2010年6月4日金曜日

J.M. クッツェーの『恥辱』

史上初のブッカー賞の二度受賞、ノーベル賞は伊達ではなかった。うまいね。うますぎる。大学教授がセクハラ(?)をきっかけに躓いていく。三人称だが、実質的には大学教授の目で記述されていく。全体に散りばめられた文学作品からの引用。主人公が作ろうとしているオペラの使われ方もうまい。そしてリアリズムの筆致で南アフリカの混沌とした世界がたんたんと描かれていく。暴力、レイプによる支配。それでも読後感は不思議に爽やかだ。
南アフリカの作家ではあるが、イギリス文学の王道のような作品。
ところで、最近ブログの閲覧回数が急に増えたのだけれど、俺の知らないところで何かあったのかな?

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