2009年10月27日火曜日

自分を客観視する

日曜劇場の「JIN-仁」3話のなかで、主人公が1話でせっかく助けたタエさんが辻斬りに斬られてあっさり死んでしまいましたね。これは、タイムマシンものでは「歴史の自己補修作用」といいます。つまり、人間が歴史を変えてしまって死ぬはずだった人を助けても、それが無かったかのように歴史(というか神というか)が戻そうとするということです。人間のような小さい存在が歴史を変えようとしても変えられないという、ちょっと空しいというか切ない考え方です。せつなさというのは芸術の重要な要素ですね。

タイムマシンものでもうひとつ面白いのは、自分を自分で見ることができることです。虚構上ではありますが、別の時代の自分を自分の目で文字通り客観的に見ることができるわけです。

自分を常に客観視できるということ、物事を様々な角度から見ることは非常に大事なことだと思っています。主成分分析と一緒ですね。視線の角度を変えると見通しが良くなったりします。

自分を客観的に見る、という点に関しては日本人よりも欧米人の方が一日の長があるのではないかと感じています。スペインのバルセロナで2年間生活して感じたのは欧米人にとっていかにキリスト教が生活の中に深く根付いているかということです。若い人でも日曜日には必ず教会に行ったりします。スペイン人はほとんどがカソリックだと思います。まあ、スペイン人でも宗教にはあまり関心がないという人もいますが、そういう人でも行動原理というか考え方の裏側にはキリスト教の強い影響があります。(ちなみに私はキリスト教徒ではありません)

キリスト教は厳密な一神教です。キリスト教の神は日本人のイメージする神(祈れば少しは願いをかなえてくれるようなやさしい神)とは正反対というかむしろ残酷で絶対的なもののようです(このあたりは小室直樹の受け売り)。欧米人は大抵はキリスト教徒で、子供の頃から絶対的な神とそれに対する自分という視点を刷り込まれます。このことが常に自分を客観視するという訓練になっているのではないかと考えています。

また微妙に話は変わりますが、ヨーロッパで生活すると、ヨーロッパから見た日本、アジア、米国という視点を獲得できるので、日本人というものを客観的に見たり、日本の良さをあらためて発見できたりします。まあ、外国で暮らすというのはそれなりに苦労も多いわけですが・・・。

スペイン・バルセロナでの生活の楽しさや苦労については、このブログがお勧めです。イラスト入りでよくできています。

海外のMBAで学ぶということは、勉強以外にも異文化のこのような視点を獲得できるというメリットがあります。ICSの社会人コースは先生も生徒も日本人なので残念ながらこのような体験はできません。ICSでも昼のフルタイムMBAなら、生徒のほとんどが海外の人のようで授業も英語で行われるようなので、少しは体験できそうです。

ブログを書くということは、私にとっては自分を客観視する訓練でもあります。脳にも良いそうなので、皆さんもブログを始めたらどうでしょうか。

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