久しぶりにマーケットが大きく動いて楽しい。最近流行の通貨選択型の投資信託はひどいもので一日で1割以上下がっている。だから言わんこっちゃ無い。為替リスクをなめたらいかん。
ギリシャは、中南米の債務危機のようになるんじゃないかな。restructuringとかrenegotiationといって、債務の額を減らして返しやすくすることになると思う。ギリシャだけなら小さいけどポルトガル、スペイン、イタリアまで広がると問題が大きくなって困るね。中南米のときは各国の通貨が違っていたから、その通貨がデバリューして下落していったけど、今回はユーロなのでややこしいよね。ダフィーが言っていた様に、社債と違って国債のデフォルトは政治的判断になるので、最終的にデフォルトするかしないかは欧州の政治家が話し合って決まるんだと思う。
信用リスク・モデルをソブリン・スプレッドの分析に応用した二つの論文を読む。
Interpreting sovereign spreads
Remolona, Scatigna, Wu “BIS Quarterly Review, March 2007”
- ソブリン・スプレッドは『予想損失』と『リスク・プレミアム』の二つの要素に分解できる。『リスク・プレミアム』は予想外の損失のリスクに対して投資家が付けた価格を反映している。
- ヒストリカルな格付け毎のデフォルト確率をソブリン・リスクの測度にすることを提案。
- 予想損失をデフォルト確率とLGDの積として推定。
- 予想損失がスプレッドに占める比率は低い。新興国国債における比率は社債における比率よりも低い。
- ソブリン・スプレッドにおいてはリスク・プレミアムが大きな比重をしめる。
Modeling Sovereign Yield Spreads: A Case Study of Russian Debt
Darrell Duffie, Lasse Heje Pedersen, and Kenneth J. Singleton (2003) "The Journal of Finance"
Darrell Duffie, Lasse Heje Pedersen, and Kenneth J. Singleton (2003) "The Journal of Finance"
- 米国ドル・LIBOR・スワップカーブを参照カーブとしてそれに対する米国ドル建てロシア国債のスプレッドをモデル化
- 国債と社債の違いもモデル化(社債のデフォルトは1回のみで破産法に従うのに対して、国債は完全なデフォルトはあまりなくて、リストラクチャリングまたはリネゴシエーションになる。国債のデフォルトは政治的意思決定である。国債にはクロスデフォルト条項が付いていることはほとんどない。・・・)
- 誘導型でモデル化。ロシアの財政データはそもそも信用できないので構造型のモデル化は不可能。
- ボラティリティと短期金利の2ファクター・アフィンで参照カーブをモデル化、そしてそこで推定したモデルのパラメータでスプレッドを加えた3ファクター・アフィン・モデルを推定。
写真はデフレの象徴、ゴジラ(と、ピーター・タスカが言っていた)。
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