2010年5月15日土曜日

相場見通しをいかに債券ポートフォリオに実現させるか

元リーマン・ブラザーズ(現バークレイズ)の債券クオンツ分析チームがリーマン時代にブローカーズ・レポートとして機関投資家向けに書いていたものなどを一冊の本としてまとめたもの。実務よりの内容でありながらファイナンス理論との整合性も高い。彼らのレポートはリーマン時代から質の高さで定評があった。英語版の全訳ではなく抄訳になっている。
訳者あとがきにもあるとおり、この本の特徴は「市場に対する見通しや予測は投資家自らが行うものだ、という立場が貫かれて」おり、その見通しをどのようにポートフォリオとして実現させていくかが主題となっている。
債券の価格付けについての本ではないので、積分は出てこない。相場予測の話も出てこない。インデックスの複製やトラッキング・エラー、債券のアセットアロケーション、MBS、クレジットのリスク管理などの話題が中心になる。
債券の教科書は理論的なものはいくつか出ているが、実務よりのものは意外とない。そういう意味では貴重な本。これとブラックロックの「債券投資のリスクマネジメント」くらいか。
翻訳のレベルは高く、大変読みやすい。

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