2010年6月5日土曜日

数学の勉強法(特に文系)

文系が数理ファイナンスを勉強する場合、壁となるのが数学ですね。理系の場合はツールとして数学を使うことに慣れているので、数理ファイナンスの習熟も早いです。私の場合は文系で、しかも実務では数学を使わなかったので大変でした。恥ずかしい話、ICSに入るまで合成関数の微分を知りませんでした。今でも数学には苦労しています。私の経験から、こうすれば良かったかも、という話をします。

[とりあえずファイナンス(経済学)に必要な数学を概観する]
『経済数学入門の入門』(田中)
『経済と金融工学の基礎数学』(木島、岩城)
『コア・テキスト 経済数学』(戸瀬)
『はじめよう経済数学』(浅利、山下)
『数理経済学入門』(入谷、久我)
あたりのどれか1冊の全体に目を通す。細部を覚えるよりも、とりあえず全体を眺めてどういう項目が必要かを把握しておくのがいいと思います。続いて各項目ごとに専門的に勉強していきます。簡単な本から始めて徐々にレベルを上げていきます。とにかく自分で問題を考えて解いていくことが大事です。

[微分積分]
大学への数学 『微積分/基礎の極意』・・・(とりあえず理系の学部レベルに追いつくことを目指す)
マセマ・キャンパス・ゼミ 『微分積分』
『穴埋め式 微分積分 らくらくワークブック』(藤田、石村)・・・(計算力をつける。けっこう難しいです)
『経済数学Ⅰ 微分積分概説』(津野)
余力があれば本格的な数学書にレベルアップします。
『解析入門』(ラング)
『解析概論』(高木)
『解析入門Ⅰ』(杉浦)

[確率・統計]
マセマ・キャンパス・ゼミ 『確率統計』
『穴埋め式 確率・統計 らくらくワークブック』(藤田、高岡)
『確率・統計入門』(森、藤田)
『確率と確率過程』(伏見)
『統計学のための数学入門30講』(永田)
本格的に確率論、測度論を勉強したいなら、
『測度と積分』(ツァビンスキ、コップ)
『マルチンゲールによる確率論)(ウィリアムズ)

[線形代数]
『穴埋め式 線形代数 らくらくワークブック』(藤田、石井)
『なっとくする行列・ベクトル』(川久保)
『線形代数』(木村)
『線形代数入門』(斎藤)

[数理ファイナンスの入門]
『ファイナンスの数理入門』(津野)
『なっとくする数理ファイナンス』(森)
『Excelで学ぶ金融市場予測の科学』(保江)
『リスクとデリバティブ』(西村)

これくらいで十分でしょうか。上の本を全部読む必要はないので、自分にあったものを各分野で一冊みっちりやればいいと思います。この後は、ブログに既に書いたルーエンバーガー、プリスカ、シュリーヴ、ダフィーとやっていけばいいと思います。
余裕があれば、数学的な読み物(岩波の「数学が育っていく物語 全6巻」や「オイラーの贈物」(吉田)など)を読めば数学的センスが向上するのではないでしょうか。「数学が育っていく物語 全6巻」は地元の図書館にあって、借りて読みました。なかなか目から鱗でした。数学30講シリーズなんかも、手始めとしてはいいと思います。

2 件のコメント:

雷光のぽのうさぎ さんのコメント...

もうアップされたのですね。
数学30講シリーズはとっつきやすいですね。志賀先生の本はどれも好きです。逆に藤田先生のは入門といいつつどれもけっこう難しいと思いました。私はまず概観するために石村先生の本から手を付けました。
オイラーの贈物はお薦めです。他の本にはない独自の趣向で書かれています。

J.S.エコハ さんのコメント...

藤田先生の本は癖があってとっつきにくいですね。幸い、私はICSで藤田先生の授業を受けることができたので、本を読むときの理解が進みました。藤田先生の本は、分かってくると味わい深いです。ただし、誤植も多いです。