2009年10月16日金曜日

JIN-仁-とマイナス・ゼロ


JINというのは日曜劇場の新しいドラマ。TVドラマはほとんど見ないのだが、娘が録画していたのを少し見た。あらすじは、現代の医者がタイムスリップして坂本竜馬、勝海舟などとからむというもの。医者なので、死にかけている人を助けるのだが、それは歴史を変えてしまうことにつながるというタイムパラドックスもテーマの一つ。個人的にわりと好きな中谷美紀が現代と過去の二役で出ている。


見ていて、広瀬正のタイムマシンものの傑作「マイナス・ゼロ」を思い出した。ずっと廃刊だったのが最近復刊されたようで喜ばしい。マイナス・ゼロは僕に小説の面白さを教えてくれた思い出深い小説。前半はやや冗長だが、後半からグングン引き込まれ、気がつくと徹夜で読んでしまった。特に最後の数ページは文字通り鳥肌を立てながら読んだ。あれほど強烈な経験は後にも先にもあのとき一度きりだ。好き嫌いはあるかもしれないが、僕の中では傑作。あまりに好きなので実は3冊持っている (^^;)。

広瀬正については、筒井康隆の「みだれ撃ち涜書ノート」に掲載されている長い解説(もともとは広瀬の「タイムマシンの作り方」という短編集の解説)が詳しい。

「広瀬正は、報いられることなき期間があまりにも長かった作家であり、それに比して報いられることがあまりにも短期間だった作家である。・・・」
考えてみると、広瀬正も、丸谷才一、マルケス、ボルヘス、ハメット、チャンドラー、ル・クレジオ、P.K.ディックもみな「みだれ撃ち涜書ノート」で初めて知ったので、この本も僕の読書人生に大きなインパクトを与えた本だ。





0 件のコメント: