シュリーヴ2の6章「偏微分方程式との関係」を読む。読めば読むほどいい本だという気がしてくる。
債券価格を時間と(時間で変動する)金利をパラメータとする未知の関数で表す。未知の関数に対する偏微分方程式を見つけるためには、マルチンゲールを見つけて、その微分を求め、そのdtの項をゼロと等しいとすればよい。偏微分方程式に予想した解である方程式の偏微分を代入して整理する。この等式は全てのrに対して成り立たなければならないので、rにかかる項をゼロとおく。するとtについての常微分方程式を得る。これに終末条件を加えて解を求める。
ここら辺りは中村先生の授業でやったなあ。当時はさっぱり分からなかったが、今ならフォローはできる。
Hull & White モデルはVasicek モデルを一般化して時刻変化する係数を許容した。こららやCIRはDuffie & Kan が定義したアフィン・イールド・モデルの例である。
『原資産価格が確率微分方程式で与えられるとき、その資産価格はマルコフで、その資産を基とする経路依存でないあらゆる派生証券価格は、偏微分方程式によって与えられる。経路依存の証券を価格評価するためには、まず経路依存のペイオフが依存する変数を見定める。そして次に、1つまたはそれ以上の追加的な確率微分方程式を導入して、関連する変数を表現する一連の方程式を得る。もしこれができれば、ここでも派生証券価格は偏微分方程式で与えられる。』
このことから、価格評価の微分方程式を見つけて、派生証券のヘッジを組み立てるための、次の4段階の手順が導かれる。
1.派生証券価格が依存する変数を決める。これらの確率過程を状態過程と呼ぶ。
2.状態過程に対する一連の確率微分方程式を書き下す。その動きを起因するブラウンを除けば、これらの方程式右辺に現れる唯一の確率過程は、状態過程それ自身だけである。このことが、状態過程のベクトルがマルコフであることを保障する。
3.マルコフ性により、各時刻での派生証券価格が時刻とその時刻での状態過程の値との関数であることが保障される。割引オプション価格はリスク中立測度の下でのマルチンゲールである。割り引かれたオプション価格の微分を計算し、dtの項をゼロとおき、それによって偏微分方程式を得る。
4.割り引かれた派生証券価格の微分式においてブラウン運動の微分にかかっている項は、ヘッジ・ポートフォリオ価値の推移においてブラウン運動の微分にかかる項とつり合わなければならない。これらの項をつり合せることで、派生証券の売りポジションに対するヘッジを決定する。
ここらあたりがモヤモヤしていたのだが、すっきりした。やっぱり良い本だ。
2010年3月13日土曜日
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