2010年11月20日土曜日

シュリーヴ2で期間構造モデルの復習

マルチファクター(アフィン・イールド)モデルでは、抽象的なファクターを推移させることから始め、これらのファクターから金利を得る。しかし金利は資産の価格ではないため、リスクの市場価格を金利のみから推測することはできない。
このモデルでは割引債の価格を求めるための唯一の手段はリスク中立価格評価式を使うことであり、そしてリスク中立測度を得ない限り、これを使うことはできない。したがってこれらのモデルは最初からリスク中立測度の下で構築する。
リスク中立測度の下では割り引かれた割引債価格はマルチンゲールとなる。割引債とマネーマーケットを取引することでは裁定取引ができない。モデルを構築した後で、割引債や派生証券の市場価格と整合的になるようにキャリブレーション。実確率測度、リスクの市場価格は決して登場しない。
対照的にHJMモデルは各時刻における状態をフォワード曲線で近似する。HJMにおいては割引債価格は間接的にリスク中立価格評価式から得られるのではなく、直接的に得られるので、このモデルが裁定を許容する価格を与えないように注意する必要がある。
HJMはブラウン運動によって起因されるモデルが無裁定であるための必要かつ十分な条件を与えるものであり、単に1つのモデルという以上のものと言える。ブラウン運動に起因されるモデルは全て、HJMの無裁定条件を満たさなくてはならない。
実務への応用のためには、フォワード金利が対数正規分布に従うモデルを構築した方が都合が良いと考えられるが、これは不可能。かわりに単利のフォワードLIBORを状態変数として用いるものがフォワードLIBORモデル、市場モデル、あるいはBGMモデルと呼ばれる。

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