2010年11月10日水曜日

Kalman-Bucyのフィルター理論(1)

離散時間のフィルタはカルマン・フィルタと呼ばれる(Kalman 1960)。連続時間のフィルタはカルマン・ブーシー・フィルタと呼ばれる(Kalman-Bucy(1961)。
津野のこの本は連続時間のカルマン・ブーシー・フィルタの数学、特に確率論の立場から解説したものである。実務の話はいっさい出てこない。類書がない、非常に貴重な本だと言える。

「フィルター問題では2乗平均ノルムを採用する。確率空間(Ω、、P)上の確率変数X(ω)でXの2乗平均ノルム∥X∥が有限になるものの全体L^2(Ω、)がフィルター問題で考察する確率変数の空間である。この空間L^2(Ω、)はHilbert空間になる。
フィルター問題の基礎は直交射影である。Ωのσ加法族HGをとる。L^2(Ω, G)の元XのL^2(Ω, H)への直交射影の像X^~は、X(ω)のHへの条件付期待値である。すなわち次式が成立する。
                  X^~(ω)=E[X|H](ω)

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