- 銀行にとっては、リスクが皆無の日銀預金を持つだけで0.1%の利回りが稼げる収益機会が減少した。昨年1年間でこの利益は約2100億円に達し、しかも年間80兆円の量的緩和で、利益が800億円ずつ増えるはずだった。今後は利益の増加は見込めず、むしろ日銀預金の一部がマイナス金利になり、収益を吸い取られるようになる。当面は銀行が国債を高値で日銀に売れば利益を出せるが、これは1回限りだ。貸出金利や債券運用利回りの低下で銀行収益は悪化する。
- 政府にとっては国債流通利回りが残存期間8年前後までマイナスとなり、多くの国債がマイナス金利で発行できるようになった。これは政府金利負担を押し下げていく。
- 企業や家計にとっては設備投資や住宅などの借入金利が小幅低下し、投資には若干プラスに働くだろう。しかし従来から借入金利は非常に低かったため、その効果に多くは望めまい。
- 海外の投資家にとって円での資金運用は不利になっていない。従来通り、ほぼゼロ金利の銀行預金での運用が可能だからだ。今のマイナス金利政策には円安誘導効果はほとんどない。
- 日銀にとっては日銀預金の利払いが頭打ちになり、一部がマイナス金利になって収益が好転する。他方でマイナス金利の国債の買いオペは今後、収益を圧迫する。満期償還時に赤字が発生するからだ。マイナス金利を解除してプラス金利にするときには、国債価格の下落と日銀預金への利払い増加で巨額の損失を計上することになる。
そのマイナス金利を解除してプラス金利にするときに計上される「巨額の損失」を誰が負担するかというと...最終的にはみなさんの税金ですよ。
ちなみにマイナス金利は、英語ではnegative interest ratesです。
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