2013年10月6日日曜日

マネーとDSGEモデル

加藤(2007)でRBCモデルの理論面での問題として次の5つを上げている。

①財市場、要素市場が完全競争である。
②調整コストや摩擦が存在しない。
③1財1部門1主体モデルである。
④マネーや一般物価など、名目変数が登場せず、景気循環に対する影響が全くない。
⑤情報が完全・対称である。

そこで、ここで紹介されているように、最近ではDSGEモデルにマネーを組み込む動きが見られると。


Monetary Transmission in the New Keynesian Framework: Is the Interest Rate Enough?
- Josh Hendrickson

エージェンシー・コストを導入、貨幣需要の拡張により、通常のニュー・ケインジアンよりも現実のデータをうまく再現できる。

Money’s Role in the Monetary Business Cycle
- Peter Ireland

小型のマネタリー・ビジネス・サイクル構造型モデルは正しく特定されたフォワード・ルッキングなフィリップス・カーブにリアル・マネー・バランスが入ったときのみ、正しく特定されたフォワード・ルッキングなISカーブにリアル・マネー・バランスが入ることを示唆。

The role of money and monetary policy in crisis periods: the Euro area case
- Jonathan Benchimol and Andre Fourcans

二つのモデルで1992、2001、2007年の欧州経済危機を分析。危機のときにマネーは生産の変動の説明力をより強く持つが、一方で金融政策の役割が非常に後退する。

Risk Aversion in the Euro area
- Jonathan Benchimol

ニューケインジアンDSGEモデルで欧州経済を分析。1971年から2006年よりも、2006年から2011年において、リスク回避は生産とリアル・マネー・バランスの動きにより重要な役割。

ここで、大東文化大学の郡司先生から「RBCにマネーを入れる動きはRBC登場当初からありました。Cooley and Hansen (1989, AER) が最も早い例のひとつかと思います。また、最近は金融政策を扱うDSGEでもマネーを入れたり入れなかったりします。」とご指摘いただきました。

"The Inflation Tax in a Real Business Cycle Model" Cooley and Hansen(1989) (PDF) 

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