはまずない。
羽生名人は若かりし日に、将棋ソフトが名人に勝つ日を2015年と予想した。将棋ソフトが非常に弱く、アマチュアの中級者と互角に戦うことも難しかった時代の言である。
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