2011年7月10日日曜日

商品先物のプロップファーム

プロップファーム… ああ、この甘美なる響き…
プロップファームというのは投資信託やヘッジファンドが顧客の金を運用するのに対して、自己資金のみを運用する組織。普段、制約でがんじがらめの身からするとプロップファーム≒楽園をイメージしてしまう。現実はもう少し違うのかもしれないけど。
「億を稼ぐトレーダーたち」を読んでいると、二つのプロップファームが出てくる。ひとつは山前商事、もう一つはエイ・ティ・トレーダーズ。

山前商事の西村正明さんは、以前から商品市場のアービトラージ(裁定取引)で利益を上げていた。山前は2006年に顧客注文取次ぎの委託業務をやめ、自己資産運用のプロップファームとして再スタートした。
「そういった経験もふまえた私の結論は『理論のないトレードはしない』ということになるのです。 多くの人は、夢を追いすぎていると思うのです。FXの流行は、多くの人が夢を追いすぎていることを証明する一つの現象かもしれません。『上か下か』に興味のない私にとっては異次元の世界です。私にとっては、彼らがやっているのはトレードではなく”駆け引き”です。切った張ったの人たちは視野がとても狭い面があります。この業界で稼ぐと、曲がった世界に行く人が多いようです」(西村)

エイ・ティ・トレーダーズというプロップファームを経営する高橋良彰氏。17年間、月間で1人もマイナスを出さず、チームで100億円の利益を積み上げてきた。基本は、先物における限月間のサヤ取り。 「生産者や商社といった実需家のヘッジ機能を提供するのが市場の役割なのですから、商品先物市場の落ち込みは社会インフラが貧困なことの現れです。実際、商品先物のオプション取引は全く商いがありません。とても悲しい事実です。(テクニックを身につけるうえで大切なのは)まじめ、素直-この2つが非常に大切です。頭の良し悪しは、関係ないと思います。中途半端に頭がよくて、ひねくれている人が一番やっかいです。(個人が)完全に単独でトレードし続けるためには、たいへんな精神力が必要だと思うのです。ですから、その難しさを補う何かが不可欠です。トレードとは相反することなのかもしれませんが、『社会とつながっていること』が大切だと思うのです。仕事をした対価としてお金をもらうのは当然ですが、お金だけもらえればいいのか、と考えてしまいます」(高橋)
個人トレーダー、秋山昇氏も出てくる。氏のホームページ 「先物探花」
累計利益が一時5億円までいった秋山氏は大学で数学を専攻し、確率論を勉強していた。そして今は、コンピュータ関連の仕事をしている。プログラミングができるので、過去データを使った検証などはお手の物。
秋山氏も柳葉氏も確率の理論をストレートに相場に持ち込んでいること、過去データを使った検証を徹底していること、プログラミングの技術があること、などが共通点。しかし実際の売買は異なる。秋山氏の、下げ相場で売り浴びせて崩していくスタイルは、実は私の好きなスタイル。90年代の日本株の下げ相場で、私の上司だったH課長の凄まじいディーリングに度肝を抜かれたのが私の原体験。でも私には課長ほどの才能がなかった。

本とは関係ないが、米国のプロップファーム"Jane Street"というところが日本に進出していたらしい。もうすでに撤退しているらしいが。「現在有効な最も効果的なツールを使うしかないと判断し、今では OCaml を商業的に活用している最大のユーザーとなりました。このような状況下、Jane Street は、世界中から関数型プログラマーを引き付ける存在となり、世界でも有数の開発チームを擁するまでになっています」。OCamlとかHaskellとか、あきらかにおもしろそうだけど、新しい言語を覚える時間がない。

【追加】

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