2010年2月7日日曜日

桃 もうひとつのツ、イ、ラ、ク

統計科学の数理の試験勉強の合間に、姫野カオルコの『桃 もうひとつのツ、イ、ラ、ク』を読む。姫野の代表作の長編『ツ、イ、ラ、ク』と対になった中短編集。『ツ、イ、ラ、ク』の中の出来事や登場人物を別の視点から描くことで『ツ、イ、ラ、ク』の小説の世界をより強固なものにすることに成功している。しかもそれぞれ作品ごとに文体を変えて書いている。ということで姫野は僕の中ではジョイス、筒井康隆の系列に連なる。

姫野に関しては、一番最初に最高傑作の『受難』を読んでしまったために、ついつい『受難』のような作品を期待してしまい、次に読んだ『ツ、イ、ラ、ク』の評価が厳しくなってしまったかもしれない。『桃』を読んだことで、『ツ、イ、ラ、ク』の良さもまた分かるということもある。

『桃』のなかでは「世帯主がタバコを減らそうと考えた夜」が一番衝撃的(特に男にとっては)。女の作家でよくここまで書けるな。他の5編もそれぞれ衝撃的。ただし、『ツ、イ、ラ、ク』の出来事が重要な小道具になっているので、『桃』を読む前に『ツ、イ、ラ、ク』を読むべき。

『受難』『ツ、イ、ラ、ク』『桃』と比べると『コルセット』は平凡な出来。

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