2010年10月23日土曜日

経済政策を売り歩く人々(ポール・クルーグマン)


「政策プロモーターとは、政治家が聞きたがっていることを言って聞かせるエコノミストのことである。真剣な経済学者たちの考え方は、政策プロモーターのわかりやすいスローガンよりも真理へのよりよいガイドであるばかりではなく、より興味深いものであるという確信を得られれば幸いである。
経済的困難に際しては、政治的に利用しやすい経済学のアイディアが前面に出てくる。それは、しばしば明らかに誤っているのだが、真剣に考えることに耐えられない向きには、なるほどと思わせるような類のアイディアなのである
政策プロモーターの大きな特徴は、彼らがどこから来たかではなく、どういう言葉で話し、誰が彼らの話に耳を傾けているかという点にある。学者は大抵、他の学者を対象として論文を書く。仮に、もっと広く一般大衆を対象に書くとしても、常に自分の同僚の反応を頭の片隅においているだろう
その結果、学者は、自分や他の学者達が間違っていると考えていることは、いかに聞こえが良かろうとも発言することを控えるようになる。そして、学者の言葉の裏に潜むものは、どんなに簡単なことであっても、一般人が理解できないようなものであることが多い
一般人に売れるのは、ほとんどが政策プロモーターの著作である。なぜなら、テレビに出演する多くが政策プロモーターだからであり、またそれが彼らの仕事だからである。一般視聴者たちは、見るものをそのまま受け止め、それらは先入観として残ってしまうことになる
学者は、政策プロモーターを演じることもできるが、そうしているうちに学者であることを止めてしまう。少なくとも、学者仲間達は、彼のことを学者とみなさなくなってしまう。
政治家からすれば、政策プロモーターはきわめて役に立つ。学者と違って、彼らの見解はたやすく選挙民の関心をひきつけるものに転換させることができるから。特に、経済が不況に陥っているとき、政策プロモーターが高成長のマジックを呼び戻す方法を知っているとうそぶくときにはなおさら
テレビによく登場する人物は、大した専門家ではないというのが通説である。なぜならば、実際に研究をしている専門家は多くのテレビ出演をこなすほど暇ではないからである。また、テレビ番組の質の高さは、必ずしも高度な研究に関するものでなくてもよい」

政策プロモーターの典型が勝間和代だ。

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